2019年3月6日発売
あの名作『そして誰もいなくなった』を再解釈し、大胆かつ驚きに満ちたミステリに仕上げた表題作をはじめ、ラジオドラマ脚本として描かれ、小説としては世に出ていない掌編や、自殺志願者の恐怖と悔恨を描く傑作ホラー「劇的な幕切れ」、書店店長の名推理が痛快な日常ミステリ「本と謎の日々」など、一作たりとも読み逃せない名作揃い。有栖川有栖作家デビュー30周年記念を飾る、華麗なる傑作作品集!!
2020年に現実に流されるという人工流星をテーマに、その舞台となる広島で繰り広げられる青春SFストーリー。広島県廿日市中央高校の天文部に所属するりょう。人工流星の話を聞き、当日見に行くのだが…。その日を境に、りょうは、“明日”に進むことができなくなる。これは、“人工流星”という自然に逆らった事柄のせいなのか。なぜ時空がずれたのか、何度も訪れる同じ日の中で、りょうは、その理由を探し続ける。そして、物語は衝撃のラストへと進む…。
アイスランド北部の建設現場で男性の撲殺死体が発見された。シグルフィヨルズル署の警官アリ=ソウルは捜査に駆り出される。一方、首都レイキャヴィークの女性ジャーナリスト、イースルンも調査のため北に向かった。被害者の足跡を追ううち、事件の裏側で一人の少女が命の危機に瀕している可能性に行きあたる。少女の居場所は?その頃、アリ=ソウルの同僚フリーヌルには脅迫メールが届いていた。ある過去を抱える彼は、精神的に追い詰められてゆき…。世界的ゲームクリエイター・小島秀夫氏が「マニアも唸らせる傑作」と評した、北欧ミステリの真骨頂。
華々しいデビューを飾ったものの、ファミレスのバイトで食いつないでいる作家・豊隆と、大手出版社の文芸編集部で働く俊太郎は、幼なじみだ。「いつか一緒に仕事を」。その約束は果たされないまま、豊隆は無収入の状況に陥り、俊太郎が所属する編集部も存続の危機にたたされる。売れない作家と三流編集者。逆境の中にあっても、互いの才能を信じる二人は、出版界の常識を無視した一手を放つ。小説の役割は終わったのか。出版不況をリアルに描き、業界の内外をざわつかせた問題作が、ついに文庫化。あなたは、傑作誕生の瞬間を体感する!
逢魔が時、赤い橋の上に巷で評判の占い老婆がいた。『玉占〜たまうら』と書かれた行燈の傍らに大きな壺とでぶ猫。ままにならない人生に疲れた四人の男女が老婆の手招きに誘われて、壺から取り出した玉は正直玉、なまけ玉、やきもち玉、はずれ玉。それが四人の不運の元だった。「大福や、ちょいと一働きしておくれ」と老婆に言われた白いでぶ猫が、壺に上体を突っ込んでくわえてきたのが、四人の人生を逆転させる、ほら吹き玉、働き玉、妬かれ玉、当たり玉。老婆から一日八文で借り受けた玉は果たして悩みを解決してくれるのか。おもしろ怖い江戸ファンタジー!
ユウ(三輪勇)は、第一志望の商社に落とされ、母親が社長を務めるミツワネジに入社。現場研修を経て、同期の辻と同じ営業に配属された。営業の取引先は、ネジを扱う顔なじみの商社ばかりだった。直接提案型の営業もしたいと考えたユウは、飛び込みでメーカーを回るが、相手にされない。ある日、荒川の河川敷で消波ブロックの製作現場を見たユウは、新しいボルトのアイディアを思いつく。幾度もしがらみと闘いながら、業界のスペシャリストとともに新しいネジの開発に携わるようになる。ヤル気が出る!華恵さんオススメのモノづくり小説。文庫オリジナル。
アラバマ大学の教授トムは、元大学フットボールの全米王者。弁護士として活躍した後、母校の法学者として順風満帆な人生を送ってきたが、いまは絶望の中にいた。癌で妻を失い、信頼していた友人からの裏切りに遭い、不名誉な罪を着せられて職を追われ、さらにトム自身も膀胱癌に冒されていることが判明。昔の恋人から「娘一家を奪ったトレーラー事故の真相を知りたい」と相談されるが、教え子のリックに弁護の橋渡しをして故郷に身を隠してしまう…。正義をあきらめない者たちが、死力を尽くし人間の矜持を賭けて法廷で闘う。全米で話題の胸熱リーガル小説!
五仙大陸の南、焦の公主として生まれた瑠蘭は、国に災厄をもたらすと予言された凶鳥姫。人の過去を読む力まで持っていたため周囲に疎まれ、孤独な日々を過ごしていた。それでも、いつか国の役に立ちたいと願う瑠蘭だったが。ある日、王宮が青い炎に包まれた。火を放ったのは前王朝を滅ぼしたとされる神仙・蒼焔だ。神仙に唯一太刀打ちできるのは鵬天という仙人だと知り、瑠蘭は彼が隠棲する山へ向かう。ところが、ようやく会えた鵬天は偏屈な変わり者。国の一大事にも一切力を貸す気はないようで…?宿命の公主をめぐる絶品中華風ファンタジー!
