2020年9月発売
ある縁談に秘められた切なる祈り…浅草の油屋、利根屋の娘・お玉と、本所髄一の大店の主人との縁談が持ち上がったが、見合いの前日にお玉は置手紙を残していなくなってしまう。利根屋の命運を賭けて、身代わりとなったのは奉公人・おまい。当日、“えにし屋”を名乗る謎めいた女が現れて、おまいは美しく着飾らせてもらうが、その後もお玉の行方は一向に掴めないままだった…。縁を商いとするひとびとの物語。
明治38年8月30日。『時事新報』の号外で、それまでの戦勝の喜びが消え去り、世間に失望と怒りが広がっていった。警視庁第一部第一課・葦名警部と四人の巡査たちは、赤坂榎坂にある桂首相の妾宅の警備を担当。九月五日、「講和問題国民大会」が日比谷公園で開かれ日比谷焼打事件が勃発…。暴動が広がるなか、伯爵の孫で探偵の西小路が妾宅で死体を発見。葦名警部たちは「騒擾による死亡」として片付けようとする赤坂署に疑問を持ち捜査を始めるー。
1576年6月。ヴィットマンとバルティがこの世を去り、悲しみに暮れる静子。特別待遇として信長からしばしの休息を与えられるが、今や織田家重鎮となった彼女には課題が山積みであった。葬儀を済ませ、戦線に戻った静子を待ち受けるのは、気球の実地試験に、用水路工事、神体山の社の建築、そして第二次東国征伐ー今回いくさに導入される新兵器とは?史実より圧倒的有利な状態で開戦の火蓋を切って落とす第二次東国征伐の展開やいかに!?
「才能なしの少年」 そう呼ばれて養成所を去っていった男・ノールは一人ひたすら防御技【パリイ】の修行に明け暮れていた そしてある日、魔物に襲われた王女を助けたことから運命の歯車は思わぬ方向へと回り出す 最低ランクの冒険者にもかかわらず王女の指南役となったノール だが…その空前絶後の能力を、いまだノールだけが分かっていない…無自覚最強は危機に陥った王国を救えるか!?
弱小ギルドを復興し、冒険者として順調な滑り出しを決めたリヴァル達。新人冒険者からBランク冒険者への異例の昇格を果たすも、それで満足することなく、今まで以上に強くなるための努力を重ね続ける。大きく成長したリヴァルと仲間たちの前に立ちはだかるのは、他ギルドの刺客や、ダンジョンの異変、そして悪魔の影。強敵との戦いですら強くなるための修行と受け止め、リヴァルは自分を追い込んでいくー。
非情なカップル、出現。残虐非道な行動力でついに王国軍の中佐になり、スネークス伯爵家を当主にまで登りつめたパトリック。さらに王女ソーナリスと婚約し誰も二人に逆らうものはいない。しかしこの二人は前世に関係があったようなのだが…。
前世の記憶を持つ転生令嬢、フローラ。かつては“天才女騎士”であったが不運な条件の重複により、自身を二流の騎士としか認識しないまま、覇権争いに巻き込まれ命を落としてしまう。転生後は救えなかったことを負い目に感じ、当時の第三王子(現国王陛下)に近づかないようひっそりと生きてきた。なのに、ひょんなことから国王陛下の「護衛」を直々に申し付けられ、あら大変。「前世のことなんて誰にも言ってないのに、なんでこうなるの!?」と戸惑いもつかの間、次々と護衛としての腕試しが課されていく展開にー数百年に一人の天才が「女」として、「騎士」として、国王陛下に振り回されつつ、無双ぶりを繰り広げる戦闘系ラブコメ。
ツクルは異世界に召喚されたばかりの自身を魔境に捨てた男、テマスとの決着をつけ復讐を果たす。一行は日本に戻るが、そこで大日女尊から皆の運命を弄んだ異世界召喚に関わる最後の施設の存在、妹の歩の死の真相を聞かされる。こうして最後の召喚施設を破壊すべく奔走するツクルたちだったが、そんな中またもや大規模な召喚が行われ確実に世界は崩壊へと近づき始める。ガベージブレイブたちに託されたのは世界の命運…全ての元凶である存在との最終決戦開幕!
