2019年10月12日発売
戴国に麒麟が還る。王は何処へ──。乍驍宗が登極から半年で消息を絶ち、泰麒も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎は慶国景王、雁国延王の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。──白雉は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!
民には、早く希望を見せてやりたい。国の安寧を誰よりも願った驍宗の行方を追う泰麒は、ついに白圭宮へと至る。それは王の座を奪い取った阿選に会うためだった。しかし権力を恣にしたはずの仮王には政を治める気配がない。一方、李斎は、驍宗が襲われたはずの山を目指すも、かつて玉泉として栄えた地は荒廃していた。人々が凍てつく前に、王捜し、国を救わなければ。──だが。
昭和二〇年夏、敗色濃厚な太平洋戦争末期、考古学を研究していた大学生・外園武志は、帝国考古協会へ呼ばれ、三種の神器と並ぶ神宝・十種瑞宝の探索を命じられる。陸軍はその霊力を使い、戦局の挽回を図ろうとしていた。信長に奪われたともいう宝を探す最中、武志は『神事本紀』という古書に巡り合う。それには知られざる宗教の歴史と瑞宝の軌跡が記されていた。彼は巫女見習いの弓月眞理依や謎の男・煙藤四郎と古代の謎を追い求めるのだが…。傑作歴史冒険ミステリーの登場!
立秋を迎え、照月堂でも秋ならではの菓子を出し始めた矢先のこと。なつめは、店前の仕事を一人で切り盛りする番頭・太助に、疲労の色が滲んでいることに気づく。そんな折、太助をますます疲れさせる客が現れた。かつて、上野の菓子舗・氷川屋と競い合いをしたときに判定役だった無役の御家人・陶々斉だ。陶々斉は、競い合いの際に久兵衛が作った菓子を食べたいと駄々をこねる。一方、好調だった氷川屋の商いが下り坂となるなか、互いに惹かれ合う氷川屋の職人・菊蔵となつめの関係はー。物語がいよいよ動き出す、大好評シリーズ第六作。
花のお江戸の両国に、芹が女中として働く「掛け茶屋まめや」がある。芹は幼いころ、役者だった父のもとで芝居の稽古に励んでいた。しかしあることがきっかけで、芝居や踊りからすっかり遠ざかってしまう。ある日、芹は久しぶりに心の中で踊りの師と仰いでいる東花円の稽古所を覗いた。ちゃんと金さえ積めばあたしだって立派な師匠に弟子入りすることが出来るのに…。心にうずく妬み心を隠しつつ、踊りへの未練を捨てきれずにいた。そんな時、花円が突如まめやに現れて、意外な申し出をしてきたー。待望の新シリーズの開幕です!!
若葉の季節。初物好きの江戸っ子にとって、初がつおが出回る楽しみな時季だ。一膳めし屋丸九のおかみ・お高や、手伝いのお近もかつおが待ち遠しい。そんな折、先代から丸九で働くお栄は、古くからの友達・おりきに誘われ、飲み仲間四人で割符の富くじを買った。渋々買ったその富くじが…(第一話)。またある日、近所の俵物問屋・長谷勝の若い衆が、丸九の豆腐を食べて腹をこわしたと因縁をつけに来て…(第三話)。かつおのたたき、豆ご飯、冷ややっこに小さな甘味…笑えて泣けて、とびきりおいしい傑作時代小説第二作。
東京から逃げ帰った、元女優のタクシー運転手・和子は、イタコの祖母・鯛子と同居しながら、青森でスローライフを送っている。小学校教師で、従姉の薫は、いじめ問題に悩みつつ勤めている。この物語は、霊能力の持ち主である鯛子の活躍を描くーのではなく、和子と薫の独身女子二人組が、「花嫁人形真っ二つ事件」ほか諸々の謎に挑む、少々頼りない探偵譚にして、不器用な恋の物語。恋愛や仕事にちょっと疲れぎみの貴女を癒やす、ハートフルストーリーの開幕!
