2018年9月22日発売
英語を使う仕事にあこがれていた貴美子は、一念発起して会社を辞め、語学留学を決行。帰国後、悪戦苦闘の転職活動の末、なんとか決まった米系企業で外資での一歩を歩み始める。キャリア志向のヒステリック上司、ステップアップのために職場を切り捨てる無情な先輩…。絵に描いたような癖のある面々に翻弄されながらも、少しずつ仕事の本質に気づき始めてー。外資系企業を舞台に繰り広げられるリアルお仕事成長物語。
湖のある街で老舗和菓子屋に嫁いだ朝子。浮気に開き直る夫に、朝子は告げた。「店を持ちたいの。本格的なフランス料理店を」。自分の野望に戸惑いながらも、東京の建築家・大和田に店舗設計を依頼した朝子。順調に滑り出すかと思われた矢先、大和田と訪れたレストランで夫の愛人に遭遇してしまう。揺れる朝子に、大和田は大胆に迫り、ついに二人は一歩踏み出してしまう。だが、地方の名家には周囲の目が張り巡らされていたー。
突如、大地震に襲われた“町”。道路が遮断され、15軒の家が完全に孤立した。サラリーマンの辻原、その妻で不倫中の桂子、子供を守る主婦の容子…。様々な事情を持つ人々を、「夜」が包み込む。これ以上ひどいことはないだろうと思われた。しかし完全な闇の中、人間ではない「何か」が人々を狙う。一人、また一人と犠牲者は増え…。極限下の人間の恐怖、混乱、死、そして強さをサスペンス色豊かに描き出す、パニック小説の傑作。
19歳の女子大生・真鍋今日子は、恋人木村の甘い囁きを頼りに、心中をほのめかす書き置きを残し、失踪した。翌日、今日子のハンドバッグと靴だけが海辺の崖で発見された。警察の急報を受けた両親が現場へ向かったが…。その後、海岸で発見された今日子らしき女性は、記憶を失っていた。一方、木村は新たに知り合った金持婦人を殺し、金と宝石を奪う。そして次々と起こる殺人事件…。天才詐欺師が企む罠。ピカレスク・ロマン。
押しに弱く、彼氏の坂西と別れられず困っていた歩美。今日こそはと坂西に会いに行く途中で、憧れの先輩・南田からデートの誘いの電話が入った。有頂天になった歩美がその勢いで坂西を強く拒むと、傷ついた坂西は車の前に飛び出しはねられてしまう。南田とのデートの時間が迫っていた歩美は罪悪感を覚えながらも坂西を見捨て立ち去るが、そのことが思わぬ形で歩美の人生を歪めていく…。表題作他2編収録。
早朝の教室で女子高生が原因不明の自殺をした。レポーターとして事件の取材をしていた白木は、少女の死を喜ぶ級友や嘘の発表をする学校に興味を抱き、自殺の原因を探り始める。調査を進めるうちに、何者かの妨害を受けながらも、少女の遺書を教師が隠したという噂を知る。真相究明のため遺書を探し出そうとする白木だったが…。少女の自殺の裏に隠された真相とは。驚愕の結末の表題作他1編収録。
20年ぶりに会う大学の先輩の辻堂から、妻が離婚に応じないと相談された弁護士の横手皐月。辻堂は愛人のマンションでヒモ同然の暮らしをしていた。妻の弁護士は、愛人に損害賠償請求をしたため、愛人は横手に弁護依頼をしたのだが、裁判の直前に依頼者である愛人が失踪。さらに妻は弁護士会館で何者かに殺害されてしまう。横手は友人の弁護士・睦木怜に相談し…。元弁護士が描く、弁護士業界の奥の奥。最高傑作本格ミステリ。
金椛国帝都。一族殉死の運命から辛くも逃れ、平穏な日常を取り戻した星遊圭。名門、星家の再興を望むものの、心中は複雑。父兄のように官僚を目指すか、好きな医学の道を志すか…。そんな中、ほのかに思いを寄せる明々から報せが。故郷の村で営む薬屋が嫌がらせを受けているらしい。相手は国士太学に通う豪族のドラ息子。明々を守るため、遊圭は国士太学へ進み官僚登用試験を受ける決意をする。傑作中華ファンタジー、青春編!
朝子の不貞に競り合うかのように、「みずうみ会」の婦人仲間・文恵は、街に招聘した作家・加藤に甘え迫った。二人の噂に自分達を重ね、怯える朝子。だが建築家の大和田はさらに大胆に踏み込んできた。開店するレストランのシェフの面接を理由に箱根を訪れた二人だったが、朝子の夫や友人の文恵の存在が恋愛感情に影をもたらしー。都会と地方、男と女、家庭生活と自立のめくるめくドラマをみずみずしく描いた傑作恋愛長編!