歴史シミュレーションゲームにハマる男、30代、独身。ある日、酒を飲みながらゲームで遊んでいたところ、急に眠くなり寝落ち、目が覚めると豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿の中を歩いていた。男はなんと、近世フランスのルイ16世に転生したのだった!男は、最初は転生に混乱したものの、嫁いできたマリー・アントワネットと一生幸せに暮らしたいと決意、革命を阻止してフランスを偉大な国家にするために立ち上がる!はたして、男は革命を阻止できるのか!?第8回ネット小説大賞受賞作品。
婚約したものの、事情により、まだ結婚には至っていない百瀬と亜子。二人が喫茶店にいるとき、「ちょっと見ててもらえますか」と、百瀬の腕に渡されたのは、赤ん坊だった…!一方、上京してきた正水直は、入学金詐欺に遭い、途方に暮れていた。しかし人を助けたことがきっかけで春美と出会い、百瀬のもとへたどり着く。さらに、「死なない猫」の相談まで舞い込み、百瀬は今日も奔走中、事務所は一層賑やかに!果たして、百瀬と亜子の関係はどうなるー!?
母子二人暮らしのアパートで発見された、女性の変死体。亡くなっていたのは母親、そして殺してしまったのは、日々虐待を受けていた小学生の娘だった。事件以降、“人”が変わったような言動をとりはじめる少女。何かが、おかしい。原因は過度の精神負荷による、解離性同一性障害…多重人格のせいなのか。ではー「私の中にいる」のは、誰?『人間に向いてない』で注目の著者が、読者に突きつける社会の底。
赤澤奈美は47歳、美容皮膚科医。カメラマンだった夫とは別れ、シングルマザーとしてひとり息子を育て、老いた母の面倒を見ながら仕事一筋に生きてきた。ふとしたことから、元患者で14歳年下の業平公平と、事故に逢うように恋に落ちてしまう。心を閉ざすように生きてきた奈美の、モノクロームだった世界が、色と音を持ち始めた。もう一度軽やかな私へ。美しい人生讃歌小説。
ささやかな幸せなど、浦から離れられん跡取りたちにくれてやれ。宝暦十三年(一七六三)、周防国の小さな海村で、二人は出会った。廻船屋敷の二男坊と、網元の末っ子ー長男が家を継ぐと決まっていたその村で、跡取り以外は皆「厄介」と呼ばれた。日本初の巨大沈船引き揚げに挑んだ男の生涯ー。
次々と語られる、闇に遭遇した者たちの怪異譚。ゲストハウスでほんの一時関わっただけの男から送られてくる、罪の告白。その内容は驚くべきもので…。(「さまよえる絵描きが、森へ」)。弟が殺人事件を起こし、一家は離散。隠れ住む姉をつけ狙う悪意は、一体、誰のものなのか。(「やがて夕暮れが夜に」)。全五篇。
会社を辞め、都会での生活に行き詰まっていた真芽は、入院した一人暮らしの祖母・ハルに頼まれ、生家の庭の様子を見に行く。だが、花々が咲き誇っていた思い出の庭は、見る影もなく荒れ果てていた。ハルの言動を不審に思う真芽だったが、彼女の帰宅を信じ、庭の手入れをはじめる。しかし、次第にハルの認知症が心配され、家を売却し施設に入れる方向で話が進もうとする…。きびしい現実の先をやさしく照らす、心に沁みる感動作。
あなたの旅は、まだ始まったばかり。職を失い、都会の暮らしに疲れた「あなた」が出会ったのは、夜な夜な爆弾テロを仕掛ける九歳の男の子。彼との逃亡、そして裏切りの果てに訪れたものとは…?全国で異例の注目を集める新しい才能、待望の作品集!!