2019年10月発売
小森甚治は流行作家・野山遊介の秘書だ。野山が書き散らした原稿を整えたり、作品に必要な取材をして資料を準備したりするのが仕事である。ある日、野山は偶然新宿で知り合ったホームレスの男から興味深い話を聞き、作品にしたい欲求にかられる。小森はその男からさらに話を聞くことを依頼されるが男は失踪し、やがて高山市の宮川で死体で発見された!?調査を進めるうちに、男が経営していた札幌のクラブのホステスで、高山出身の女がいることが判明する。飛騨高山で交差する連続殺人事件の真相は?書下し長篇。
大河シリーズ、完結へのカウントダウン、 いよいよ佳境に! 人の心の闇に憑き歴史の暗部に蠢く〈妖の者〉と〈神〉の識格をもってそれを退治する〈空の者〉。 生身の人間では見届けられぬ、太古より続く 両者の戦いに終止符が打たれる時が近づく。 眠り続ける里見十九郎を巡るそれぞれの想いが交差する「緋色の糸の研究」、路地裏の隠れ家レストラン〈シェヘラザード〉を舞台とする不可思議な“契約”にまつわる物語「千夜一夜の魔術師」の中篇二篇を収録。
病気で倒れた 母を思う 娘の気持ち。 あなたを 殺すのは、 私なのだから。 闇を抱えた 孤独な少女。 物語が行き着く 思いがけない 結末。 衝撃や号泣ではなく 確かな感動がここにある。 二十歳の誕生日目前、急病に倒れた瀕死の母親を見て、 路子はやり場のない怒りを抱く。 「お母さん、病気なんかで死なないで。あなたは、私が殺すんだから……」 路子は看病に没頭する。 治して、また自ら殺すための看病の日々。 真摯な医師・鷺森、難病の少女・彩乃らとの交流は、 愛情薄い両親への復讐心に凝り固まった路子の心を 解すことができるのか……? 感涙のドラマ。
禁裏付役屋敷に押し込み捕縛された南條蔵人は、身柄を京都所司代に移された。二条大納言に動揺が走る。彼を裏で操っていたことが露見すると禁裏での立場が危うくなるからだ。家宰に蔵人奪還を命じるが、朝廷の弱みを握りたい老中松平越中守は動きを察知し、対抗策をとるー。朝幕の政争が激化しきな臭さは増すばかり。そんな中、禁裏付の東城鷹矢は驚きの一手を打った。その真意とは!?
『若冲』『落花』等で注目の歴史小説家、 澤田瞳子の原点 デビュー作にして 中山義秀文学賞受賞作 『孤鷹の天』で描かれた 奈良の世に生きる人々の姿を 活写した傑作集! 【三省堂書店有楽町店 内田 剛氏絶賛!】 本作から澤田文学に触れた読者は極めてラッキーだ。 この著者のエッセンスと最大長所を余すところなく 知ることができるからだ。 歴史ものを書かせたらいま最も信頼のおける 書き手と言っても差し支えないだろう。 (解説より) 阿倍女帝こと孝謙天皇に寵愛され、 太政大臣禅師や法王などの高職に 就いていた頃の面影は、もはやない。 女帝の死後すぐに下野国薬師寺別当に 任ぜられた道鏡は空ばかり見て過ごしていた。 そこに行信と名乗る老僧が道鏡に近づき 「憎い相手はおらぬかーー」と囁く。 そのとき、道鏡の心に浮かんだ顔は……。 奈良時代、治世の安寧を願いつつ生きる 人々の姿を描いた珠玉の短篇集。 【収録作品】 「凱風の島」命懸けで荒波を乗り越えた遣唐使たち 「南海の桃李」西海道整備に尽力する吉備真備 「夏芒の庭」大学寮の若者たちと橘奈良麻呂の乱 「梅一枝」石上朝臣宅嗣と門人の賀陽豊年との絆 「秋萩の散る」左遷された道鏡と行信の苦悩
警察小説の俊英・鈴峯紅也の新シリーズが起動! 警察・ヤクザ・政治家、三人の友人が集い悪を斬る! 浅草東署に配属されてきた新海悟。小規模署ながら、やり手が集うと言われる浅草東署だったが、出会う人々は一癖も二癖もある難物ばかり。ある日、竹馬の友であり、テキ屋を商う瀬川藤太から人を捜してくれないかとの連絡がはいる。新海は浅草東署のメンバーと、同じく旧友であり政治家秘書官でもある坂崎和馬に協力を求める。しかし事件はやがて、新海の予想を上回る大規模なものへと発展していく。三人の友が集うとき、正義が執行される! 鈴峯紅也(すずみね・こうや) 1964年千葉県生まれ。ライター20年ののち、2015年12月に「警視庁公安J」で警察小説の作家としてデビュー。他のシリーズに「警視庁組対特捜K」「警視庁監察官Q」がある。
勘定奉行から密命を受け、武州へ旅立った笠井半蔵。甲州街道を荒らし回る悪党どもを人知れず成敗するための旅である。道中、甲府方面で暴れていた無頼一味が笹子峠に逃げ込んできたのを知った半蔵はこれを迎え撃つ。しかし思わぬ反撃を受け窮地に立たされることに。一方、江戸に残してきた愛妻・佐和にも邪悪な影が忍び寄っていたー!時代剣戟の好評シリーズ第四弾。
30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件。死刑がすでに執行済みにもかかわらず、被告の娘が再審を請求した。娘の主張が認められれば、国家は無実の人間を死刑台に追いやったことになる。司法の威信を賭けて再審潰しにかかる検察と、ただひとつの真実を証明しようと奔走する娘と弁護団。「権力vs.個人」の攻防を迫真のリアリティで描く骨太ミステリ小説。
大阪府警の堀内は恐喝がバレて依願退職。民間に拾われるが、暴力団と揉めて刺され、左脚に障害が残る。収入はゼロになり、女には逃げられ…。そんなとき刑事時代の相棒、伊達が二十兆円市場と言われるパチンコ業界にシノギを見つけ、協力を求めてきた。警察、極道との癒着、不正な出玉操作ー業界の闇に、堀内は己の再生も賭けて切り込む。
破綻国家の国債を二束三文で買い叩き、欧米で訴訟を起こし、勝訴判決を受けるや、その国のタンカーや外貨準備、はては人工衛星まで差し押さえ、投資額の十倍、二十倍のリターンをむしり取る「ハイエナ・ファンド」。日本ではほとんど報道されていないその実態や欲望渦巻く国際金融市場の苛烈な闘いを、綿密な取材をもとに描ききった話題作!
