2020年1月発売
「当たり前」の就職活動になじめず、内定のないまま卒業式を迎えたマヒコ。仕事も住居も危ぶまれる中、ひょんなことから東京の下町にある築100年の銭湯「刻の湯」に住むことに。そこにはマヒコに負けず劣らず“正しい社会”からはみ出した、くせものばかりがいてー。
見えない魔の手から子どもたちを守ることができるのか?埼玉県の片田舎から都内の幼稚園に赴任してきた幼稚園教諭・神尾舞子。待機児童問題、騒音クレーマー、親同士の確執…様々な問題を抱える中、幼稚園の生き物が何者かに殺される事件が立て続けに発生する。やがて事態は最悪の方向へー。12ヶ月連続刊行企画第1弾!
幼い頃から「犬になりたい」と切望する八束房恵は、玉石梓という理想的な犬の飼い主に出会い、「あの人の犬になりたい」と願うようになる。そこへ謎の男・朱尾献が現れ、「犬化願望を叶えてやる代わりに魂をよこせ」と契約を迫る。第59回読売文学賞受賞作。本の雑誌が選ぶ文庫ベストテン第1位(2010年度)
梓の飼い犬・フサとなった房恵だが、彼女の実家は決定的に崩壊していた。性的虐待を続ける兄、息子ばかり偏愛する母親。一方、まるで梓が書いているかのような、兄との性的関係を告白するブログが公開され…さまよえる犬の魂は何処に行くのか?第59回読売文学賞受賞作。本の雑誌が選ぶ文庫ベストテン第1位(2010年度)
両親を亡くし家の財産も奪われた大納言の娘・沙羅。縁談もなかったことにされ路頭に迷いかけるが、女房として内裏に入り、今は幸せだった頃をときおり思い出しながら静かな日々を過ごしている。ある日の夜、ひとり庭をながめていた沙羅の前に宿直装束姿の男が現れる。親しげな様子で話しかけてくる男は藤原朝蔭と名乗るが、それは忘れたくても忘れられない、かつての許婚の名前だった。運命に翻弄され裏切られ、すべてを諦めて生きてきた沙羅だが、ゆっくりと朝蔭に心を開くように。だが、右大臣家の姫君と朝蔭の縁談が調ったという噂を耳にしてー。
名和涼真は、ごく普通の大学生。だが彼の兄弟は、それぞれが特殊な事情を抱えていて…。まず、ある事件に巻き込まれた長兄の一真は現在、人としての存在があやふやだ。美貌の次兄・祥真は、祖父の跡を継ぐべく「水神社」の守り手候補となっている。末っ子の秀真は、長く別の世界に飛ばされていた幼馴染みを、最近、取り戻したところだ。実は涼真にも、普通とはいえない事情がある。子犬かと思えば少年のようで、実際にはそのどれでもない…変幻自在の友人・サクラのこと。世界はシンプルで、かつ混沌としている。新感覚パラレル・ストーリー第二弾!
東京駅に到着した「ひかり」号の洗面所で忘れ物が発見された。その持ち主が自宅近くで殺害され、捜査が始まった。調べを進めるなか、被害者の関係者である女性の死体が阿武隈川で発見された。容疑者とみられる男には、二つの事件のどちらにもアリバイがあって…(「ゆうづる5号殺人事件」)。このほか、同僚の亀井刑事が容疑者で捕まったり、妻の直子が事件現場に居合わせたり、といった事件が。容疑者による鉄壁のアリバイを、十津川警部はどう崩すのか!?東北地方を舞台にした、珠玉のトラベルミステリー五編を収録。
わたしたちの新たな旅立ちを祝っていただきたいと思う方々をご招待した、ささやかな宴ですー。小さな創作料理のレストランを始めるという泰樹と萌恵の披露宴が始まった。式の前に「大切なものを捨てる結婚はしません」「泰樹とは積み上げていける。捨てるんじゃなくて育てていける」と語った萌恵には、産みの母と育ての母がいた。二人の母の間で揺れ、環境に振り回される自分の存在に苛立ちながら成長した彼女が目指す、本物の夫婦像とは。居合わせた人々が、家族の形や生き方に真摯に向き合おうとする姿を描く、感涙の結婚式小説。
クー・クラックス・クラン誕生の地、テネシー州プラスキ。幼い日、目の前で彼らに父親を殺された黒人弁護士ボーは、四十五年後の命日に復讐殺人を犯したとして逮捕された。親友の冤罪を晴らすべく、七十歳のロースクールの元教授トムと熱血漢の教え子リックの老若弁護士が、地元で負け知らずの女性検事を相手に矜持を賭けて法廷に立つ。胸アツ法廷エンタテインメント『ザ・プロフェッサー』の続編がついに登場!
