2021年1月29日発売
このままでは、空自は欠陥品を買わされるー大戦中の戦闘機「隼」の開発者を祖父に持つムサシ重工社員・光崎哲司は、異動を告げられた防衛部門で危機に直面していた。空自の次期主力戦闘機選定で、ムサシ重工が与した側でなく、競合の米ラッキード社F-53が内定したのだ。だが、F-53には米軍による墜落事故の隠蔽と、防衛事務次官・毛利の癒着の噂が…。光崎は国益のため、対立する日本の重工メーカー各社をまとめ、「国産」の戦闘機開発に奔走する!防衛問題に切り込む“逆転”企業小説!
“断じて許されません。商道徳に悖る社会への裏切り、背信行為です。”家電製品の発火で死亡事故が発生し、マスコミから経営体質を非難された世界的電気機器メーカー・ニシハマ。ハーバード大を卒業し、創業家一族に婿入りした梶原賢太は、ニシハマが窮地を脱するための極秘計画に携わることになる。それは、モンゴルでの使用済み核燃料の最終処分場建設という、政官財を巻き込む一大プロジェクトだった!交錯する利権と思惑。賢太はある賭けに打って出るがー。粉飾、癒着、学閥…。大企業病に立ち向かえ!旧態依然の経営陣と対峙する中間管理職の奮闘を描く、極上経済エンタメ小説!
「忠告だー影山には近づくな」交番勤務から川崎中央署刑事課に異動した若手警察官・村上翼は、署内で疎まれる傍若無人なベテラン刑事・影山康平に目をつけられ、強引に連れ回される。同僚の不祥事を内部通報した「裏切り者」として疎外されている影山が、警察に居座り続ける理由ーそれは、十年前の殺人事件にあった。事件を独自に捜査する影山と行動を共にする村上は、本部の監察官に声をかけられる。不安を募らせる村上だが、やがて未解決事件の解明に惹かれてゆく。
中学生の娘・沙耶香を病院に見舞った警視庁捜査一課の犬養隼人は、沙耶香の友人の庄野祐樹という少年を知る。長い闘病生活を送っていた祐樹だったが、突如自宅療養に切り替え、退院することに。1カ月後、祐樹は急死。犬養は告別式に参列するが、そこで奇妙な痣があることに気が付く。同時期に、同じ痣を持った女性の自殺遺体が見つかり、本格的に捜査が始まる。やがて(ナチュラリー)という民間医療団体に行き当たるがー。主宰の謎の男の正体と、団体設立に隠された真の狙い。民間療法の闇を描き、予想外の結末が待つ、刑事犬養隼人シリーズ、第6弾。
「蟹工船」の取材と執筆に熱中するプロレタリア文学の旗手・小林多喜二。反社会的、非国民的思想犯として特高に監視される反戦川柳作家・鶴彬。同業他社の知人たちに不可思議な失踪が続き、怯える編集者・和田喜太郎。在野にありながら、天才的な論考を発表し続ける、稀代の哲学者・三木清。1925年、治安維持法成立。太平洋戦争の軍靴の響きが迫るなか、罪状捏造に走る官憲と、信念を貫く男たちとの闘いが始まった…。「ジョーカー・ゲーム」シリーズの著者が令和の世に問う、歴史スパイ・ミステリ。
クラリスは、「ファーレンハイトの宝石」とも称される美しい姉と常に比較されて生きてきた。クラリスが十九の歳、「人喰い辺境伯」と呼ばれるジークフリート・グーテンベルグの戦果の褒賞として姉の身代わりで嫁ぐことになる。ところが辺境伯ジーンは、無口で無表情ながらもクラリスを思いやる、包容力に溢れた魅力的な人物だった。しかし「身代わり花嫁」であることに負い目を感じるクラリスは、なかなかジーンへ心を預けられないでいた。…2020eロマンスロイヤル大賞ピーチ賞受賞作!巻末特別短編・『辺境伯の幸せな日々』。
私には、他人の気持ちや未来が見えている。本来「薬屋」だが「占い師」と呼ばれることも多い。だから巷で人気の恋多き「花の騎士」様が実は女嫌いであることを知っている。そんな彼とある事で知り合い、秘密を共有することになったのだが…。ある日、私は彼の頭上に“恋”の色を見つけてしまう。しかもそれはー。
モノローグテキストとイラストでニジガクメンバーの日常を描写。フォトエッセイシリーズ第2弾。
虐げられる身分のままでは終われない。俺は、武士になる!武蔵国血洗島村(現・埼玉県深谷市)の藍玉作りと養蚕を営む富農の家に生まれた主人公・渋沢栄一は、頭の回転は早いが、大人や権力に物おじしない“やんちゃ坊主”に育つ。商才に長けた父の背中に学び、商売のおもしろさに目覚めていく栄一だったが、17歳の頃、人生を変える最初の事件が起こるー。幕末から明治へ、時代に翻弄され挫折を繰り返しながらも、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢栄一の、熱き青春の日々がここに始まる!
