2018年8月7日発売
セヴェレンに到着し大公の宮廷になんなく入りこんだクォートは、病気に苦しむ大公の様子から、何者かが毒を盛っているのではないかと疑う。ペットの小鳥に大公の薬を飲ませることで、お抱えの秘術士コーディカスこそが、薬に毒を入れている犯人であることを証明した。毒殺の危機から救ったことで大公に重用されるようになったクォートは、さらに大公とラックレス家の美しい令嬢との婚約を成功させるべく奮闘するが…。
最新型特殊装備“龍機兵”を擁する警視庁特捜部は、警察内部の偏見に抗いつつ、国際情勢のボーダーレス化と共に変容する犯罪に立ち向かうー由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、特捜部入り前のライザの彷徨を描く「済度」、疑獄事件捜査の末に鈴石主任が悪夢の未来を幻視する「化生」など、全8篇を収録。着想の妙と研ぎ澄まされた世界が広がる、2010年代最高のミステリ・シリーズ初の短篇集。
再婚の父に新しい母と弟。私だけが家族になりきれてない…高校生の美咲は寂しさを埋めるため正体不明の作家・三島加深の小説に熱中していた。ある日、加深関連のサイトで“ジョーカー”という人物に「ミステリツアーに参加して謎を解けば加深の未発表作を贈る」と誘われる。家を出て三日間のツアーに飛び込む美咲だがー参加者の消失、死体、さらに…これは少女が経験した、二度と来ないひと夏のクローズドサークル。
蔦屋敷には、誰も知らない秘密がある…。十二年前の夏に出会った忘れえぬ少女・百合と再会した若き画家の淳。その日から淳の身の回りでは、不可解な事件が起こりはじめる。彼女は聖女か、それとも魔女か?美に囚われた人々の惨劇を描く、欲望と背徳の伝統的ゴシック・ミステリ。
十年前、京都で引っ越しパーティーに居合わせた男女。それぞれの時間を生き、つきあっていたカップルは別れ、変わったり変わらなかったりしながら30代になった彼らが、今夜再会する。中沢が鴨川沿いにオープンさせたバルに集まった面々に、今日もさまざまな「できごと」が起きる。行定勲監督が、なんと、紙上映画化した書き下ろし小説「鴨川晴れ待ち」を収録。
冷蔵庫型の女と旅する天才科学者、鉄道模型にかまけて妻をかえりみない男、瀕死の殺人犯からメッセージを受けた女性事務員、クリスマス前夜に奇蹟を見た新聞記者…あっと驚く結末、心にしみる余韻、語りの名人が遺した16編。ヴォネガット、最後の短編集。
三十半ばで娘を授かった西岡順一は、喜びとは裏腹に、母となった妻との新しい暮らしに不安を感じていた。二人にとって子供の誕生は人生の頂なのか?アルコールに逃げ込む順一だが、妻・由里子は静かに見守るだけだった。そんなある日、娘の名付け親で大学時代の恩師の危篤の報が。二人は急遽、教授夫妻の住む南仏ニースへと向かうがー見失った絆を捜す至高の恋愛小説。
尖閣諸島に中国駆逐艦が接近。厳戒下、海自護衛艦が消息を絶った!沖縄の海に何が潜んでいる!?わが国初の女性首相御厨は、新兵器搭載潜水艦「こくりゅう」投入を決断。同艦には、深海で亡くなった婚約者の事故の真相を追う技官木村美奏乃が乗っていた…。緊迫する日中!最先端技術と頭脳を駆使した熾烈な海中の戦いを圧倒的迫力で描くミリタリー・サスペンス!
元刑事でオカルト・ライターの浜谷良和は、脳の中に3Dプリンターを持つ。よろず捕獲がうたい文句の「オフィス・カメレオン」女社長阿過沙汰菜を助手に、都市伝説のような奇怪な現場を取材する。ふたりはそれらの真相ばかりか、背後に隠されている“本当に触れてはいけないもの”までも丸裸にしてしまいー凸凹コンビが人間の心の奥底に眠る業と悲哀を炙り出すミステリー。
信じ難い敗戦により、手痛い戦力損失を被った討魔衆ー生き残った男を組み入れた「天蓋の小組」だったが、両国川開きで原因不明の将棋倒しに巻き込まれ、早雪が神隠しに遭う。警戒に当たっていた臨時廻り同心小磯も調べを進めるが、今度は神田堀で酔っ払いの溺死事件が…。七年に一度しか目醒めないはずの穢王がわずか一年で目醒めるに及び、凄絶な闘いが始まる!
花魁・花菊は死を希った。吉原の大見世で最高位の花魁となるも、やはりここは苦界でしかない。父母と彼岸での再会を望み、燃え盛る妓楼に身を置いた。だが紅蓮の炎に飛び込んできた男がいた。花菊は業火の中、ぼろ鳶組纏番・彦弥と運命の出会いをするー。連続する火付け、下手人と思しき者の殺害、黒幕が?新庄藩火消頭・松永源吾が情念渦巻く吉原で謎に挑む。
唐木市兵衛と暮らした幼き兄妹小弥太と織江の親戚にあたる金木脩が酔漢に襲われ重傷を負った。柳井宗秀の治療で一命をとりとめたものの、酔漢は実は金木の故郷北最上藩の刺客であることが発覚する。急遽、北最上に奔る市兵衛。そこでは改革派を名乗る一派による粛清の嵐が吹き荒れていたー領民を顧みず私欲を貪る邪剣集団が、市兵衛暗殺に牙を剥く!
深川の寺社が相次ぎ押し込みに襲われた。どれも有り金を奪われ、皆殺しにされた凄惨なものだった。一月前にも置屋の主人夫婦が殺され、金品が強奪される事件が起きていた。その置屋から船頭と駆け落ちしたお登喜が、三年振りに深川に戻ってきたのを目撃されてー。深川鞘番所支配の大滝錬蔵は、十年前にも同様の押し込みがあったことを突き止めたのだが…。
結婚を考えていた元恋人へ、田舎から一緒に上京した親友へ、亡くなった母へ…。大切な人に伝えられなかった本当の気持ち。「女による女のためのR-18文学賞」デビューの期待の新鋭が贈る、瑞々しい才能がきらめく大注目の最新作!
教授然とした風貌を持つ非常勤講師・矢上“教授”は、理系学部で日本古典文学を教える変わり種にして、筋金入りのミステリ愛好家。その教え子の女子大生・御牧咲は、“教授”から出された夏休みのレポートの課題にこぶし野町を選んだ。この町は、十二支にちなむ神々に各方角を守られているのに、なぜか「丑」の方角だけ神社がない。そしてなぜか、南方熊楠の民俗学随筆集『十二支考』にも「丑」の章だけがないのだ。何か理由があるのか?勇躍フィールドワークに出た咲は、降り立ったこぶし野駅で、さっそく“ネズミ”に纏わる不思議な会話を耳にするが…おんぼろ研究室を飛び出した“教授”の純粋推理!
岡っ引きに憧れた弥太郎が勝手に親分を名乗り、事件を解決しようとして起こした大騒動とは(「といちて」)、波瀾万丈の人生を送ってきたお染は、誰にも言えなかった切ない過去を思い返す(「ぬけがら」)、隠居した親方に昔の女を探してほしいと頼まれた八五郎は、ひょんなことから心を閉ざした子供を預かることに…(「らくがき」)など、笑えて泣ける五篇を収録した大人気シリーズ第十一弾。