2018年発売
劉邦軍の進撃と成長を描く第二巻! 劉邦には超人的な武威も徳もなかったにもかかわらず、項羽を倒して、天下を取った。 このふしぎさを合理のなかにすえなおせば、個の力ではなく、集団の力がそうさせたというしかない。 宮城谷昌光 農民の子に生まれ、五十歳手前まで平凡な一地方官吏に過ぎず、戦闘においても項羽におよばなかった劉邦が、なぜ漢王朝の初代皇帝になれたのか。「集団の力」に着目して、挙兵から皇帝即位までを描いた大河小説全四巻。 リーダーシップについて、人心掌握について、現代のビジネスパーソンにとっても、深い示唆に満ちた作品。 毎日芸術賞受賞作。
捜査中にミスを犯した宮澤は、捜査一課から警視庁公安部外事三課へ異動させられた。上司の椿は、将来の警察庁長官候補だったが離婚を機に言動がおかしくなり、周囲に腫れ物扱いされる公安の“アンタッチャブル”。宮澤は椿とともに、北朝鮮工作員らしき女の追跡を始めるが…。黒い笑いに満ちた著者の新境地。
小説家の千紘は、編集者の柴田に翻弄され苦しんだ末、ある日、パーティ会場で彼の手にフォークを突き立てる。休養のため、祖父の残した鎌倉の古民家で、蔵書を裁断し「自炊」をする。四季それぞれに現れる男たちとの交流を通し、抱えた苦悩から解放され、変化していく女性を描く。書き下ろし三篇を加えた文庫オリジナル。
江戸・神田の小さな菓子屋を舞台に、おっとりした菓子職人の兄、商才に長けた弟が菓子屋を切り盛りする「藍千堂」シリーズの第2弾。今作は、人日(じんじつ)、上巳(じょうし)、端午(たんご)、七夕(しちせき)、重陽(ちょうよう)といった五節句を題材に、季節の和菓子が登場する。 実はこの兄弟、江戸で名店と謳われる「百瀬屋」先代の息子たち。父母亡きあと、叔父の清右衛門に訳も分からず店から追い出されたのだ。兄弟は、亡き父の教えと「甘いもん」を前にした時の客の「いい顔」を励みに、職人の茂市と三人で店の評判を上げていく。そんなある日、菓子一辺倒”、仕事一筋の兄・晴太郎が恋をした。ところが、晴太郎が惚れた相手の元夫は、奉行所を牛耳る大悪党。前途多難な恋の行方に、追い打ちをかけるように不穏な影が忍び寄る。弟の幸次郎や、職人の茂市ら周囲の人々に助けられながら、晴太郎は一世一代の大勝負に出る。物語を読みながら、思わず胸が熱くなるのは、好きになった女性や周囲の人すべてを幸せにしたいと願う、晴太郎の生き方に胸を打たれます。 著者が考案したオリジナルの和菓子も魅力的。第5話に登場する子戴(こいただき)は、宮中の祝儀に使われたのが始まり。赤いもち米で作った餅を平たくしてくぼみをつくり、小豆餡を載せるものだが、藍千堂オリジナルはもっと涼やかだ。 和菓子屋「藍千堂」をめぐる物語の世界が広がり、奥行きをもたせて描かれています。 『あんこの本』の著者、姜尚美さんの解説も読みどころのひとつです。
任侠×グルメの大人気シリーズ第5弾! 24歳のフリーター、湯原和斗は奥多摩のペンションでバイト中。 大学は出たものの、いまだ“自分探し”中のフリーター生活を送っている。 宿泊客の今宮葉月は、ペンション近くが重要な現場のひとつである 未解決の5億円強奪事件について調べているが、まわりは怪しい奴ばかり。 そこに現れたのは、頬に傷持つあの男。 男がふるまう絶品料理と目前に迫る時効。 はたして事件は解決できるのか? こんどは何が食えるのか? 今作も、柳刃節とうまい飯が冴えわたる! 読めば、食べたい! 作りたい! 大人気書き下ろしシリーズ最新作!! 【主な目次】 1 焼きかげんひとつでプロの味。塩だけで食す絶品ステーキ 2 目玉焼もトーストもひと手間で激旨。朝食のセオリー 3 猛暑と汗と筋肉痛が調味料。人生でいちばん旨いおにぎり 4 簡単調理で驚きの美味しさ。真夏の鶏づくし 5 舌がとろける極上美味。スクランブルエッグと牛すじカレー 6 スーパーの鰻が専門店の味に。冷酒が旨い、ふっくら蒲焼 7 角煮とエビで生ビールがぐいぐい進む、夏のスタミナレシピ 8 豊饒な味わいが心を癒す。嵐の夜に食す大自然の恵み
部員の私的な不祥事で廃部寸前の樽大野球部。名ばかり主将の森、「しょせん私たちは…」が口癖のマネージャー苗穂、お人好しの恵山、加齢なる36歳新人砂原ら残党部員に突き付けられた部存続の条件は、名門・道大とのカレー作り対決?!ヤル気も希望もゼロの4人が一念発起?!読めば腹ペコな青春小説!庫書き下ろし。
「目標達成」と「働き方改革」の間で翻弄される日本のビジネスパーソンたち。 ブラック企業から人々を救え! 時代が待望した文庫書下ろし小説。 「カトク」とは、ブラック企業が社会問題化する中、大企業の違法な長時間労働を専門に取締る目的で、東京と大阪の労働局に作られた「過重労働撲滅特別対策班」の略称です。 主人公は、カトクの最年少監督官・城木忠司。ある過去の出来事がきっかけで、民間から労働基準監督官に転身した彼は、女性上司の村井真理班長の指導の下、今日もこの国の第一線で働く人々の苛酷な現実に誠実に向き合い、悩みながら奮闘します! 筆者は『狭小邸宅』はじめ、ブラック企業描写に定評のある新庄耕さん。すべての働く人必読の、文庫書下ろし長篇小説です! 【目次(取締対象)】 ・プロローグ ・本気の味(ブラック住宅メーカー) ・彼の言い分(巨大広告代理店) ・きっと変わる(新興IT系企業) ・化物が眠るとき(ブラック住宅メーカー社長)
周五郎が好んで書いた舞台、居酒屋と岡場所は「悲」と「哀」が生れるところである。はぐれ者のつどう居酒屋がかなしみの防波堤になり意外な展開をうむ「深川安楽亭」。岡場所の女の消えそうで消えないかなしみを描く表題作。子を持てない夫婦の行き場のないかなしみ「並木河岸」。悲哀を乗り越えていく男と女の貴い姿を描く九編。
「私は悪い人間です」そう書き遺し、第七明和銀行高田通り支店の若手行員樋口が死んだ。警察は自殺として処理するが、庶民行員の多加賀主水は、新田秘書室長より「死の真相を追え」と指令を受ける。吉川頭取たっての調査依頼だった。生前の樋口の交友関係を辿ると、悪徳政治家や貧困女子、不倫相手らが浮かび上がるが…。樋口の無念を晴らすべく、主水が悪に天誅を下す!
