2019年6月6日発売
漫画家になりそこね、路上で似顔絵を描いて生計をたてていた鉄雄。ある日テレビ局からの急な依頼を受け、連続殺人事件裁判の「法廷画」を描くことに。注文通り仕上げた絵が無事に放送された直後、何者かに襲われて怪我を負う。鉄雄の絵には一体なにが描かれていたのだろうか?予測不能、驚愕の法廷サスペンス。
専業主婦の日奈子のもとへ、ある日、夫の愛人と名乗る、太った中年女性がやってくる。夫のユキは長らく性的不能だったはずで、日奈子とはセックスレスの日々が続いていた。いったいいつから、私たちの関係は、こんなにも不安定なものになってしまっていたのかー。日奈子は、衝撃のなかで、ある行動に出る。
穏やかな新年を迎えた江戸深川に、引く手数多の浪人がひとり。坂崎磐音である。故郷・関前に暮らす妹伊代の祝言を寿ぐべく、おこんと出かけた途上、南町奉行所与力・笹塚孫一に乞われ、名立たる商人一家が毒殺された事件解決に助勢する。一方で、蘭医の中川淳庵は、破戒坊主一味に命を狙われる。友の危機に磐音の剣花が咲き誇る。
吉原で新たな太夫を客が選ぶ催しが行われることに。花魁・白鶴となったかつての許婚・奈緒の名が「松の位」の有力な候補として噂され、磐音の心を騒がせる。一方、鰻屋「宮戸川」での奉公がはじまった幸吉は釣り銭騙りにひっかかり、磐音に泣きついてくる。さらに、奉公に出たばかりの娘が巻き込まれて…。磐音が悪を追う!
町奉行所の与力だった桜木清兵衛は、とある事情から倅に家督を譲り、若隠居生活を送る。平穏が一番、と思って過ごす日々。しかし、若い侍が往来でいきなり斬りつけられた現場に居合わせたことで、遺された友の手助けをすることに。人生の機微を知り、与力時代から培った知恵と勘を働かせ、清兵衛が活躍する新シリーズの誕生!
理由あって、都会から実家に戻った「私」は、年老いた母とペットのマルチーズと暮らしている。時どき立ち寄るペットショップの女主人・中山圭子は、犬や猫をあやしながら、さり気なく飼い主から話を聞き出すのが得意。圭子のもたらす情報が、「私」のどす黒い過去を甦らせるー。女が本当に怖くなる11の物語。
命を削るようにネタを生み出し、圧倒的な質と量の投稿で「伝説のハガキ職人」と呼ばれた主人公。作家を志すも「人間関係不得意」のため挫折の連続。やがて死を想うようになった彼の頭の中に、奇妙な「カイブツ」が棲みつき、主人公を叱咤し、罵倒し、打ちのめす。これは妄想か現実か?熱狂的なこの青春の行く先は何処?笑いに取り憑かれた“伝説のハガキ職人”による心臓をぶっ叩く青春私小説。
生まれてすぐに「ひかり公園」に捨てられたニーコ。幸運にもおばあさんに助けられ幸せな日々を送っていました。しかし三度目の春、おばあさんとの別れは突然やってきます。ふたたび公園に戻ったニーコは六匹の子ねこを産みました。そして…。いま、子ねこと、彼らを家族に迎えた人々が奏でる命の物語が幕を開けます。生きることの哀しみと煌めきに充ちた、猫小説の新たな代表作の誕生!
学校からいじめをなくすため、大仏のマスクをかぶり、休み時間ごとに、パフォーマンスショーを始めた新島英雄とその演出担当の佐古鈴。二人のアイデアは、たちまち生徒たちの心をつかみ、学校は平和になったかに見えた。だが転校してきた無愛想な美少女あかりが、新たないじめの標的になり…正義とは何かを問う、痛快学園小説。
「パロディーと戯れるわたしには、モラルも批評精神も皆無だ」(エーコ)。老女たちの性的魅力を綴った手記『ノニータ』、新大陸発見の実況中継、『フィネガンズ・ウェイク』続篇の書評…古今東西の文学作品、映画、取扱い説明書など、変幻自在のパロディー集。「知の巨人」による最高の遊戯的エッセイ。大幅増補「完全版」!
山東京伝や恋川春町らで世を沸かせ、歌麿を磨きあげ写楽を産み落とした江戸随一の出版人・蔦屋重三郎。出版者であり編集者であり流通業者であると同時に、流行を仕掛け情報を発信する辣腕メディアプロデューサーでもある。そして何より、新しい才能を見出し育てあげて世に出し、江戸の日本の文化を変えた巨大な創造者でもあった。時に為政者の弾圧にあいつつ「世をひっくり返す」作品を問いつづけた稀代の男の波乱の生涯を、江戸の粋と穿ちが息づく文体で描き切った渾身の時代小説!