2019年8月20日発売
昭和三十八年。北海道礼文島で暮らす漁師手伝いの青年、宇野寛治は、窃盗事件の捜査から逃れるために身ひとつで東京に向かう。東京に行きさえすれば、明るい未来が待っていると信じていたのだ。一方、警視庁捜査一課強行班係に所属する刑事・落合昌夫は、南千住で起きた強盗殺人事件の捜査中に、子供たちから「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの青年の噂を聞きつけるー。オリンピック開催に沸く世間に取り残された孤独な魂の彷徨を、緻密な心理描写と圧倒的なリアリティーで描く傑作ミステリ。
アルマダ工兵によるプラズマ生物“新オルドバン”のローランドレへの輸送は着々と進んでいた。ところが、その途中で突然、輸送コンテナにとりつけられたグーン・ブロックが離脱し、新オルドバンはどこかに姿を消してしまう。これを銀河系船団のテラナーたちのせいだと考えたアルマダ工兵パルウォンドフは、ローランドレをめぐる最終決戦にのぞむべく、おそるべきパラノーマル精神エネルギー、ウェトネスを投入した…!?
クレストらが独断で使用した海底基地の転送機は直後に爆発する。行き先不明のクレストらを探すローダンたちは、ロソシェルの知識によりヴェガ星系のザルディクにもう1台新たな転送機を発見し、それを使用して未知の土地にたどり着いた。その地のフェロン人たちはなぜかいまだに戦争状態にあり、粗野なフェロン人兵士マル=トンらに拿捕されてしまったローダンらは、見知らぬフェロン人同士の戦争に巻き込まれていく…。
22世紀、世界は高い知能を有する“新人”と、超能力を持った“異人”が、60億の“旧人”を支配する階級社会と化していた。タイヤの溝掘り職人ニック・アップルトンは、息子を公務員にすることを願う典型的な“旧人”だが、黒髪の少女チャーリーと出会って…。一方、“旧人”の期待を背負って深宇宙へ旅立った伝説の人物プロヴォーニが、地球外生命体の“友人”とともに帰還しようとしていた。鬼才のディストピアSF。
世界が重素の海に沈んだ災厄「大洪雲」後ー人間はわずかに残った島々で、空中を漂う浮獣を生活資源に暮らしていた。トリンピア島で怠惰に生きる少年リオは、年上の女性ジェンカから浮獣を狩るハンター「翔窩」に勧誘される。両親を見返すため渋々仕事を始めたリオだが、シップに乗り、浮獣を狩る楽しさに徐々に目覚めていく。だが古の浮獣グリースに話しかけられてから、リオは世界の成り立ちに疑問を抱きはじめるのだった。
人類コンソーシアムに突如届いた「敷島星系に文明あり」の報。発信源は、200年前の航路啓開船ノイエ・プラネットだった。報告を受けた出雲では、火伏礼二兵站監指揮のもと、バーキン大江少将を中心とする敷島方面艦隊の編組と機動要塞の建造が進んでいた。一方、ガイナス封鎖の要衝・奈落基地では、烏丸三樹夫司令官率いる調査チームがガイナスとの意思疎通の緒を探っていたが…。大好評ミリタリーSFシリーズ第二部開幕。
人が死ぬ予兆がみえてしまう志緒のため、僕は、その死を防いできた。高校生の時から大学生になった今もー志緒の友人、獅加観飛鳥に“死線”が現われた。幼少期に故郷で“鬼”に追われて神隠しにあった経験を持つという飛鳥には、いま莫大な財産の相続話が。そして獅加観家の一族ー言動不可解な芸術家、軽薄な私立探偵、狐面をかぶる医者にも死線が…僕は死を止めるため、策略を発動する。優しい嘘をつきながら…
“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる凄腕の暗殺者ジェントリー。彼の乗るジェット機がイギリスの空港で襲撃され、CIAが捕らえた銀行家が連れ去られた。CIAに依頼され、グレイマンは銀行家を追う。一方、アメリカでは、元SVR(ロシア対外情報庁)将校のゾーヤが保護されている秘密施設が襲撃を受けた。ある目的のため、彼女はこの機に逃走する。やがてふたつの襲撃事件が関連していることが明らかになるが…。
グレイマンの追う銀行家は、CIA内部に潜む情報提供者を突き止める鍵となる人物だった。彼はロンドンでゾーヤと遭遇し、二人は互いに目的を告げる。その頃、情報提供者の雇い主で、ふたつの襲撃を命じた男は、英米に報復する大規模な陰謀を進めていた。やがてグレイマンとゾーヤは恐るべき陰謀の実体を知り、それを阻止すべく行動を開始する。だが行く手には強力な敵が!興奮と感動の冒険アクション小説。
50歳の誕生日目前の売れない作家アーサー・レス。彼のもとに、9年間付き合った元恋人の結婚式への招待状が届く。レスは思う。どうやったら式から逃れられる?出席を断る口実に、レスは世界中の文学イベントを回る旅に出かけることを思いつく。ニューヨーク、ベルリン、パリ、モロッコ、そして京都へ。様々な出会いがありながらも、レスが思い出すのは元恋人のことばかり…。“ニューヨーク・タイムズ”“ワシントン・ポスト”“サンフランシスコ・クロニクル”各紙の年間ベストブックに選出された感動のラブストーリー。ピュリッツァー賞(文学部門)受賞作!