離婚して、都内のアパートに一人で暮らす田宮真澄、五十歳。ある日、パート先から自転車で帰る途中、何かをひいてしまった。猫だ。動物病院へ連れていくべきか、このまま行ってしまおうかー迷っているところへ別の三毛猫がやってきて、咎めるように鋭く鳴いた。真澄は、仕方なく猫を病院へ連れていき、迷いながらも飼うことにする。一方、拾われた猫は、真澄からある匂いがすることに気づいていて…。人と猫の温かな絆が生んだ大きな変化を描く、涙あふれる物語。
大阪北新地のはずれ、堂島川に面したカウンター五席の“バー堂島”。還暦近いマスター楠木正樹は元ブルース・ミュージシャン。美味しいお酒とつまみ、心優しい音楽が売りの、ざっくばらんなお店。女の子みたいに可愛い花屋のマロちゃん、ヘンな大阪弁のイタリア人アントニオ、お好み焼き屋のおやじ、氷屋の若旦那、スイミングインストラクターのカナちゃんなど個性豊かな連中がやってくる。「人生、なんでこうなの?」とお嘆きのあなた。バー堂島で飲んで笑って、ほろっとしよう。明日があるさ。心ほどける四つの物語。
草食系を通り越して老成した趣きのある高校生・園生くんは、ふとした偶然から、非の打ちどころのない美少女で学校一の人気者・小戸森さんが魔女だと知る。おまけに小戸森さんに「魔法でしもべにする」と宣言されてしまい、眉唾な魔法をいろいろ使われる羽目に。しかし、“しもべ”なんかではなく、小戸森さんの“恋人”になりたい園生くんとしては、なんとか小戸森さんの魔法に抗いたい。とはいえ、園生くんの前ではなぜか素が出てしまう小戸森さんは、今ひとつ魔女として本領発揮ができないようで!?超ド級の鈍感男子と超絶奥手魔女による、じれじれ“両片想い”ストーリー。
両親と死別した高校生の村瀬孝志は、生前に父が遺していた言葉に従って、小野進次郎という顔も知らない異母兄に会いに行くことに。鄙びた町で喫茶店を営む彼を訪ねた孝志を出迎えてくれたのは、一匹の白い猫だったー。その後、なんとか進次郎と顔を合わせた孝志は、にわかには信じられない話を聞く。なんと進次郎は“呪い”にかけられたせいで、満月の日以外、昼間は猫になってしまうのだという。日中の進次郎のサポートと、夜だけ営業する猫と触れ合える茶房・みかげ庵の手伝いを条件に、孝志は進次郎との同居生活を始めるが…。人の想いが交錯する、猫と癒やしのあやかし物語。
愛媛県松山市、ロープウェイ街。ここは、あやかしが人間社会に溶け込むように暮らす特別な場所。逢魔町とも呼ばれるこの土地で、誘われるように横道に迷い込んだ千舟は、一軒の風変わりなレストランを見つける。迎えてくれたのは、袴姿のイケメン料理人・真砂。彼が作る特製オムライスの味に感激した千舟は、自分を雇ってほしいと真砂に頼みこむが、実はこの“東雲”、あやかしばかりが訪れる店で…!?小さな十六日桜の木があるレストランを舞台に、千舟とあやかしたちの出会いを描く、ハートフル飯テロ物語。絶品洋食と松山名物が、あなたのお越しをお待ちしています!
上司からのパワハラと日々の激務に疲れ果てていた水戸幸次は、ある日自宅のポストに「女神の種」と書かれた袋が届いていることに気付く。説明書きのとおりに種を植えてみたところ、あっという間に実った球体から緑髪の小人の少女が誕生。ノルンと名乗った少女は「私があなたの女神なのですよ!」と宣言し、幸次が理想と考える世界へ連れて行ってくれると言うのだが!?現世と理想郷を行き来しながら楽しく冒険!押しかけ女神様と新米救世主の凸凹トリップファンタジー。
女子高生なのに、異世界へと転生してしまった少女マイル。彼女は神様の勘違いで平均の6800倍の魔力をもつ最強魔法剣士となり、女の子だけの新人パーティ『赤き誓い』のメンバーとなった。若手ハンターとして修行の旅を続ける『赤き誓い』だが、色々とやらかしてしまい…少女たちは危険な依頼を受けて、戦争直前の隣国・アルバーン帝国へ潜入することに!?レーナとポーリンが大暴走!帝国で大繁盛の商売を始めてしまう!そして帝都では、危険が彼女たちを待ち受けていた!好評のWEB版に大幅加筆。書籍オリジナルの『レニーちゃん奮戦記』も加えた待望の最新巻です!