2019年9月27日発売
シングルマザーのフレイアは事故に遭い、病院で治療を受けていた。 祖母に世話を頼んだものの、幼い娘のことが気がかりだった。 看護師から娘が面会に来ていると聞いて安堵したが、 娘を抱いて病室に入ってきた男性を見て、凍りつく。 ザック・デヴェレルがどうしてここに? 彼はプレイボーイとしてその名を馳せるモナコの大富豪だ。 娘の父親ではあるけれど、私たちの関係はとっくに終わっている。 妊娠を告げたとたん、彼は私を嘘つき呼ばわりして捨てたのだから。 彼を憎んでるんでしょう? なのになぜ、胸がときめくの? そして恐ろしいことに、ザックの目にも情熱が宿っていた……。 愛した人は、妊娠を告げたとたんに去ったーーそんな裏切りにいまも傷ついているヒロインですが、もしヒーローが自分には子どもは作れないはずだと信じていたとしたら? 些細な誤解から別れた二人の、奇跡の復活愛をお楽しみください。
愛する父親が亡くなり、意地悪な継母と二人きりになったニーナ。 だが悲しみに浸るまもなく、残酷な現実がニーナに襲いかかる。 継母の浪費のせいで、父は多額の負債を抱えており、 生まれ育った大好きな屋敷を売るほか道はないというのだ。 呆然とする彼女の前に現れたのは、ハンサムな富豪スティード。 忘れもしない5年前、ニーナの誕生日パーティで、 唇を無理やり奪ったあげく、子供扱いしてからかった無礼な人。 スティードは、屋敷を売らずにすむ方法があるーー そう切りだすと、ニーナに言い放った。「僕と結婚すればいい」
17歳のリンデンの毎日は薔薇色だった。家にジョスがいるから。 山道で事故を起こした彼を車から助けだし、家へ連れ帰って以来、 リンデンとジョスは親子ほども年が違うのになぜか気が合い、 人間嫌いの父も、彼を気に入っているようだ。そんなある夜、 パーティへ出た彼女は、同じ年頃の少年など誰一人目に入らず、 ジョスをーージョスだけを愛していると気づいてしまう。 月光を浴びて泳ぎながらふと岸を見やると、ジョスがいた。 彼は水の中に入ってきて、裸のリンデンを抱きすくめ……。 だが翌朝、彼の姿は既になく、父親から驚愕の事実を知らされる。
見覚えのある姿が目に入った瞬間、心臓が止まりそうになった。 3年前、ターリアは裕福な実業家アレックスと激しい恋に落ちた。 まだ若かった彼女は身も心も捧げたが、アレックスは違った。 ターリアを裏切ったばかりか、自分の秘書と密会していたのだ。 傷心のままターリアはアレックスの前から姿を消すが、 そのときはすでに、彼女のおなかに小さな命が宿っていたーー よるべないターリアがどれほどの辛酸を舐めて息子を育てたか、 アレックスには興味もないだろう。だが、彼女はすぐに思い知る。 彼が全てを調べあげた上で、ある狙いをもって会いに来たのだと。
富豪の老人に嫁いだ友人から、エミリーは奇妙な依頼を受けた。老人の後継者に指名されている男性が形だけの妻を探しており、エミリーに、その役目を引き受けてほしいというのだ。結婚は2年間という期限つき、対価は莫大な報酬ーお人よしだが、澄んだ目と心を持つエミリーは見抜いていた。友人はその後継者の若い男性に心を奪われているのだろう。地味な私を彼にあてがっておけば、他に取られることもない、と。借金をしている恩人を救う手立てとしてエミリーは引き受けた。美貌のルークを愛してしまうことになるとは、予想だにせず。
出張中のはずなのに、なぜ彼がここへ……。 ルイーザはいま、丘の上で、別れたあの日以来、 一度も会っていなかった夫、アンドレアスに抱きしめられていた。 それはわずか2歳で世を去った息子の墓参りのための帰郷だった。 17歳の夏。光射すギリシアの地に赴いたルイーザは、 大富豪の御曹子アンドレアスと身分違いの恋に落ち、妊娠した。 だが、彼が他の女性とベッドにいるのを見てから、 二人の幻のような愛は揺れ始め、やがて完全に立ち消えたのだ。 それなのに、なぜいま、熱い腕で私を搦めるのーー
リーアにとって人生は完璧だった…あの事故に遭うまでは。酷い傷を負ったリーアは女としての自信を喪失していた。どんな男性にも心そそられるつもりはなかった。それなのに、新しく就任したやり手の社長ジェイソンの目に留まってしまう。誰もがその美貌に目を奪われ、足を止め、振り返るほどの、美しい彼が近づいてくるだけで、目眩がし、胸が高鳴る。しかし彼には、愛人にしかできないと言われているのだ。もし私の体に残る傷跡を見たら幻滅するに違いないと思うとーリーアの胸はねじれるように痛んだ。
ある日突然異世界に飛び込んだ、三人の若き男女たちの縦横無尽の活躍に胸躍るファンタジーアドベンチャー『扉を開けて』、一癖も二癖もある住人ばかりが居住する第13あかねマンションの地下で繰り広げられる奇妙な戦いを描く『二分割幽霊綺譚』--コミカルな筆致の中にも、歴史や宇宙における「人間」の存在の意義について鋭い問いを投げかける二つの傑作長篇! また、『扉を開けて』の主人公三人によるスピンオフ短篇「斉木杳の憂鬱」を単行本初収録。巻末付録として著者自身のエッセイやインタビュー、さらに対談や新井素子論を収めるとともに、第1巻同様、単行本・文庫本など刊行の度に書かれた「著者あとがき」をすべて収録。かつてのファンから新しい読者までを満足させる、新井素子の魅力満載のシリーズ第2弾! 扉を開けて 斉木杳の憂鬱 二分割幽霊綺譚 付録1 関連資料 二分割千円札綺譚(エッセイ) 新井素子 二分割素子綺譚(インタビュー) イラスト・くりた陸 スペシャル・トーク(対談) 出崎哲×新井素子 扉を開けて、目を開けて(評論) 山本弘 新井素子インタビュー 聞き手・星敬 付録2 既刊全あとがき 編者解説 日下三蔵