ペルー、ザンビア、コンゴ、ギリシャを血祭りに上げたヘッジファンドは、アルゼンチン政府との十五年戦争に突入。一方、国際NGOがファンドによる強奪と権力者の汚職を阻止しようと、先進国や国際機関に働きかける。だが、NGOからも金に窮してヘッジファンドへ転職するメンバーが出現ー。激烈な国際金融バトルを制し、最後に笑うのは誰か!?
金も仕事も住処も失った元エリート・溝端了衛は20年ぶりに故郷に帰る。 だがそこは、携帯の電波は圏外、住民は曲者ぞろいの限界集落。 地域に溶け込む為、了衛は手を尽くすが、村八分にされ、さらには愛犬が不審死する。 追い詰められ考えた乾坤一擲の策は予想外の結末をもたらしーー。 降り注ぐのは恩寵か厄災か。著者史上最狂ミステリ。
「恩師が跳び降り自殺しないように見張ってほしい」と大学OBの居酒屋店主から頼まれた匠千暁は、現場で待機するも先生を死なせてしまう。老教師の死の理由を追い、真犯人から“悪魔の口上”を引き出す表題作。刑事の実家で二十三年間続く午前三時の心霊現象の謎と隠された真実を解く「無間呪縛」他、読み応えたっぷり、四つの珠玉ミステリ集。
企業交渉人・鶴谷康に舞い込んだ新たな依頼は、横浜市で持ち上がったカジノ(IR)誘致事業への参画を突如取り消されたアミューズメント会社の権利回復。分の悪い仕事を鶴谷は男気で請けるが、政官財と裏社会の利権が複雑に絡み合う交渉は、想像を絶する事態を招いた…。欲望の渦に揉まれる「捌き屋」に活路は!?人気シリーズ最新作!
憧れのファッション誌からオカルト誌へと異動させられた雛子の初仕事は、宇宙オタクの高校生・二宮竜胆への取材だった。彼は並外れた頭脳と洞察力、さらには見目麗しい容姿を持ちながら極度の人間嫌い。超高層マンションの最上階に引きこもりながら、十年前にたった一度声を聞いただけの、“あの人”との再会を待ち望んでいた。青春ミステリー。
高校二年生の真緒と暮らす祖母・千絵の仕事は、割れた器を修復する「金継ぎ」。進路に悩みながらもその手伝いを始めた真緒はある日、引き出しから漆のかんざしを見つける。それを目にした千絵の困惑と故郷・飛騨高山への思い。夏休み、二人は千絵の記憶をたどる旅に出るー。選べなかった道、モノにこめられた命。癒えない傷をつなぐ感動の物語。
「いつでも、誰でも人格者になれます」。名前も年齢も異なるのに、同じ性格をもち同じ行動をする人達がいる。彼らは、チェーン店ならぬ「チェーン・ピープル」と呼ばれ、品行方正な「平田昌三」という人格になるべくマニュアルに則り暮らしていた。そんな時、429人目の平田昌三が、殺人事件を起こす。温和なはずの彼は、なぜ人を殺めたのかー。
国家が存在を秘匿する超能力者養成機関・悠世学園。全国から集められた子どもたちが日々訓練していた。ある日、一人の平凡な男子生徒・左木陽佑が瞬間移動の実技訓練中“ある力”を暴発、ペアを組んだ女子・高馬さくらとともに行方不明に。だが、これは国家を揺るがす大事件の前兆にすぎなかった。抑え込まれた“何か”が二人の行く先々で動き出す。
急成長した健康食品会社の社長が事故死した。遺言書が無いため、自由奔放な妻・武光まり子は10億の遺産を独り占めするはずだった。しかし、財産を食い潰す息子、会社の乗っ取りを狙う医師の義弟、そして突然現れた非嫡出子らの企てに嵌められていく。無欲を装い、ひとり勝ちする悪党は誰か?昭和を舞台に黒い欲望と打算を描く相続ミステリー。