2020年1月発売
喪われた時を取り戻そうとする二人の男たち 太平洋戦争を示唆したと思われる「戦慄すべき時期」「精神の衝撃」のために、青年期の記憶をほとんど失ってしまった主人公の〈私〉。そして、定年間際の銀行マンで、流されゆく人生に疑問を抱いてしまった〈私〉の学生時代の友人〈K〉。 50代になったふたりが、30数年前に輝くようなひと夏を過ごした高原の避暑地を再び訪れ、青春時代の記憶を辿って歩く。短くとも濃密な旅を終えたふたりに宿った思いとはーー。 『夏』『秋』『冬』と続く4部作の第1作目にして著者の代表作。作家・加賀乙彦氏の解説を再録。
時代と向き合い、社会を書く、ということ。 現代日本最高峰の作家は、〈平成〉を舞台に何を描き出すのかーー。 人の世が綾なす芳醇の最新作! 東京・青山にデザイン事務所を構える瓜生甫と妻のちづるは、セックスレスの関係にあった。ちづるはある日、知人に紹介された年下のネイリスト塩出可奈子に誘われ て、性愛の関係を結ぶ。 また甫には、旅行会社のプランナー中子毬子と古い付き合いがある。毬子の夫・中子脩は語学学校の経営者だが、女性関係が派手で夫婦の仲は冷えて久しい。中子夫妻は 自宅のパーティーに瓜生夫妻を呼び、そこでちづるは毬子と意気投合する。 後日、ちづるから毬子を紹介された可奈子は、毬子も誘って三人でホテルに行かないかと、ちづるに提案するーー。 都会の喧噪の中で交わされる、優雅で淫靡な秘密のささやき。錯綜する彼らの思惑がたどり着く先とは。
フィリップ・マーロウ、72歳。私立探偵は十年前に引退して、今はメキシコで隠居の身。ホテルのテラスでマルガリータを啜り、カード遊びで時間を潰す毎日だ。しかしそんなマーロウに久しぶりの依頼が。溺死したとされる不動産業者が実際に事故で死んだのか確かめてほしいという。保険会社は偽装を疑っていた。マーロウは男の足跡を追い、カリフォルニアとメキシコを行き来する。やがて男の妻、美しいドロレスと出会いー。異色の作家がチャンドラーに捧げて描く、杖を突きながら異国の地を行く、老境のマーロウ!
山田家の父親は三年前に事故で他界。会社勤めの母親と、幼稚園に通う三つ子の妹たちの面倒を見るのが高校1年生の龍一朗の役目。もともと料理は好きだけど…。それぞれつまずいたり、悩んだり、助けられたりしながら日々を刻んでいく山田家と龍一朗を、こまやかで確かな筆致で描いた青春と成長の物語。第1回おいしい文学賞受賞作。
秘神の新たなる眷属アルフェッカによって、仲間達の窮地を救ったアリヒト。その活躍がギルドセイバーの目に留まり、アリヒトのパーティーに五番区のスタンピード鎮圧の支援要請がかかる。当面の目的であった、エリーティアの友人を助ける願ってもないチャンスと引き受けることに。七番区とは比較にならない強力な魔物相手でも、『後衛』の技能と成長した仲間たちのおかげで獅子奮迅の活躍を見せるアリヒト達だったがー!?
前世の記憶をもったまま中華風の異世界に転生していた雨妹。後宮へ宮仕えする機会を得て、野次馬魂全開で乗り込んでいった彼女は、そこで「呪い憑き」の噂を耳にする。しかし雨妹は、それが呪いではないと気づき……
歴史上最高の死者数と記される「人魔大戦」がついに勃発。両軍が激しくぶつかり合い、しのぎを削るなか、白が投入したクイーンタラテクトによって戦場は大混乱に突き落とされる! 平和のためにいっぱい死んでくれ!
王都へ無事到着したネルと魔王ユキ。早速、ネルの状況説明をするため国王へ挨拶に向かうも、そこでネルの勇者としての立場を揺るがそうとする策謀が企てられていることを知る。ネルに害なす輩を潰すため、隠密スキルや魔導具をフル活用し情報を集め始め…。「どうも。黒幕潰しに来ました」敵が舞踏会襲撃を企んでいるという情報を手に入れたユキは、国王を味方につけ、黒幕と決着をつけるべく動きだす!
