2019年2月14日発売
春を彩る初午、吉原の稲荷も商売繁昌を願う遊女や客で大賑わい。なかでも紅白梅の打掛で現れた篝火花魁の艶姿は見物人を蕩けさせる。だがその正体は、廓に匿われし尾張の御落胤、徳川竜之進!隠し隧道から市中に抜けた竜之進は謎の医者駕籠、さらには美女の神隠しの噂に胸騒ぎを覚える。そんなさなか、喧嘩友達である読売屋の楓が怪しい男に襲われる。忍び寄る敵は何者なのかー。“見返り柳剣”が浮き世の悪をしなやかに斬る!!大好評シリーズ第三弾。
公方様の御犬「仁王丸」も年頃になり、嫁とり話が持ち上がった。花嫁はやはり雌のマスチフで、名は「弁天」。体重13貫(約50kg)の堂々たる女丈夫である。が、初日に仁王丸が鼻息荒く強引に迫ったせいですっかり嫌われてしまう。わざわざ田沼老中まで動かし長崎から連れてきただけに、「気が合わなかった」ではすまされない。官兵衛は二匹の恋を実らせようと、御犬番の誇りを懸けて奮闘する。一方、小笠原家の三女・武の大奥奉公への面接試験「お吟味」も佳境を迎えていたー。笑いあり涙ありの御犬時代小説、感涙の完結編。
東京生まれの名古屋大医学生、鏡味龍が名古屋に暮らして一年半が経った。ある日学食で龍は、ウェブ編集者の平野里央から、「こんなに美味しそうにきしめんを食べるひと、見たことがない」と、「名古屋めし再発見」という連載のモデルに勧誘される。ひつまぶし、おこしもん、生せんべい、インディアンスパゲッティ……名古屋めしと名古屋の魅力が満載の大人気作、待望の第二弾!
居酒屋「ぜんや」の女将・お妙は、亡き夫・善助の過去について新たな疑念にとらわれ、眠れない夜が続いていた。そんななか、店の常連客である菱屋のご隠居の炉開きで、懐石料理を頼まれる。幼い頃に茶の湯を習っていたお妙は、苦い思い出を蘇らせながらも、客をおもてなししたいというご隠居の想いを汲んで料理に腕をふるう。湯葉の擂りながし、かますの昆布締め、牡蛎の松前焼き…つらい時こそ、美味しいものを食べて笑って。「ぜんや」がつなぐ優しい絆に心あたたまる、傑作人情小説第六巻。
三剣豪を打ち破るべく、一年余りの廻国修行で強さを増して江戸に戻った若侍・慎十郎。ある日、慎十郎に絶大なる信頼を寄せる老中・脇坂安董から呼び出され、家斉公逝去の報とともに思わぬ密命を言い渡された。水野越前守を亡き者にせよというのだ。安董のために命を賭けても事に臨みたい慎十郎だったが…。金にも権力にも無欲の男が、世のため人のために正義の鉄槌を下す!大人気シリーズ、感涙必至の堂々完結。
栄華絶頂の蘇我氏が討たれた乙巳の変から数年。緑あふれる野中の里で国史編纂に力を注ぐ父のもと、ヤマドリとコダマの兄妹はすくすくと育っていた。盲目の妹コダマは一度聞いたことはけっして忘れない聡耳の持ち主で、物語を愛する美しい少女へと成長する。だが日本の黎明に揺れる政争が、彼女を数奇な運命へと導いてー。時を越えて愛される日本神話の数々と、激動の世を生きたひとりの女性を鮮やかに描く長篇小説。続々重版した話題作が、待望の文庫化。
大坂天満の互服商「五鈴屋」は、天災や大不況など度重なる危機を乗り越え、江戸進出に向けて慎重に準備を進めていた。その最中、六代目店主の智蔵が病に倒れてしまう。女房の幸は、智蔵との約束を果たすべく立ち上がった。「女名前禁止」の掟のもと、幸は如何にして五鈴屋の暖簾を守り抜くのか。果たして、商習慣もひとの気質もまるで違う江戸で「買うての幸い、売っての幸せ」を根付かせたい、との願いは叶えられるのか。新たな展開とともに商いの本流に迫る、大人気シリーズ待望の第六弾!