#掟:愛する誰かが殺されたなら、殺したやつを見つけだし、かならずそいつを殺さなければならない。-ウィルの兄が射殺された。悲しみに暮れるウィルが兄の洋服箪笥から見つけたのは、1挺の拳銃。仲間内に伝わる「掟」に従って犯人を殺すため、彼は部屋を抜け出し、エレベーターに乗り込む。自宅のある8階から地上に降りるまでの短い時間に出会ったのは、もう会えるはずのない、「やつら」だった…少年の復讐のゆくえを斬新な手法で描く衝撃作。アメリカ探偵作家クラブ賞、ニューベリー賞銀賞など全10賞受賞。
いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作のほか、脳科学を題材として伊藤計劃『ハーモニー』にトリビュートを捧げる「美亜羽へ贈る拳銃」、ソ連とアメリカの超高度人工知能がせめぎあう改変歴史ドラマ「シンギュラリティ・ソヴィエト」、未曾有の災害に巻き込まれた新幹線の乗客たちをめぐる書き下ろし「ひかりより速く、ゆるやかに」など、卓抜した筆致と想像力で綴られる全6篇。SFへの限りない憧憬が生んだ奇跡の才能、初の傑作集が満を持して登場。
火星の古いコロニー、ラムスタービル。ビルマスターのナミブ・コマチは、地球人が残していった“全地球情報機械”を探索するのが生き甲斐だった。そんなある日コマチは、火星人の寿命九十歳を拒否して「死ぬまで生きたい」と言う祖母アユル・ナディに共感している自分に戸惑う。子孫を残すことー自らの性欲を自覚したコマチは、火星で初めての男児ハンゼ・アーナクを産み落とす。それは、火星と地球をめぐる“わたし”と“いま”の相克のはじまりだったー神林長平、作家デビュー四十周年記念作品。
戦国の気風が残る、江戸時代初期。葦の生う辺地に、ひとつの町が誕生した。徳川幕府公認の傾城町、吉原だ。公許は得ても、陰で客を奪う歌舞妓の踊子や湯女らに悩まされ、後ろ楯であるはずの奉行所には次々と難題を突きつけられる。遊女屋の女将・花仍は傾城商いの酷と華に惑い、翻弄されながらも、やがて町の大事業に乗り出すー。
依然として行方の分からない“大日本誘拐団”の主犯格“リップマン”こと淡野。神奈川県警特別捜査官の巻島史彦はネットテレビの特別番組に出演し、“リップマン”に向けて番組上での対話を呼びかける。だが、その背後で驚愕の取引が行われようとしていた!天才詐欺師が仕掛けた大胆にして周到な犯罪計画、捜査本部内の不協和音と内通者の存在ー。警察の威信と刑事の本分を天秤にかけ、巻島が最後に下す決断とは!?
死体を埋めれば誰にもバレないー野に放たれた殺人者の罪を明らかにし、寂しき行方不明者の捜査をして30年。愛憎も哀しみも嫌らしさも、この鬼刑事の執念が掘り起こす。社会派ミステリーの旗手が挑む初の本格警察小説。
ある日、新米法医学者・万木朝顔が勤務する興雲大学法医解剖室に、管轄エリア内の野毛山署に異動したばかりの刑事の父、平が女性の遺体の解剖依頼に訪れた。発見されたのは倉庫だったが、溺死と思しき結果が出る。朝顔は真摯に遺体と向き合い、平は女性が殺された現場を突き止め遺留品捜査を徹底することで、事件解決へと近づいていくー。遺体から見えてくる真実を追究する日々を送りながらも、二人は2011年に起こった東日本大震災で行方不明になった母を忘れられないでいた…。さまざまな物語が交錯する法医学ドラマ。
神隠しに遭い「神様の料理番」となった、りん。美しい神様・御先様に「美味い」と言わせるべく、電気もガスもない世界「神域」で毎日奮闘している。季節は梅雨のはずなのに、現世では雨が降ってない様子。この異常気象をどうにかするため、全国の神様が京都に緊急招集されることになった。料理番としてついて行ったりんは、そこである料理人と出会い、人生の大きな決断をするー。続々重版の人気シリーズ、待望の第四弾。神様と人間のおいしい絆の物語。