2019年2月14日発売
平成元年2月9日、歩は、夢への一歩を踏み出すべく大分にある鳥羽デザイン専門学校漫画コースの入学試験に挑む。漫画家になりたいと希望に満ちて入学した生徒たちは、平成31年を迎えて、どんな大人に成長したのか。平成を生きた少年たちの漫画家青春群像活劇。
鉄砲をどう運用すべきか。毛利水軍に勝てる船とは。どうすれば天候を予測できるか。天下統一までの道にちりばめられた謎を、信長だけが解き明かしていく。もっとも先を見据えていた男が最後に導き出したのはー自らの死後、明智を破る秘策だった。史実を踏まえつつ、独自の着眼でこれまでの信長像を大きく飛躍させる一冊。
北町奉行所定町廻り同心・渋井鬼三次の息子・良一郎が幼馴染みの小春と失踪した。書き置きから大坂への欠け落ちが疑われた。腕利きの文六親分の下ッ引をつとめる良一郎が何故?“鬼しぶ”と綽名される友の心中を察した市兵衛は、若き日、算盤を学んだ大坂へ。二人の捜索中、市兵衛は良一郎が探っていた、大坂に本店を持つ騙りの噂が絶えない両替商を見つける…。
座敷牢暮らしももうすぐ三年になろうかという、本所の無頼旗本・勝小吉。最近は悪友の早川又四郎にすら愛想を尽かされている。のちに勝海舟となる息子の麟太郎の笑顔に時には反省もするが、ぶっかけ飯しか食わない男や切腹する犬などの怪事件を聞くや、事件解決の手柄を独り占めしようと…抜群の推理力と笑えるほどの駄目さ加減が心をほぐす痛快時代推理小説。
年が明けて文政六年、北紺屋町の料理屋“はないちもんめ”で「怪談噺の会」が催された。爽やかな二枚目で弁も立つ戯作者による季節外れの人魚の怪談は、店の大女将お紋、美人女将お市、見習い娘お花が供する温かな料理の甲斐もあって盛況のうちに終わる。しかし数日後、両国で揚がった心中と思しき男女の水死体には右腕がなく、件の怪談を彷彿させた…。
闇夜に煌めく白き刃ー隠密廻り同心結城龍三郎の家を黒い影が襲う!辛くも四人の賊を退けたが、残された直刀から、忍びの者による襲撃と睨む。若い女性の神隠し事件で、目白の寺を探り始めた矢先のことだった。なぜ龍三郎の命を狙うのか?神隠しとの関わりは?龍三郎は探索を進めるが、恋女房のお藤を人質にとられ…。幕府を牛耳る巨悪と対峙する!
夜の海で船火事が発生した。炎はたちまち広がり、千石船を呑み込んだ。助かった者はなく、相州屋の元寄子・庄造もその船に乗っていた。しかし、火事には不審な点が。庄造と祝言を挙げる予定だったお栄の様子もおかしい。探索に乗り出した忠吾郎らだったが、そこには普請奉行・財津弾之丞の影がちらつき…。驚愕の顛末、そして船火事に絡む大きな陰謀とはー?
廻り髪結いの新次郎は切れ長の目だがきつい印象はない。細面で鼻筋が通り、眉も弓なりの優男風だ。人気の女形に似ているらしい。得意先の薬種屋・竹屋を訪ねると、主人は小町番付で娘のお鈴が東の小結になったのを無邪気に喜んでいた。ところが、お鈴は何者かに襲われ顔に傷を負ってしまう。番付が囚の凶行と考えた新次郎が真相を探るや、想像を超えた悪行が…。
美濃の僧沢彦宗恩は那古野城の平手政秀の招きで尾張を訪ねた。政秀は織田弾正忠家三代に仕える家老で、当主信秀の子吉法師の傅役でもある。吉法師は神童との声もあったが癇癖が強すぎたため、沢彦に師を懇願したのだ。彼の聡明さに触れた沢彦は依頼を受ける。だが、沢彦は臨済宗妙心寺派の最高位をつとめた美濃の宝である。乱世の最中、様々な嫌疑をかけられ…。
陸進不動産の金庫から七百万円が忽然と消えた。責任を問われ、経理課の酒巻伸次と御木本平吉が解雇される。金を盗むことができたのは、酒巻含め経理課の六人のみ。納得いかない酒巻は真犯人を突き止めるべく、巧妙な罠を仕掛けるがー(「白い悲鳴」)。事件の陰に潜む哀しい人間模様を描いた四篇を収録。殺人、愛憎、裏切り、復讐…意表を突くどんでん返しのミステリー集。
ローンの返済も殺人も、無理なく実行できるものが望ましいーと語る推理作家の世古先生は、新たなトリックを生み出すため日夜実験を重ねていた。そんな時、馴染みの居酒屋に勤める青年・ガクが「ぶっ殺したくなるくらいヤなやつがいる」と言い出す。ガクのリクエストに応えて、古今東西の名作ミステリーを駆使しながら世古先生が繰りひろげる斬新なトリック談義。果たして完全犯罪は可能なのか!?ブラックユーモア・ミステリーの快作!