家族仲も良好、ゲームでの推しメンだったディルクを婚約者にし順風満帆なロザリンド。そんな中、探していた従弟を傷だらけの状態で発見する。犯人をあぶり出すため、自らが囮になる作戦を立てるが……?
落ちこぼれと蔑まれるも、規格外の強さを持つB級魔法使いのスカイ。公式戦も終わりやっと平和な生活が送れるーと思いきや、学院の生徒が一人行方不明になる事件が勃発。スカイはレメと一緒に捜索にかり出されるが、その途中、王都を騒がせている盗賊団によって学院が占拠されてしまう!人質にされた生徒達を救うため、騎士団と協力しつつ現場へ乗り込もうとするが、下った王命は「人質の安否は問わない」というもので…!?
ヒロ一行は、ショッピングやピクニックがてらのハイテク農場見学で日々を過ごすことに。だが、ひょんなことから巨大バイオテック企業に目をつけられ異世界人である自身のDNAデータを狙われることになり……?
前世の記憶を持つ王女・ルクセリアは、強すぎる魔力故に塔に幽閉される。だが、侯爵家の裏切りによって両親を殺され、王位継承者として表舞台へ戻ることに。お飾りの『人形姫』と呼ばれる陰で、ルクセリアは動き出すー有能な人材を確保し、前世の知識を元に政の仕組みを整え、腐ったこの国のあり方を変えるために。これは何もかもを失った落ちこぼれの『人形姫』が、悪徳の女王と呼ばれるまでの物語。
山で神獣フェンリルと暮らす“能無し(ゼロスキル)”の料理人ディッシュ。 ある日、「く〜」というお腹の音に導かれて、王女アリエステルと出会う。 舌の肥えたわがまま王女はディッシュの魔獣料理を拒否するも、耐えきれず一口パクリ。 「うまぁぁぁ!!」 そのまま王宮へ強制連行されてしまう! しかし、本当の理由は寝たきりになった王妃を助けることだった。 食事を拒否する王妃を目の当たりにしたディッシュは、おいしいだけでなく『人を救う』料理に挑戦すると決意し……!?
皆さん、ごきげんよう。王都を離れて実家のリスティル領に里帰りすることになった私・公爵令嬢ルーシェ。いずれ家出をする身としては外の世界を知るいいチャンス!と、意気揚々と向かったのはいいけど、なにやらお父様たちの様子が普通じゃないみたい。えっ、敵国・ガルディア帝国から「私を皇帝の皇妃に迎えたい」と親書が届いたですって!?ある意味家出にはなるし、そうすれば予知夢で見た後継者争いも起きずに全て丸く収まるのかもしれない…と悩むけど!?
敬愛する元岡っ引きの万七が不審死を遂げ、養女のお市は遺されたよろず屋を継いだ。使い事や用心棒に人捜し、舞い込む頼みをこなすなか、かつて万七の取り逃した盗賊・漁火の小四郎が江戸に戻っていることを知る。探索に乗り出したお市は、小四郎が犯した押し込みの陰で、じつの父と母が巻き込まれていた事実に辿り着く。何者かに両親を殺された、あのつらい過去にあらためて向き合うお市の運命は?人情事件帖第2作。
小普請組に属す小身武家の葛木家には、男の六ツ子がいる。みな莫迦である。妄想癖の逸朗、傾奇者の雉朗、剣を振り回す左武朗、死狂いを目指す不穏な刺朗、金儲けが大好きな呉朗、遊び人になりたい碌朗。悩んだ父親は宣言する。莫迦どもの中で一番ましな者に家督をゆずる。それ以外の五人は座敷牢に閉じ込める!慌てた六ツ子は我こそ跡継ぎにと主張し、突飛な行動に…呆れて笑いがとまらない、ろくでなし大騒動小説。
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手。1963年には『未来世界から来た男』で創元SF文庫の記念すべき第一弾を飾ったフレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第2巻には「闘技場」「ノック」などSF黄金期の傑作15編を収録。