大手総合商社テイゲンに、同社と旧ソ連の不適切な関係を指摘する文書が届いた。現会長の糸山が、30年前に旧ソ連のスパイ活動を行ったというものだった。警察に届けるわけにいかないテイゲンは、秘密裏に危機管理会社「TCR」に解決を依頼。元刑事の長須恭介が真相究明に動き出す。そして犯人から現金10億円を要求する第2の脅迫状が届けられた。長須は、正義とクライアントの利益に葛藤しながら、巨大企業の“闇”に挑む。
享保9(1724)年、備中玉島の近く船尾村で、浅野平右衛門の末弟で茂七郎という若者の死体が見つかった。犯人は商家上成屋の倅、与市だという。やがて与市は自首し、公事方の調べの上、処刑された。だが数年後、江戸に下っていた長弟の安左衛門に驚愕の手紙が届く。与市と思われた死体は換え玉で、高野山で僧として生きているというのだ…。(「燈籠堂の僧」)日本の敵討ちに美学を見出した著者、最晩年の代表傑作!
“日本の敵討ちは単なる報復ならず、独自の“格”を遂に備えるに至った”(序文より)神武天皇、源頼朝、曾我兄弟、渡部数馬・荒木又右衛門、石井源蔵・半蔵、大石内蔵助…。日本の歴史上の敵討ちを、膨大な資料を繙き、丹念に書き起こした未発表草稿370余篇。その中から、弟子だった伊東昌輝が代表的な敵討ち27篇を厳選。股旅物で日本人の心を打ち、後の作家に多大な影響を与えた時代小説の巨星、50年ぶり幻の新作!
日の本一の「江戸店持、京商人」を夢見て大坂の大店に修行に出た清兵衛。だが急遽、実家に呼び戻されたことから、彼の悲劇が始まる。江戸以前から続いた縮緬問屋が見事につぶれかけていたのだ。父の左之助は放蕩の限りを尽くし、店の資金はおろか、今日の米まで買えない始末。店の番頭や手代も怠け放題。さらに、頼みの綱の借り入れも八方塞がり。絶望的な状況で、三代目を継いだ清兵衛は、粘りの商人魂で店の再建を目指す。
悪徳政商を成敗し、順調に周囲の信用を得てゆく大黒屋の角次郎。格式高い関東米穀三組問屋にも誘われ、大店の次男を手代見習いとして預かることになった。だが、旱魃による凶作は続く。そんな中、突然、大黒屋と信頼関係にあった館林藩領二つの村から来年の卸先の変更を言い渡され、卸されるはずの米俵半数と共に村名主らが行方不明となった。凶作米高で世間に不穏な空気が満ちる中、何者かの暗躍を感じ取った角次郎は…!?
11代家斉の時代ー江戸一番町の直参旗本家の次男として太平楽を送っていた高見沢彰吾。だが、兄に男子が生まれたことで厄介者となり、妻の忘れ形見である娘・志摩と家を出なければならなくなった。身分を捨てて尾張家家老・成瀬家の家来となった彰吾は、早速、中屋敷の用地買収を命じられる。屋敷奉行の兄とのつなぎ役として召し抱えられたわけではないと奮起する彰吾だったが、なぜか情報が漏れて思わぬ横槍が入り…。
ある日、伝馬町牢屋敷で火事が発生。避難のために囚人たちが一時的に解き放たれた。町火消『め組』の活躍で鎮火するが、臨月の女囚・お邦が姿を消してしまう。江戸城から抜け出した八代将軍・徳川吉宗は、貧乏旗本の三男坊・徳田新之助に扮して事情を探るがー(「獄中の花嫁)」。大岡越前が凶弾に倒れ、怒れる吉宗が江戸の闇を牛耳る謎の男と対峙する「闇の極楽」など全4話。国民的時代劇のオリジナル小説、シリーズ第2弾!
遅刻厳禁!明日、晴れるといいねー文化祭前夜、そう言い残した少女は、翌朝、密室状態のシャワールームで死んでいた。少女は、栢山高校バレー部マネージャーにして男子生徒憧れの的、森下栞。遺書が発見され自殺として処理されそうになる中、疑念を持ったバレー部員やクラスメイトの、真実を追う推理が始まる。立ちはだかる二重密室と若者ならではの痛みと殺意。横溝正史ミステリ大賞選考委員が奮い立った、傑作青春ミステリ。
「本と友達になれるなんて、とっても素敵なことだと思わない?」本好きの高校生・紙山ヨミは、司書教諭の紹介で「まほろば屋書店」で夏休みのバイトをすることに。そこは、魂が宿り生きている“まほろ本”を扱った、世にも不思議な書店だった。お店で出会った同僚の青年・サクヤは金髪で無愛想、不良みたいな見た目。しかし彼はいつも、ヨミが見たこともないほど美しい本を持っていてー。青春書店ファンタジー開幕!第2回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞受賞作!