2018年9月13日発売
修業のため溝猫長屋を出た子供たちだが、忠次は「屋根に女性がいる夢」を見て、新七は「白粉の匂い」を嗅ぎ、留吉は「不思議な声」を聞くように。一方、自称・箱入り娘のお紺に二人の若者との縁談が。一人は愛想良しだが、強面のもう一人は曰くありげで…。忠次らに起こる奇怪な出来事との関係は?そして縁談の行方は?
大都会・東京の真ん中で静かに佇む洋館に心惹かれた「私」は、得体の知れない不動産屋に誘われるままにその館を訪ねる。そこには幻想的な少女・霧子や近寄りがたい老主が住んでいた。身を固く包んで口さえ開こうとしない霧子に、私の興味は膨らんでいく。主である霧子の祖父の依頼で、彼女の家庭教師として洋館に同居することになる私ー。そしてこの一家の住人たちは数奇な運命に翻弄され始めるのだった。「ある夕陽」で芥川賞を受賞した日野啓三が幻想的作風で新境地を開き、泉鏡花賞に輝いたロマネスク小説の傑作。
昭和20年代後半、文学への志を抱えながらも東大・経済に進んだ倉沢明史は検事である父の呪縛に抗いながら、己が人生を模索していた。朝鮮戦争・血のメーデー事件・米国によるMSA援助の見返りとしての日本の再軍備問題と、時代は熱い政治の季節ー。その一方で家庭教師先の人妻・麻子に胸を焦がし、自らの欲望に悶々とする。そして、失ったはずのかつての恋人・棗との再会。“内向の世代”を代表する作家・黒井千次が「春の道標」の後日譚として、彷徨する生真面目な青年の内面を繊細に描いた自伝的青春小説の完結編。復刻記念に著者のあとがきを特別収録。
大石内蔵助ら赤穂浪人四十七士の吉良邸討ち入りを目の当たりにした雨宮蔵人。それから四年経ち、妻の咲弥と娘の香也とともに鞍馬山で静かに暮らしていた蔵人のもとに、少年が訪れた。少年は冬木清四郎という吉良家の家人だった。清四郎の主人を思う心に打たれた蔵人たちは、吉良左兵衛に会うため配流先の諏訪へ向かう。次第に幕府の暗闘に巻き込まれ…。
密閉空間に忽然と出現した他殺死体についてー「文豪の蔵」。二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者についてー「ドッペルゲンガーの銃」。痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人についてー「翼の生えた殺意」。この謎を解くのはキャリア警察官僚の兄か、女子高生ミステリ作家の妹か、それとも…?
公園から忽然と姿を消した三歳の琴美。両親は必死に捜すが、一向に見つからない。-22年後。自堕落な生活を送る幸子のもとに、一通の手紙が届く。差出人は、消息不明の妹を捜し続けている男だった。同じ頃、浜名湖畔で父親の誠司とペンションを営んでいる楓。ある日を境に、楓は誠司に対して不信感を抱く。父は何か秘密を抱えて生きているのではないか。交わるはずのなかった人生が交錯したとき、浮かびあがる真実。切ない想いが胸を満たすサスペンス長編。
郊外の町で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切なひとり娘は無事だろうか、と不安に陥る。警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。「この子を、娘を、守ってみせる。そのためなら何でもする」母がとった行動とはー。驚愕の長編サスペンス・ミステリー!
事件は起こる前に潰せーそんな指針のもと、危険な組織や犯罪者を闇処理する警視庁特殊企画課に所属する山神翔二。そんな彼が今回手がけるミッションは、覚せい剤を派手にさばく半グレ集団「怒羅愚」と芸能界の癒着を白日の下に晒すこと。さっそくシャブ中たちが出入りする六本木のキャバクラに潜入するも、アフターしたキャバ嬢が目の前でさらわれ、山神自身も重傷を負ってしまう。さらには第二、第三の罠が仕掛けられ、絶体絶命の窮地に。起死回生の一手として、山神は「熱狂工作」を発動する。
「懐かしい三羽の小鳥たちへ。約束の時が来ました」-ある日、京都市内の別々の高校に通う太秦萌、小野ミサ、松賀咲の3人の元に、一通のハガキが届いた。お互いに見ず知らずのはずの3人だか、何かに導かれるように清水寺で出会う。徐々に過去の記憶が呼び起こされていき、やがて10年前に太秦荘で起きた“事故”の秘密に迫っていくー京都を舞台にしたキャラクターミステリー、新シリーズ!