警察庁の公安秘密組織『十三階』。この組織は国家の異分子を排除するためには、ときに非合法な捜査も厭わない。盗聴、盗撮、身分偽装ー最強のスパイ組織にはなんでもありだ。若き刑事・黒江律子は北陸新幹線爆破テロを起こした『名もなき戦士団』を壊滅させるため、ハニートラップさえ駆使して捜査にまい進する。だが、接触したテロリストを愛してしまったかもしれないー捜査の過程で苦悩する律子は首謀者「スノウ・ホワイト」を逮捕できるのか!?緊迫のスパイサスペンス始動。シリーズ第一弾!
人気女子アナだったが不倫スキャンダルを起こし閑職に異動になった児島貴子。仕事も私生活も荒みきった貴子に全国のお祭りを取り上げる番組企画が舞い込む。嫌々ながらも貴子はかつて亡き父と暮らしていた鹿児島の南大隅町の奇祭のことを思い出す。美しい自然と優しい町の人々に触れながら、次第に貴子の心に変化が訪れ…。笑いと涙の復活エンターテイメント小説。
契約結婚の“秘密”が暴かれれば、この国は再び戦禍に巻き込まれるー大陸西方の大国「相」。『遠慮がない・色気がない・可愛げがない』で知られる三十路手前の女官吏・陶蓮珠は、ある日、武官姿の男に声を掛けられる。隣国「威」の言葉がわかる独身女性を探していた彼は、蓮珠を嫁にほしいと言い出した。冗談だと思った蓮珠は適当に返事をするが、男は真剣な表情。彼の名は郭翔央。威の公主を娶るはずだった新皇帝の、双子の弟だった。ページをめくる手がとまらない、圧倒的中華後宮ファンタジー!!
行き倒れの猫は記憶喪失の猫叉(しかもイケメン)だった!?神戸元町で猫と人を幸せにするためのレンタルキャット店を営んでいる千早は、ある悲しい出来事を経験して以来、慢性的な不眠症に悩んでいた。さまざまな個性を持つ猫と穏やかな日々を過ごす千早は、ある日、生き倒れの黒猫を拾う。が、その猫は人語を操る猫叉だった!神戸元町を舞台にした、個性的な猫たちと人とのハートウォーミングストーリー。
公設秘書を勤めている代議士の引っ越し作業を手伝っていた石岡は、これまで意識していなかった代議士夫人からエロティックなものを感じ、当惑する(「汗淫」)。その他、19年前に一度だけ思わぬ関係を持った画家と人妻の再会譚や、エリート官僚の妻が小さなきっかけで不倫の関係に踏み出すなど、人妻たちが淫らな陥穽に落ちていく心情を描いた短編全7作を収録した、珠玉の官能短編集。
北町奉行所臨時廻り同心・白縫半兵衛は、吟味方与力の大久保忠左衛門から、旧友・村上左兵衛を探るよう頼まれる。左兵衛の倅の懸念どおり、六十二歳の左兵衛が年甲斐もなく女子に懸想していたら、やめさせねばならぬと。半兵衛らが後を追うと、左兵衛は茶之湯の師匠をしている後家と連れ立って遠方の薬種問屋に行き、毒薬(石見銀山)について訊いた。二人は何をしようとしているのかー。酸いも甘いも噛み分けた半兵衛の人情裁きが冴える、人気書き下ろしシリーズ第七弾!