“雌ライオン”こと名探偵・生野エルザと猛獣使いの助手・川島美伽のもとには日夜、風変わりな依頼が舞い込む。ある日、地元の女子大生から“恋人の聖地”で元彼と永遠の愛を誓って鍵をかけた南京錠を外してほしいと頼まれる。二人は任務を遂行するが、後日彼女は密室状態の部室で首を吊って死んでいて…!?(「首吊り死体と南京錠の謎」)湘南の片隅で本格推理が光る、ガールズ探偵ミステリー!
雷鳥、はくたかなど多くの特急が行き交った“特急街道”北陸。越前一乗谷遺跡を買い取りたいと、戦国大名朝倉氏の末裔を名乗る麻樹という女が現われる。一方、東京で、人気ゲーム作家武井要の刺殺体が発見された。富山県高岡市にも姿を見せた麻樹が「タケイ」という相手に電話していたとの情報で、警視庁の十津川警部は富山に飛ぶ。だが、その矢先、新たな殺人が!
芸能事務所のやり手女社長が誘拐された。因縁の半グレ組織の動向を探っていた六本木署警備課BG三係の澤向健吾は、狙われた事務所の看板女優・真梨邑明恵の警護を命じられる。BG三係とは、悪辣な事案に限り非合法な先制攻撃を許された、新設の秘密護衛チームである。明恵への刺客を撃退した澤向。背後に闇組織の暗躍を知るや、さっそく罠を仕掛けるが…。
父親の伝手で、本邦初の大型旅客飛行船・月光号の記念飛行に招待された宮沢賢治。飛行船好きの賢治は、医者を目指す美しい乗客・最勝寺薫子と出会い、空の旅に心躍らせる。そんななか、乗客の一色子爵が、血まみれとなって自室で発見された。しかし、それは月光号で始まる惨劇の序章に過ぎなかったー空中の密室で繰り広げられる連続殺人に、名探偵・宮沢賢治が挑む!
京、尾張、駿河と殺しを続ける凶悪犯、「絵師」が江戸に入った。殺す相手の似顔絵を描くという特異な犯行で知られていた。臨時廻り同心鷲津軍兵衛は、絵師を追う駿府町奉行所の同心西ヶ谷に助力することに。そんな折、軍兵衛はひとりの浪人と出会う。気に入りの酒場で、伊良弥八郎と名乗る男と気持ちの良い酒を酌み交わすも、その表情仕草に尋常ならざる陰を見るー。
千両という高額な賞金が人気の、谷中大京寺の富くじに絡む殺しが続く。富札を財布ごと掬り取った男は堀に浮かび、札を預かった小間物商は刺殺される。抽選前なのに、なぜ?札には何かいわくがあるのか?同じ頃、風烈廻り与力青柳剣一郎は、陰富と呼ばれる御法度の富くじの取締りを命じられる。老中からのお達しというが…。庶民の夢、富くじの背後に蠢く闇を斬る!
七年の歳月が過ぎ、齢五十四となった園瀬藩の道場主岩倉源太夫。だれにも避けることのできぬ“老い”を自覚しつつも、かつて退けた剣士の挑戦を再び受けて立つ。挑戦者の註文は「真剣で」だったー(『歳月』)。道場を開いて弟子を持ち、後添いにみつを娶って、思いがけず子を得た源太夫。息子の成長と旅立ち、弟子の苦節と克服を見守る、逃徹した眼差しの時代小説。
信玄の埋蔵金伝説が残る山梨で、殺人と誘拐が同時発生。それぞれの事件を追う二人の名探偵が邂逅した時、武田家を支えた、戦国時代から続く名家の謎が浮上する!
なぜ「真珠湾」だったのか?欧州戦線への参戦を目論み、日本に仕掛けられるルーズベルトの謀略。開戦やむなしに至った時、命運を託された連合艦隊司令長官・山本五十六が見せた、もうひとつの貌とは?
2031年、ネットで「実験アシスタント募集」の広告を見つけた“僕”は、「先端脳科学研究所・脳内ビジョン研究室」を訪れ、目を瞠る。脳内に浮かぶイメージを可視化する「マインド・ピュア」という技術を開発していたのだ。しかもその裏では、さらに高度な研究が進行していた。アシスタントになった僕は、同じ被験者で、解離性同一性障害を抱える桜蘭に一目惚れ。彼女の別人格・空歩の妨害にもめげず、恋に、研究に取り組むが…。