名門・英王学院に通う塔野仁は、父親の会社が倒産して極貧に。苦労知らずの級友たちは激変した仁に戸惑いを隠せない。そんな彼らのクラスに元人気俳優の神木律が編入してきた。人生をリセットするという律に、仁は共感をおぼえる。ある日、学校の古い図書館にきた仁と律は、特別書庫の扉が不思議な輝きを放つことに気づく。誘われるように扉をくぐると…そこはヴィクトリア朝のロンドン!?混乱する仁たちの前に諮問探偵の青年シャーロック・ホームズが現れてー。時空も現実も超えてシャーロックと出会った青年たちを描く冒険ミステリー!
1994年夏、海辺のリゾート地で1歳の女の子が行方不明になった。母親のステラは悲しみを乗り越え、心理カウンセラーとして忙しく働いていた。そんな彼女の日常は、ある人物がクリニックを訪ねてきたことで崩壊する。イサベルと名乗るその大学生を一目見て、20年前に行方不明になった娘であると確信したのだ。夫や友人は誰も、娘が生きていたというステラの主張を信じようとしない。イサベルの正体を探るため、過去を調べはじめるステラ。やがて彼女は恐ろしい真相に出会う…母娘の絆をめぐる戦慄のサスペンス!
タウレクは四次元性の影チュトンとふたたび融合し、コスモクラートとしての本来の任務を思いだした。さらに変節者ヴィシュナを改心させることにも成功。ロワ・ダントンやデメテルらとともに、ヴィールス・インペリウムの一部にされたミニ地球の住人たちを解放する準備をはじめる。ところが突然、ヴィールス・インペリウムに不具合が発生した。その原因はどうやらルナのインポトロニクス、ネーサンにあるらしいのだが…
消息不明の僚艦の捜索に向かった探査艦小隊は、星系内で損傷した僚艦を発見する。ただちに救助に向かうが、潜伏していた正体不明の異星人航宙艦からの猛攻を受ける。探査艦344のシャイロー艦長の活躍により、小隊のうち5隻はからくも脱出に成功するが、これが果てしなく続く時空大戦の端緒になろうとは誰一人予想したものはいなかった…謎の異星種族対人類の時空を超えた壮絶な死闘を描く戦争SF4部作、堂々開幕!
2017年の渋谷から転送された人々をまとめ、現代に戻る交渉を続ける臨時政府。だが未来人リヴィジョンズとミロの所属組織アーヴの対立も絡み、事態は解決の兆しを見せない。そんななか、大介らは自らが倒してきた化け物シビリアンの正体を知る。人々を守るためとはいえ、残酷な事実に打ちひしがれる高校生たち。友情は壊れたまま、2017年に戻るための最後の作戦を決行しなければならなかったー青春“災害”群像劇、完結。
ロシア海軍の原子力潜水艦が北氷洋で沈没。救助に急行したアメリカ海軍原潜も現場で攻撃を受け、犠牲となった。すべてはロシア海軍提督ドゥロフの謀略だった。クーデター実行のため、米ロ間に緊張状態を作り出そうというのだ。異変を察知した米海軍は新任艦長グラスが率いる原潜トレドを現場海域に派遣し、同時にロシア艦隊基地へ特殊部隊を送る。その彼らの眼前で、事態は思わぬ展開を見せた!潜水艦アクション超大作。
不屈の艦長のもと、数々の障害と厳重な監視を避け、秘かにロシア海軍基地に接近する米海軍原潜トレド。いっぽうドゥロフ提督のクーデター計画は着々と進行し、ついに基地を訪問したロシア大統領を拉致する暴挙に出た。提督の野望が実現するのか?だが基地に潜入していた米特殊部隊が、大胆不敵な作戦行動を開始する…元原潜艦長ウォーレスと気鋭の作家キースが共作し、超大型映画化された潜水艦アクションの決定版!
15歳のチャーリーは、ポートランドに引っ越してきたばかりだ。母はおらず、父は気まぐれで家を空けることも多い。生活費に困った彼は、ランニングの途中で見つけた競馬場で調教師の手伝いをはじめる。そこで出会ったのは、リーン・オン・ピートという名の競走馬だった。穏やかなリーン・オン・ピートに愛情を持つようになったチャーリーは、ある事件をきっかけに、ひそかにリーン・オン・ピートを連れ出して、伯母のもとをめざす。孤独な少年の旅路を描き、心を打つ感動作。映画化原作。
本格推理にして本格文学。安吾ミステリが『不連続殺人事件』だけではもったいない!同じくあの巨勢博士が活躍する「選挙殺人事件」「正午の殺人」、元奇術師・伊勢崎九太夫がいい味を出す「心霊殺人事件」「能面の秘密」。そして、あずかり知らぬわが涙かなー傑作「アンゴウ」…。知的パズルの面白さも存分に発揮した全10篇。
「貴方今此処居、隣坊主居。貴方良香、結構美貌、出所出女体、官能刺激。坊主僧衣下、徐々陰茎充血開始。坊主常時淫猥、何時如何時臨戦態勢、率直申、暇有毎晩様姦淫、繰返女犯、時折複数相手、最高一晩十五発…」外国人に道案内をする僧侶を描く「道」をはじめ、稠密な描写、超文学的技巧で爆発的瞬間を描くー加速する現代に屹立する十二篇。初期短篇「犯罪捜査」の改作を加えた完全版。
百万長者を夢見てホテルの給仕見習いとなったチェコ人の若者。出世しながら高級ホテルを転々とし、戦時中はナチスの施設で給仕を務め、やがて念願叶って巨万の富を得るがー。時代のうねりの中で成り上がっていく男の人生にふりかかる、シュールでグロテスクな悲喜劇の数々!奇想天外な語りが炸裂する、物悲しくも可笑しい東欧文学の大傑作。