そこは、「常識」という名の数多のルールに縛られた世界。いつだって真面目に、謙虚に、礼儀正しく、愛と思いやりの心をもたなければならないーそんな面倒な「人間の世界」に誤って生まれてしまった、不運な受精卵。人として生きるものの、的外れで常識がなく、型にはまらない彼らは、「大人」になりきれず、そもそも「こども」の域にも達することができない、「受精卵」レベルの未熟な人間ー。そんな彼らの奇妙な巡り合わせを、アイロニックに鮮やかなタッチで描き出す痛快ドラマ。
「因果」は連鎖し、「狂気」は増殖する。日常に潜む非日常への扉を開く奇妙でシュールな短編小説3篇。-あの時のお金だ!実家の古いタンスの裏から手に入れた大金をきっかけに、小さな善意が思わぬ運命をもたらしていく。(『ホースディアーだけのチケット』)毎日どこかで、「だれか」が「だれか」に殺されるー。「悪意」がもたらす不幸の連鎖。(『間接殺人』)とある寂れた町のレストラン。だれもが絶賛する味の秘密が明かされるや、町中が戦慄するーあなたの周り、最近妙に穏やかではありませんか?(『ホシのレストラン』)
霧の中、家路を辿っていた仲間朋代は不穏な気配を感じ、逃げようとする。もうダメだと思った瞬間、偶然いあわせた亜由美の恋人、谷山によって助けられる。これをきっかけに朋代と谷山は急接近し、なんと結婚することに。失恋した亜由美は傷を癒そうと旅に出るが、そこでもトラブルに巻き込まれー。花嫁シリーズ第34弾。表題作のほか「カリスマ花嫁の誇り」収録。
妻に捨てられ子供を失い一人で暮らす老人のもとに、一匹の野良猫が現れた。病気を患う老人は医師の誤診を疑ったり、全快を期待しては落ち込む日々を繰り返す。行きつけの飲み屋で過ごす常連たちとの時間や心癒やされる猫との会話(?)を通して、年老いた男の心の内側を描いた物語。
生まれ持つ紋章の優劣によって、一生の評価を左右される世界。そのなかで古くさい劣等紋を持ってしまったことで、ジェイドは生家の貴族家から見はなされたのだった。深い森にうち捨てられた彼だが、そこで幸運に恵まれる。その森は実は、歴史からはすっかり忘れられた、神々の住まう神域だったのだ。神に拾われ、その愛情を受けて育った彼は、充分な能力を持って成長することができた。そんな彼に、長老神からある仮題が出される。神々の中でも最も若い女神グルナとともに、人間社会を学んできてほしいというものだ。かつては多くの英雄たちを育てた神々も、平和な時代が続き、人間社会との接点を失いつつあった。だからこそ神々は、ジェイドに学園に入り、人間のことを学んできてほしいというのだ。ジェイドの姉を自称するグルナは、溺愛ともいえるほど可愛がってくれている。そんな彼女と一緒ならと入学を決め、ジェイドは初めて森の外へと旅立つのだった。国中の実力者が集まるという学園で冒険者を目指し、実力主義の授業をこなしていくジェイド。ひとなつっこい優等生のペルレや、彼に対抗意識を燃やすお嬢様ヴィリロスにも囲まれ始めると、グルナのエッチな導きもあって、いつのまにか学園生活はハーレム状態に!?
わずか6歳で生家より追放されたクレイスは、行き着いた先で出会った少女・ヒノカと将来を約束し、冒険者として生計を立てていた。しかし、同じパーティーメンバーである勇者・ロンドの奸計により殺されかけた挙げ句、ヒノカまでも奪われてしまう。絶望の中、ギフト“聖杯”を発動させたクレイスはその真の使い方に気づき全てに復讐を誓うが、その力は世界の秩序を根本から覆し、人々を狂わせる規格外の能力だった。ギフトの奴隷と化した人間と、それに付け入らんとマッドサイエンスで侵攻を始める魔族。クレイスは三つ巴の狂気に巻き込まれていくのだった。