奈子は、大学の通学路ですれ違う男性がとても素敵で、ずっと気になっていた。話しかけることもできず親友・葵に相談するのが精一杯。時は過ぎ、いつのまにか彼と会えなくなる。彼との再会を夢見る奈子だが、葵とともに彼の行方を捜すも、いつもあと一歩のところですれ違ってしまう。果たして彼と奈子は再会できるのか?驚愕のラストとは?WEBで期間限定全文公開をするとたちまち大反響。戦慄の展開が待ち受ける衝撃の恋愛ミステリー。短編「四谷三丁目の幽霊」、蘇部健一氏による笑って泣ける「ぬぁがーいあとがき」を収録。
碓井ヒカルは歌舞伎町「アリア」のナンバー1ホスト。ある日、店の太客から「鬼の腕」なる謎の干物をネットオークションに代理出品するよう持ちかけられたヒカルは、半信半疑でそれに応じる。すると「鬼の腕」は、なんと一千万円で落札されてしまった。ときを同じくして、ヒカルは道ばたでカイという不思議な少女に呼び止められる。指示されるままに古書店で一冊の仕掛け絵本を購入すると、それは例の「鬼の腕」にまつわる平安時代の「渡辺綱の鬼退治」の物語でー。カイに連れられ、本の中へダイブしたヒカルの運命は?元気がでるおとぎ話、爆誕!
華やかでエネルギッシュなイメージをまとう日本のコンピュータゲーム産業を題材に、知られざる「闇の部分」にスポットを当て、困難な企業再生の道のりを描くエンターテインメント長編。 かつてジャパニーズドリームの代名詞とも評され、世界を席巻した日本の家庭用コンピュータゲーム。飛ぶ鳥落とす勢いだった巨大市場が、インターネットとモバイルツールの進歩・普及に伴い急成長したスマートフォン用ゲームアプリなどの勢いに押され、凋落に拍車をかけつつあった2014年、倒産の危機に瀕する弱小ゲームメーカーが、数々の障害に直面しながら復活を目指す再生の物語である。 新宿・神楽坂に本社ビルを持つ中堅の家庭用ゲームソフトメーカー「スクルドソフト」は、創業者であり社長だった大村晋一郎の急死によって、唯一の肉親である27歳の実弟・晋二が勤め先の新聞社を辞めて後を継いだ。ところが、会社の経営実態は火の車で、起死回生の切り札と期待されていた新作ソフトはほとんど買い手がつかず、多額の借入金ですでに担保に入れるべき物は何もなく、新規融資の見込みも付かず、銀行口座の残高は底を突きつつあった。 責任の擦り合いをしていた役員たちは子飼の社員を引き連れて次々と会社を去り、残されたのは晋二と、やる気のない営業事務の若手社員・高杉万裕美の2人だけ。肉親であるという義務感から会社を継ぎ、未知の世界に飛び込んだものの、ゲーム業界の知識や経験に乏しく、特殊な商習慣に戸惑い、八方塞がりで打開策を見出せない晋二には、もう倒産という選択肢しか残されていない……はずだった。 そんな彼を叱咤し、スクルドソフトにまだ残されている希望の光を示したのは、ブラック社員にしか見えなかった万裕美。彼女は会社の悪弊を役員に直言して左遷させられていたクリエイター志望者でもあった。家庭でのコミュニケーションをコンセプトに万裕美が温めてきた企画を聞かされ、晋二は大きな可能性を感じると共に、そのゲームソフトを世に出すことで会社の再生を図ろうと決意する。しかし、先立つものがまるっきりなく、たった二人のゲームメーカーがどうやってソフトを作り、流通ルートに乗せ、全国に販売すればよいのか。晋二と万裕美は常識外れの戦略を立て、再起へ向けての大勝負に出る。
熱気球に乗せてもらえることになったセオドシアは、人生初の空の冒険に心を躍らせていた。上空から見下ろすチャールストンの街並みはまさに絶景!ところが一機のドローンがある気球に狙いをさだめて近き、爆破して墜落させた。被害者の一人は、アメリカ史上初の国旗をまさにオークションにかけようとしていた矢先の出来事だった。歴史を生き抜いてきた旗は、聖遺物に匹敵するほどの価値を持つ。熱狂的なコレクターや骨董商、学者…気球墜落事件は、貴重な旗をめぐる熾烈な争奪戦の末の犯行?事件の手がかりを追うかたわら、セオドシアはピンチヒッターとしてテレビに生出演したり、大規模なお茶会の準備をしたりとてんてこまい。そんな時に大手雑誌社からお店の評価をくだす秘密調査員が送りこまれることになり…!?
