2019年9月21日発売
神戸の医大に法医学者として勤める杉石有には、消えない心の傷がある。ある日、物騒な事件の遺体が運び込まれる。その担当刑事は、有の過去を知る人物だった。落ち込む有に、かつての恩師から連絡が。彼女は有に託したいものがあるという。その「もの」とは、謎めいた美青年のシリカ。無邪気だが時に残酷な顔を見せる彼に、振り回される有だけど…。法医学者と不思議な美青年の、事件と謎に満ちた共同生活、開始!
旗本御家人の監察役である目付が何者かに闇討ちされた!御庭番の倉沢家に婿入りした凄腕隠密の喬四郎は、8代将軍・吉宗の直命を受け探索に乗り出す。だが下手人らしき侍を追い辿り着いた先は、意外にも吉宗が以前藩主を務めた紀伊藩の江戸中屋敷だった。見え隠れする甲賀の忍びの影と、徒目付の遺体に残された富札の謎。庶民の娯楽に潜む巧妙な企みとは。忍びに関わる者たちの悲哀と息詰まる攻防を描く人気シリーズ第4弾!
急逝した旗本の若殿・葉月定光と瓜二つだったため、身代わりとなった村上虎丸。だがある日、虎丸が広島藩士だった頃に殴り合いをした男・高里歳正が定光に拝謁したいと現れた!ばれたら一大事と寝所に押し込められた虎丸。一方、公儀からは、石見から大量の銀が輸送される三月後までに、賊・鬼雅を捕らえよとの難題が。鬼雅はかつて瀬戸内海を荒らしていた海賊で、歳正とも深い因縁があったのだったー。シリーズ第4弾!
天国的な美貌を持つご令嬢・新妻千秋のもう一つの顔は、覆面作家。お嬢様の推理力が光るのは、小説の中だけじゃない。心霊写真に隠された秘密の思い出、断崖絶壁を走る車に仕掛けられた罠、ドールハウスに残された小さなダイイング・メッセージ。担当編集者・岡部良介にはお手上げの謎もなんのその、お嬢様は鮮やかに真実に迫る。2人の距離も次第に縮まってー?イラスト入り完全保存版で贈る“覆面作家”シリーズ、完結編!
闇に包まれた中洲を舞台に、生者と死者の黒髪に秘められた恋を紡ぐ「文月の使者」、奔放で美しい継母に、少年が見世物小屋で見た原色の記憶を重ね合わせる「桔梗闇」、挿絵画家と若き人妻の交流を濃密に炙り出す「青火童女」、蛇屋に里子に出された少女が垣間見る血族の秘密を描く表題作など、大正から昭和初期を舞台に綴る、官能と禁忌に満ちた8篇。「日本屈指の幻想小説集」と名高い名作を、詳細な解題を収録して完全復刊。
時は日露戦争前夜ー明治の近代化が進む日本で、徳島の貧しき葉煙草農家に生まれた郷司音三郎。爪に火をともすような暮らしを送る一家を助けるため、池田の工場に働きに出た音三郎は、そこで電気を使用した技術に出合い、その目に見えぬ力に魅了され、仕送りするのも忘れ新製品の開発に没頭するようになった。やがて、開発の熱心さを認められ、大阪の工場に誘われた音三郎は、技術者としての大きな一歩を踏み出した!
大阪の工場で技術開発にすべてを捧げた郷司音三郎。これからの世に必要なものは無線機と考え、会社に開発を懇願するが、あと一歩で製品化というところで頓挫してしまう。新たな環境を求め、学歴を詐称して東京の軍の機関に潜り込んだ音三郎だったが、そこで待っていたのは日進月歩の技術革新と、努力だけでは届かない己の無力な姿だった…。戦争の足音が近づく中、満州に渡り軍のために無線開発を進める音三郎の運命は?
京都に封じられていた災厄の神、禍津日神が召喚されていた!東京と京都に分かれた小春たちチームOGMは、厄神が東京に放たれることを防ぐための手掛かりを求めて奔走する。その中で小春は、若宮が不思議な少年千歳の側にいることを知り、不安を覚える。一方、京都では和人と由里子、朔也と愛衣が事件の重要な真実に迫りつつあった。そして彼ら4人の関係にも変化が…?拝み屋・東京出張編、一気読み必至の怒涛の急展開!
ビルに立てこもった殺人犯に指名され、仕事中にもかかわらず刑事に連れられてきた真美。建物の中に入ると、そこには高校の同級生だった白木が婚約者の悠子を人質にとっていた。しかし、事件の真相が明かされる前に、白木は警察に射殺されてしまった。不審に思った真美は、事件の調査に動き出すが、行く先々で妨害工作に遭う。さらにプライベートでも仕事でも問題が発生する。人間関係の綾が織りなすサスペンス・ミステリ。
人の感情が色でわかる「共感覚」を持つという不思議な青年ー藤木司を担当することになった、臨床心理士の佐久間美帆。知的障害者更生施設に入所していた司は、親しくしていた少女、彩を喪ったことで問題を起こしていた。彩は自殺ではないと主張する司に寄り添うように、美帆は友人の警察官と死の真相を調べ始める。だがやがて浮かび上がってきたのは、恐るべき真実だった…。人気を不動にする著者のすべてが詰まったデビュー作!