『ご』と入力すると『ゴメン』と出てきて…『ゴメン。今日も仕事でダメになった』の一文ができあがるー。激務が続く番組制作会社で働く芦原志穂。彼女は今日も恋人にデートのキャンセルを告げるメールを打っていた。最近では「次はいつ会えそう?」というメールすら届かない。そんな中、志穂は上司からの命令で、刑務所の中の美容室を取材することになるのだがー。彼女たちは、なぜそこに髪を切りにいくのか。刑務所の中で営業を行う美容室を舞台にした、感動の連作短編集。
「失ってしまう記憶の代わりに、最高の物語を残したい」小説家の岸本アキラは、ある朝目覚めると“昨日”の記憶がないことに気付く。実は彼は二年前の事故により、記憶が毎日リセットされてしまうのだ。そしてそんな困難な状況でも、アキラは小説を書き進めていた。絶望的な不安と闘い葛藤しながら、決して“明日”を諦めまいともがく感動ストーリー。
高校生になった公太は、最初の夏休みを東京のテレビ局でアナウンサーをしている憧れの叔母・響子のマンションで過ごすことになった。深夜に響子が浴室でシャワーを浴びている音を耳にして狼狽えた公太だったが、誘惑に抗えず覗いてしまったことから、二人は禁断の関係に踏みこんでしまう。次第に深みに嵌まっていく二人に待っていた結末とは。傑作長編エロス。
妻とは発展的別居中でセックスレスの竹山光雄は、知人から譲り受けたチケットで好きなジャズピアニストのレストランコンサートを楽しんでいた。ところがコンサート終了後、隣の席に座っていた千里という女性が険しい表情で声をかけてきたことから、思いがけず初めての浮気を体験することになる。千里とめくるめく性の世界を堪能し、また彼女と会いたいと悶々とする竹山だったが。書き下ろし長編浮気願望エロス。
目明しの金之丞ら三人を平然と殺め、江戸有数の大店から大金を強請りとった読売かわせみ屋・庄之助の魔の手は、ついに、南町奉行所・樺山富士太郎にも及び、身を挺して主人を守った中間・珠吉が斬られる。湯瀬直之進、倉田佐之助、米田屋琢ノ介らの必死の探索にもかかわらず、包囲網を突破する庄之助。業を煮やした与力・荒俣土岐之助が打った秘策とは!?大迫力の攻防戦、書き下ろし人気シリーズ四十二弾。
残暑の吉原が純白に染まる名物紋日、八朔。決して客と同衾せぬ伝説の花魁篝火は凄艶な白無垢姿で道中し、男たちを悶絶させる。だがその正体は、なんと幼少より吉原に匿われし尾張家の御落胤、徳川竜之進!江戸を騒がす妖術遣い「滝夜叉姫」一行の噂を耳にした竜之進は、隠し隧道から廓を脱け、胡乱な美姫の素性を暴くべく夜の上野へと乗り込む。“見返り柳剣”が浮き世の悪をしなやかに斬る!!大好評シリーズ第二弾。
寛永寺の本堂の落成を記念して、算額を奉納することになった。普請奉行から、算額作製の命を直々に受けた柏木新助は、ひと月で「魔方陣」を作らねばならなくなる。そんな折、新助は覆面男の集団に襲われている女を助ける。雪と名乗るその女から事情を聞くと、女の父親は魔方陣の大家だったが、図面を雪に託して、行方をくらましてしまったという。新助はさっそく、雪と共に父親の行方を探し始めるが…。注目のシリーズ第三弾。
魔女レジーナのもとで新しく人生をやり直す、元「嫌われ者のブタクサ姫」ジル。生徒として通う学園の調査学習のために訪れた湖畔で、実母クララの伝説を耳にしたジルは、クララを知る謎のメイド・コッペリアと出会い、復活した“不死者の王”と対決することに。そして戦いの末、最終魔導兵器の閃光に包まれたジルたちはーなぜか過去に飛ばされてしまった!?30年前の聖都で「巫女姫クララ」として暮らし始めたジル。もとの時代に戻る手がかりを求めて試行錯誤するが、怪盗“赤い羊”が聖都を騒がせてー。「なろうコン大賞」受賞作『吸血姫は薔薇色の夢をみる』の100余年後の世界を描く人気シリーズ、第6弾!
『ゲゲゲの女房』刊行から10年。夫・水木しげるとの突然の別れから3年。ゲゲゲの女房が綴る、夫への感謝と今の想いー。“水木しげるロード”最新版マップ付き!!