「わたし」は、事故で彼を失った直後に妊娠していたことを知り、女手一つで娘のひかりを育ててきた。娘を保育園に預け、スーパーで惣菜作りを続ける日々。身寄りも、貯金もない。生活はちっとも楽にはならない。けれど、わたしは幸せだった。ひかりの成長、ひかりの笑顔、ひかりの温もり。わたしたちは、たった二人で精いっぱい生きていた。あの忌まわしき瞬間までは。突如壊される平穏。謎めいた男による拉致、監禁。恐怖と苦痛の果てに告げられる、信じがたい絶望ー。
大学卒業直前に、横浜にある「滴水古書堂」という不思議な古本屋でアルバイトを始めた「私」こと楠田由宇子。友人が事故に遭い、その原因は、彼女が見る不思議な夢にあるようだ。その日から、由宇子も古書堂店主の古戸時久も「白い街」の夢を見るようになる。二人は古戸の知人で、オカルト情報サイトの運営者である藤安那とともに、同じ夢が原因と疑われる事件が多発しているという湘南に調査に赴くが…。表題作「眠れぬ人の夢」を含む全4編を収録。
かつて12の世界を救い、今新たに13番目の異世界を救わんとする「勇者」。しかし、今度の異世界は知性を有するオークたちが跋扈する世界。オーク軍の指揮官“黒犬”は、ひそかに勇者に“魔王”と異名を付ける。オークとの激闘をひとまず終えた勇者は、とある領地の相続争いを解決するよう依頼を受けるが、相続問題は思わぬ方向に転がることになる。そして勇者は、オークたちが人間の言葉を理解することに気が付き、その知性に興味を抱くようになる…。
「実在しない書物の書評を書くということは、レム氏の発明ではありません」。ゲーム理論を援用して宇宙の創造と成長を論じるノーベル賞受賞者の講演「新しい宇宙創造説」のほか、「ロビンソン物語」「逆黙示録」「誤謬としての文化」など、パロディやパスティーシュも満載の、知的刺激に満ちた“書評集”。
様々な種族の共存する世界には、多様な“好み”を反映した夜のお店がある。冒険者スタンクは、異種族な悪友たちと嬢をレビューしあって、お互いの(性的な意味での)感性の違いをぶつけ合うほどに、えっちなお店を巡ることに情熱を注いでいた。そんなお店の一つ“性のマリオネット”を訪れた一行は、行きつけの店のウェイトレス・メイドリーそっくりなゴーレムを作って大いに楽しんだのだが…そのゴーレムがまさかの脱走!?下半身がラミア化し褐色巨乳になった姿を本人に見られたらどうなるかー。憩いの場の出禁を避けるべく一行は捜査を開始した!だが、レビュアーズは捜査という名目で脱線してお店に入りまくり!空中プレイもありなミミズク嬢と対面!?クリムはギャザーの魔眼で心を見透かされてのSM体験!?激安の無機物嬢(!!!?)専門店に飛び入る大バクチの行方はー!?話題沸騰のギリギリファンタジーから、実力派作家の筆によって天国的プレイを追体験できる小説版、期待に応えて新作登場!