2019年3月11日発売
第161回直木賞受賞作。 選考委員激賞! 虚構と現実が反転する恐ろしさまで描き切った傑作! ──桐野夏生氏 いくつもの人生が渦を巻き、響き合って、小説宇宙を作り上げている。──高村薫氏 虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた── 「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ 人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作! 江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。 大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。 末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。 父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、 弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。 著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。 筆の先から墨がしたたる。 やがて、わしが文字になって溶けていく──
ノワールな青春ってどうよ? 大学卒業後2年勤めた企業を辞めて警視庁に奉職。 元高校球児の新米巡査・坂下浩介、27歳、今日もヤバすぎる街・歌舞伎町を警邏中ーー “もしもまた、新宿のどこかで俺を見かけることがあっても、決して声をかけないでくれ" “やつはヤクザで、おまえは警官なんだ。おまえは警官を辞めれば済むが、やつらにはそんな逃げ道はないんだよ" ゴールデン街や区役所通りが近い、ここ《花園裏交番》は、配置人員と酒がらみのトラブルの多さから「裏ジャンボ交番」と呼ばれている。新米巡査・坂下浩介は、重森班長の下、ヤクザになったかつての恩師やビッグ・ママと恐れられる新宿署捜査一課の美人警部補に揉まれながら、欲望に忠実に生きる人間たちに対峙するーー。
上流域での豪雨で荒川の決壊が懸念される真夏の金曜日、千葉と埼玉で竜巻が発生、変電所を襲った。結果、二十三区を含む広範な地域が停電、JRや地下鉄は運休を決め、帰宅困難者が街に溢れることに。止まない雨に刻一刻と洪水の危険性が高まる中、首相と政策顧問団は党の公約に拘り、準備していた防災計画を場当たり的に変更していく。やがて荒川が決壊、墨田区などが水没。顧問団は危機管理監らに責任を被せる形で更迭し保身に走り始める。そしてその悪魔の矛先はついに、たった一人残された内閣府の防災担当企画官・文月祐美に向かう!命懸けで持ち場を死守する人々を守る、もう一つの闘いの行方は!?
出演者同士の殺し合い、まるで『ハムレット』の見立て殺人!?直木賞作家が描く、シェイクスピア×ミステリ。夢の中で助けを求めてきた大女優のために私立探偵・山浦歩が挑む事件の謎。
客席最前列の男が、暗闇のなかで喉を掻ききられて死んでいた。男は上演中の芝居のもと脚本家だった。駆けつけたマロリーとライカーは捜査を開始する。だが、劇場の関係者は、俳優から劇場の“使い走り”に至るまで全員が変人ぞろい。おまけに、ゴーストライターなる人物が、日々勝手に脚本を書き換えているという。ゴーストライターの目的は? 殺人事件との関わりは? 氷の天使マロリーが、舞台の深い闇に切り込む。好評シリーズ。
ここはウサギ穴に落ちたり、鏡をくぐり抜けたりして異世界へ行き、帰ってきたものの、現実世界に適応できない子供たちに救いの手をさしのべる学校。ある日学校に空から少女が降ってきた。彼女は、スミの娘と名乗る。だが、スミは死んだはず。それを聞いた少女はスミを取りもどさないと自分が消えてしまうと訴えた。そこで友だち4人がスミを取りもどすべく死者の世界に旅立つ。ファンタジーの醍醐味を凝縮したヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞受賞シリーズ完結。
マリアナ諸島が米軍の手に落ちたことで、本土が焼け野原になるのを阻止するためB29対策が深刻な問題となった。海軍は空技廠を中心に軍・民・学の総力を集めて、ターボジェット発動機を搭載した戦闘機開発に邁進。本土防衛の切り札となる震電戦闘機隊が誕生した。昭和20年2月10日、父島監視哨が100機を超えるB29の大編隊を捉えた。出撃した震電戦闘機隊は半数のB29を撃墜し、空襲を防ぐことに成功。しかし米軍は日本軍に対抗するため、夜間の無差別攻撃に踏み切る。日本は本土を守ることができるか…。