2019年1月23日発売
30年前の誘拐事件を追う木立省吾は、容疑者の娘・江藤早百合を見つけたことから、被害者の兄・白川一希に接触を図る。一希の曖昧な記憶と葛藤の奥に潜む、衝撃の結末とはー静かに迫りくるヒューマンサスペンス!
戦後最大の未解決事件“瀬戸内バスジャック事件”に巻き込まれた十年前のあの夏から、声を失った三好詠葉、十七歳。彼女は舞原杏が教壇に立つフリースクールー靜鈴荘で、傷を抱える子どもたちと学び、穏やかに暮らしていた。佐伯道成が教師として働きはじめるまでは…。詠葉の揺れる心に気付かぬまま、生徒の不登校を解決しようと奮闘する佐伯。彼が辿り着いた正解とは?
土地を支えていたのはミイラ化した人柱だった。漆喰の繭に包まれた坊主の遺骸が発掘されると同時に、近辺では老婆の死霊が住民を憑き殺す事件が多発。曳き屋・仙龍と調査に乗り出した広告代理店勤務の春菜が見たものは、自身を蝕む老婆の呪いと、仙龍の残り少ない命を示す黒き鎖だったー!ひそかに想いを寄せる仙龍のため、春菜は自らのサニワと向き合うことを決意する。
同棲相手との未来に迷うフリーター、街を警らする女性警察官、恋に悩む大学生小説家に、駆け出しやくざや、八方美人の会社員。父娘の隔絶から麻薬強奪事件まで、この街は事件で満ちている!すれ違う彼らが起こす些細な波紋と、生じる驚きのドミノ倒し。神様が押すのは偶然という名の奇跡のスイッチ。気がつかないだけで、誰もが物語の主人公だ。大都市を疾駆する一夜限りの物語!
巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。人の身ながら、妖怪からもめ事の仲裁や解決を頼まれる『知恵の神』となった岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べたことにより、異能の力を手に入れた大学生の九郎が、この怪異に立ち向かう。その方法とは、合理的な虚構の推理で都市伝説を滅する荒技で!?驚きたければこれを読めー本格ミステリ大賞受賞の傑作推理!
幼い頃に両親を亡くし、孤独に生きる青山伊津子と、死んだ姉と常に比べられ母親に否定されつづける少女・小林美羽。たび重なる不幸に耐えかね、二人は自らの命を絶つことを思い立つ。交わらないはずの二人の人生は、この世でもあの世でもない「ある場所」で交差して…。彼らに聞こえた天からのメッセージとは。
読みまどい、辿りつけ。きっとあるはずだ。竹林(と美女)の理想郷が。十人の人気作家による「美女と竹林」モチーフの新作短編集。
北沢藍は職場の上司と不倫して、二人の子供を置いて家を出た。十年ぶりに実家に戻ると、男にだらしない母と、お金にがめつい祖母がうら寂しく暮らしていた。隣に住む幼馴染の馬場美代子は家族を見送り、今は祖父をひとりで看ている。介護に尽くす彼女は、孝行娘とあがめられているが、介護が終わったその先はどうやって生きていくのだろうか。実は、彼女の暮らす家には、世間を震撼させるおぞましい秘密が隠されていた。注目の作家初のクライムノベル。
都心まで一時間半の寂れたベッドタウン・辛夷ヶ丘。20年ほど前に“ハッピーデー・キラー”と呼ばれた連続殺人事件があったきり、事件らしい事件もないのどかな町だ。それがどうしたことか二週間前に放火殺人が発生、空き巣被害の訴えも続いて、辛夷ヶ丘署はてんてこまい。そんななか町で一番の名家、箕作一族の最後の生き残り・箕作ハツエがひったくりにあうという町にとっての大事件が起き、生活安全課の捜査員・砂井三琴が捜査を命じられたのだが…。(「ゴブリンシャークの目」)アクの強い住人たちが暮らす町を舞台にした連作ミステリー。著者の真骨頂!!
あたしは絶対にバケモノなんかじゃない!!でもあなたは…。世界の終わりは突然始まった。黒の海が大地を沈め、無数の「口」が全てを食い尽くしてゆく。この終末から逃れ、天国のような孤島に着いた少女らは、しかしそこでも海の彼方に「口」どもを見た。絶望までの時間を静かに暮らす中、彼女らは謎めいた漂着者らを助ける。だがそれは結果として、嘘と裏切りに満ちた殺し合いの始まりとなってしまった。魔女は、そして生き延びるべきは誰か?終末をかける少女らの超絶論理。
大内、尼子の二大勢力に翻弄される小国人・毛利家の次男に生まれた元就。山寺に隠棲し晴耕雨読する暮らしを夢見、出陣の前には子猫のようにおびえる若者だった。兄を亡くし、大将として、いつ敵方に寝返るとも知れぬ家臣たちをまとめた元就は、家をあずけることの出来る妻をもち、戦国を生き抜くために必死で足掻き、頭を使い、人を信じ、裏切り、兄弟、妻、そしてー大事なものたちを喪った。みずからも九死に一生を得て己の天命を知った男は、幾度も哀しみから立ち上がり、策を極めた逞しい武将となっていく。猛悪無道と恐れられ、武略名高き西国の雄と呼ばれた毛利元就。その戦いの生涯を描く傑作歴史小説。