2020年4月21日発売
国の中枢で渦巻く謀略、忍び寄る疫病の影 一三〇〇年前の惨劇を、この国は繰り返すのか? 武智麻呂、房前、宇合、麻呂の四兄弟は、父・不比等の意志を受け継ぎ、この国を掌中に収めるため力を合わせる。だが政の中枢には、不比等が唯一畏れた男、長屋王が君臨していた。 皇族と藤原家。それぞれの野心がぶつかり合い、謀略が交錯するとき、古代史上最大の闇が浮かび上がるーー。
「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」 自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。 孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。 注目作家・町田そのこの初長編作品!
三十歳の美しいコミックス作家・川村リリカと、同い年の敏腕編集者・野崎百合子。「俺」「お前」と呼び合う可憐な二人が、喫茶店で、イタリアンで、カツカレーの店で、新作の打ち合わせをする。「それはそのままタイトルになるね」「なるね。メモしとこう」。物語はどのように生まれるのか。創作の秘密が垣間見える連作集。
零戦の優位崩壊。圧倒的物量で襲い来る米軍! 航空戦力を集中して守りを固めた連合艦隊は、再建された米海軍機動部隊の猛攻を辛くも凌いだ。だが、開戦以来敵機を圧倒していた零戦も新型戦闘機F6Fヘルキャットの登場によって苦戦を強いられるようになり、連合艦隊の戦力も次第に削られてゆく。一方、米国はその国力に物を言わせて艦隊を増強、マーシャル諸島メジュロ環礁に前進基地を建設し、要衝ラバウル、トラックをも脅かす。日本はこのまま米国の巨大な物量に押し切られてしまうのか!? その時、機動部隊の小沢長官が奇策を提案したーー
一冊の小説が世界を変える。それを、証明しなければ。冷戦下、CIAの女性たちがある小説を武器に超大国ソ連と戦う!本国で出版契約金200万ドル(約2億円)のデビュー作!2020年海外ミステリ最高の話題作!!
田舎町に住む小学6年生の拓人は、幼い時に神隠しに遭い、行方不明だった2ヶ月間の記憶を欠落している。そんな拓人の元に夏休み初日、バイオリンをもった弓月小夜子と名乗る、年上の見知らぬ少女が現われる。昔、時々拓人の家を訪れ、拓人の母と共に三人で過ごしたことがあるという。母の入院のため夏休みをひとりで過ごすことになった拓人と、小夜子(サヤ)の、夏休みが始まる。自分について語りたがらない謎めいたサヤと、どうしてもサヤを思い出せない拓人。なぜサヤを忘れている…? 《彩雲国物語》の著者が描く、渾身の書き下ろし長編。
時間に追われる現代人よ!怠け者で何が悪い!? 四十歳を迎えた小説家・本間宗介は、ロシアの小説『オブローモフ』の主人公のように「怠け者」として生きることを望んでいた。しかし、妻子とともにマンモス団地に暮らす彼に、そのような生活は許されない……。父親として大人として逃げられない数々の日常の「事件」をユーモラスに描いた著者初の長編小説。50年前の連載時に掲載された山野辺進による15点の挿画を再録! 「みんながみんな立派な大人になるわけでもない。そういうことを知っておくのは、心おだやかに齢を重ねていく上で、とても大事なことだ」--巻末解説:荻原魚雷(文筆家) ▶︎オブローモフ【Oblomov】:ロシアの作家ゴンチャロフの長編小説。1859年発表。貴族青年の主人公オブローモフの、才能はあるが無気力で怠惰な余計者の生活を、進歩的な娘オリガとの恋愛を通して描く。以後、オブローモフの名は怠け者の代名詞となった。(以下略)--『大辞林」第三版より ◉もくじ ●四十歳のオブローモフ 《眠り男》の眼 マンモス団地の日常 誕生日の前後 旅の空 根無し草 前厄祓い 捨て犬 後記 ●解説『大人になりきれない大人のための教養小説』荻原魚雷