成瀬和正46歳、ゼネコン「ヤマジュウ建設」の現場事務所長。15階建てのホテル建設現場を取り仕切る成瀬のもとに、残業時間上限規制の指示が舞い込む。ただし納期は延ばせないという。無理難題に挑むのは、保育園の迎えがあり残業できないイクメン社員に、史上最高に使えない新人。綱渡りのスケジュールをこなすチームに容赦なく降りかかる理不尽な仕様変更、近隣住民のクレームー。残業せずに、果たしてホテルは建つのか?
山のお屋敷は人さ、とるのだぞー。昭和20年の夏、疎開先で妹の真那子が神隠しに遭った。一本気な軍国少年・冬野心造は、妹を捜し、蕗の原に佇む巨大な屋敷に足を踏み入れる。逆さに吊られた血の滴る猿、どこまでも追いかけてくる髪の長い女…。謎の犬「しっぺい太郎」に助けられ、怪異と戦う心造の胸に芽生えた紅蓮の野望と、屋敷が共鳴する時、“何か”が起こる!民間伝承を取り込んだ、精緻にして規格外のホラー。
うさぎ通り商店街の老舗「丸亀不動産」のただ一人の社員・美波は「視えるひと」。女社長は入居者が出て行くアパートの原因究明に彼女を送り込むが、生来気が弱く除霊能力もない彼女には何もできない。でも、娘へ大切なことを伝えるため現れた両親と弟、妻に謝りたかった高齢の男性、結婚式ソングがかかる部屋で死んだ男性等、それぞれの切ない事情に、美波は立ち上がる!人と幽霊をつなぐ、泣いて笑える新感覚お仕事小説。
パワハラ上司の不正の証拠を掴みたい先輩社員康子とその片棒を担ぐハメになってしまった新入社員の松尾。2人は紆余曲折の末、自社がプロモーションする開演直前の舞台に辿り着く。劇場周辺では息子の嘘に悩むシングルマザーや役者に届いた脅迫状など、4つの事件が起きていた。それぞれ全く無関係のはずなのに、康子たちの行動で少しずつ繋がって…!?バラバラのピースが予測不能のラストに導く、驚嘆の痛快ミステリ。
全身に“顔”が発症する奇病“人瘤病”が蔓延した日本。流行は落ち着いたが、“人間”と呼ばれる感染者たちが起こす事件は社会問題となっていた。そんな中、かつて人瘤病の感染爆発があった海晴市で起きた“人間”殺害事件。ひとりは顔を潰され、もうひとりは全身を殴打されていた。容疑者は第一発見者を含む4人の中学生。そこへ現れた男が事件の真相を見抜くものの、彼も容疑者のひとりに突き飛ばされ死亡してしまい!?
特殊工作隊に囲まれた御厨静琉らを救ったのは、警視総監の命を受けた壱課弐係・近藤からの電話だった。最高国家機密「ホリック」獲得に乗り出す某超大国、スペックを利用して暗躍する新興宗教、そして日本政府を動かす謎の会議体ー三つ巴の闘争が激化する中、スペックホルダーを狩るスペックホルダーが出現。しかもその裏には、ニノマエイトの存在が!御厨は、バディを組む高座宏世とともに戦いに身を投じていく。SPECサーガ完結篇。
この世とあの世の狭間・入日村で迷える魂を救う仕事をしている、元タクシー運転手の速人と少女・彩葉。家族を顧みず夢のために働いた自動車メーカーの技術者や、ある客を待ち続け被災した居酒屋の店主、詐欺ビジネスをするしかなかった若者など、死者の心残りを妖と共に解決する日々だが、速人は「この世」に残してきた妻と娘が気になっていた。しかし家族にはすでに新たな生活が始まっていて…。魂救済ファンタジー!
かつて、冬木市では七人の魔術師と英霊たちによる聖杯戦争が行われていた。だが、第二次大戦の混乱に乗じて、ある魔術師が聖杯を強奪。数十年後、その聖杯を象徴に掲げたユグドミレニア一族は魔術協会からの独立を宣言する。協会の刺客は彼らのサーヴァントに返り討ちにされ、対抗するため協会もサーヴァントを召喚。聖杯戦争のシステムが変更され、七騎対七騎という空前絶後の大戦争ー聖杯大戦が勃発する。
松本藩郡方見習い同心の一志半左は、土地の言葉で臆病者を指す「ずくなし」と呼ばれていた。一方で、いったん腹を決めると大胆不敵になる豪胆さもあり、出仕早々に領地を巡る加賀藩との国境争いを解決に導く。以後、人使いの荒い郡奉行の名越湊之助から次々と無理難題を押し付けられる羽目に。隠れ芝居の強行、しのび荷騒動、そして父の仇との遭遇ー。恋に友情に戦いに、若き郡方同心が成長する姿を描いた、人情青春時代小説!
悪魔の鏡が砕け、世界中にとびちった。そのかけらの一つが目に入り、少年カイの心は氷のかたまりのようになっていく。いじわるになってしまったカイを、雪の降るある日、雪の女王が連れ去ってしまう。少女ゲルダはカイをさがし、日の光やカラス、鳩、魔法使いや山賊の娘、トナカイらに助けられながらお城へ向かうが……。表題作ほか、「みにくいアヒルの子」「モミの木」「赤い靴」「マッチ売りの少女」など、中期代表作10話を収録。 [もくじ] みにくいアヒルの子 モミの木 雪の女王ーー七つのお話からできている物語 赤い靴 マッチ売りの少女 鐘 影ぼうし 水のしずく 幸福な一家 ある母親の物語 解説 訳者