2020年5月26日発売
松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。 学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するがーー「みなも」 いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に生きてきたけれど、息子の清澄は扱いづらくなるばかり。そんな時、母が教えてくれた、子育てに大切な「失敗する権利」とはーー「愛の泉」ほか全六章。 世の中の〈普通〉を踏み越えていく、清々しい家族小説。 【著者略歴】 寺地はるな(てらち・はるな) 1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。会社勤めと主婦業のかたわら小説を書き始め、2014年『ビオレタ』でポプラ社新人賞を受賞しデビュー。『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』『夜が暗いとはかぎらない』『わたしの良い子』『希望のゆくえ』など著書多数。
薬物蔓延で荒廃するケンジントンのパトロール警官ミッキーは線路脇でドラッグ中毒者の遺体が発見されたとの報せに現場へ赴く。妹のケイシーだろうか?かつて厳しい祖母の下で支えあって生きてきた姉妹。今は何年も話さず、売春の客引きや麻薬取引をする妹に姉が手錠をかけるくらいが接点だ。だがしばらく路上にケイシーの姿はない。遺体は彼女ではなかったが絞殺痕があり、さらに似たような事件が相次ぐ。ミッキーは憑かれたように犯人と妹を捜すが…姉妹の絆と孤独を抉る、アメリカの今を映した新しい警察小説。
未知のアンドロメダ病原体によるパンデミックを封じ込め、人類絶滅の危機を乗り越えた5日間から50年。その再来を監視する永続的な警戒システムは、アマゾンの密林奥に異常を検出した……人類は再び未曾有の脅威に立ち向かう! 著者の遺族公認の公式続篇
ロボット工学者ジェイムズ・ストーン、材料科学・ナノテクロノジーの専門家ニディ・ヴェーダラら「ワイルドファイア計画V2」のメンバー4人と護衛部隊は、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士ソフィー・クラインによる上空からのサポートを受けつつ、ブラジルのアマゾン奥地を目指した。無数のホエザルの死体を検分し、未接触部族の襲撃から逃れた調査隊のメンバーは、ついに怪現象の発見現場に到達する。そこにあったのは、見たこともない形状と性質を持つ漆黒の大構造物だった!アマゾンの密林から、正体不明の構造物の深部へ、そして宇宙へと話は導かれていく。そして、謎の「病原体」はかつてより進化し、人類を恐怖に陥れる…。『アンドロメダ病原体』原書刊行50周年企画、遂に登場!
廃炉に汗を流す兄とおもてなしに生きる妹の物語 二〇五一年。観光大国として成功をおさめ、福島第一原発の廃炉作業が進む日本。 ダークツーリズムスポットである第一原発の廃炉作業員として汗を流す兄・大也と、 外国人観光客を「おもてなし」する店で働く妹・樹々の視点を通して描く近未来SF小説。 新しい日本、そして福島の再生はここから始まる。 1 2050年、大みそか、東京 2 ハラール・テーフ?ル 3 イチエフ 4 富岡ツナミ・タワー 5 Jウ?ィレッシ?宇宙センターとマクスウェルの管理人 6 スクーフ? 7 サクラ・マニアック 8 夜ノ森の桜 9 免震重要棟 10 ナカノ・クラシカル 11 アルフ?スの魚 12 今を生ききる 13 ハ?ンタレイ 14 永遠に生き続ける声 15 第二の人生 16 2052年、大晦日みそか、福島
沈黙を抱える者たちの視線が交差し、気高い光を放つ。 胸に刻まれたその残像が、今も消えない。 --小川洋子さん推薦! 戦争で夫を亡くし、足のケアサロンを営むペイジ。 斜向かいに住む大学教師ボビーの密かな楽しみは、ペイジの生活の一部始終を観察することだった。 ある日ボビーは、意を決し初めて店を訪れる。 足を洗ってもらっているあいだに、ひとり語りを始め、忘れ得ぬ事故のことを打ち明けるボビー。 悲惨な体験を通して、孤独な二人の心は結びつくのだが……(「初心」)。 79歳の作家が贈る、全10篇の濃密な小説世界。 「世界最高の短編作家」(ロンドン・タイムス) 「現存する最高のアメリカ作家による、最高傑作集」(ボストン・グローブ紙) ーーなんとまあ大袈裟な、と思う方は、是非とも本書を読んで確認していただきたい(古屋美登里) ・初心 ・夢の子どもたち ・お城四号 ・石 ・従妹のジェイミー ・妖精パック ・打算 ・帽子の手品 ・幸福の子孫 ・蜜のように甘く 訳者あとがき
霊媒として祀り上げられた少女を取り巻く人々の狂気の渦ーー著者自身の体験が色濃く反映された神霊サスペンス『巫女の棲む家』、芝居小道具商の歴代当主の失踪、そして歌舞伎俳優の消失に端を発する連続殺人をけれん味たっぷりに描く『妖かし蔵殺人事件』。宗教団体、梨園、まったく異なる世界を舞台に、欲望や情念の渦巻く複雑な人間模様を剔出、ミステリーとして昇華させた傑作二長篇を収録。 巫女の棲む家 妖かし蔵殺人事件 付録1 文庫版解説 解説 司修 絵描きのひとりごと 岡田嘉夫 付録2 インタビュー集 皆川博子になるための135冊 聞き手・小森収 芝居を描くーー旅芝居から田之助、南北まで 聞き手・河出書房新社編集部 あとがき 編者解説