2021年10月29日発売
世界から弾き出されたことさえも、笑い飛ばして生き抜くんだ。 複雑な境遇にある子どもたちの大切な存在を奪った殺人事件。 十数年後、彼らの一人が失踪した。 二つの事件を繋ぐものとはー。 警察・検察小説で活躍する著者が“いま心から書きたかった物語。” 弁護士事務所で働く諒佑のもとに、幼馴染みの誠の捜索依頼がもたらされた。幼少期の経験から大切にしていた日ーークリスマスを目前に、誠はなぜ失踪したのか。諒佑は誠たちと出会った十数年前の夏を回想する。無戸籍、ヤクザの家系、不法滞在者……さまざまな理由から世間から外れて生きていた5人の子供たち。学校には行けずとも、楽しく豊かだった彼らの生活は、ある事件を境に一変した。著者新境地たる書き下ろし長編。
ハリエットはイングランド北部の小さなコテージに越してきた。教師を辞め、童話作家になる夢を追うことにしたのだ。あるときハリエットは鍵を忘れて家から閉め出されてしまう。コテージの隣に立つ大きな屋敷に助けを求めに行くと、ハンサムな半裸の男性とでくわしたーいやだわ、いったい誰?彼こそ屋敷の主で、コンピューター会社を経営するリグだった。以来、ことあるごとにリグと顔を合わせるようになるが、恋愛経験に乏しいハリエットは彼の前でどぎまぎするばかり。すっかり落ち込んでいたある夜、ふいにリグが訪ねてきて…。
ジェシカは昼間の仕事に加え、毎晩オフィス清掃をしている。唯一の楽しみは、その会社の“美しい彼”を見ること。シチリアの名門カルディーニ一族を率いる大富豪、サルヴァトーレだ。尊大だが魅力あふれる彼に、ロンドン中の女性が熱をあげている。洗練された美貌の独身貴族と、なんの取り柄もない自分…。ふたりの間に愛なんて芽生えるはずがないのは承知の上だった。そんなある日、彼からパーティに誘われ、ジェシカは舞い上がった。さらに思いがけずベッドまでともにし、夢見心地になったのもつかのま、サルヴァトーレは事もなげに傲然と言い放った!「いつかシチリアに戻り、地元の無垢な娘と結婚すると決めているんだ」
「ジェームス…」パリのホテルの一室で、クロエは思わずつぶやいた。同級生だった彼と激しい恋に落ち、17歳で妊娠。娘は奪い去られ、ふたりで築くはずだったささやかな幸せは粉々に打ち砕かれた。失意のどん底から這い上がったクロエは父親が決めた縁談を拒み、清掃員とウエイトレスを掛け持ちしてもなお極貧にあえでいる。かたやジェームスは成功者だーこんな贅沢なホテルに泊まれるほどの。記憶のなかの少年よりもずっとたくましく魅惑的な彼を前に、クロエは動揺と恥ずかしさのあまり逃げ出した。かつてジェームスに贈られた銀のヘアピンを落としたことにも、彼が長年クロエを捜していたことにも気づかずに。
彼の名前も、教えられた電話番号も、すべて偽りだった…。1年前、ハンサムで魅力的なノーラン・フォルテと恋に落ち、夢のように楽しいクリスマスを過ごした大学生のリジー。仕事で一時的に滞在していただけの彼が去った数週間後、予期せぬ妊娠がわかり、リジーは慌てて彼に連絡を取ろうと試みた。しかし電話はつながらず、絶望に打ちひしがれながらも、出産を決意した彼女は苦労の末に大学を卒業し、娘を産んだのだった。季節はめぐり、再びクリスマスシーズンが訪れたある日、リジーの家にいきなりノーランが現れ、彼女に詰め寄った。「僕が君の人生を狂わせたと聞いたが、どういうことだ?」
18歳のとき、エレノアは兄の親友の子爵、ニコラスに夢中だった。だが彼女が純潔を捧げた次の日、ニコラスは忽然と姿を消し、以来6年間、彼を見た者はない。兄たちの必死の捜索も無駄に終わった。悲嘆に暮れるエレノアにとってただひとつの喜びは、娘の存在ーニコラスに生き写しの娘の瞳に、彼女は希望を託し続けた。そんなある夜、彼女が兄と暮らす屋敷に、突然ニコラスが帰還する。傷を負い、変わり果てた姿の彼は、エレノアを覚えてすらいなかった。ハンサムでたまらなく魅力的な放蕩子爵はどこへ行ってしまったの?元のあなたに戻って…娘のために。エレノアはおずおずと切り出した。「私に、あなたの記憶を取り戻すお手伝いをさせてください」
9年ぶりにロンドンの自宅に戻ったジェニファーは決心していた。夫であるロクサム侯爵と正式に離婚し、自分の道を歩むと。あの日、彼のもとを去ったのは、あらぬ不貞を疑われたから。面会を求めても、手紙を書いても、夫は頑なに彼女をはねつけた。以後、遠い地へ逃げてから侯爵の子を身ごもっていることに気づき、人の助けを借りて男児を産むと、貧しいが幸せな日々を得た。一方、ロクサム侯爵は不信と感慨、そして嫉妬に駆られていた。彼が酒にひたって放蕩の日々を過ごしているうちに、幼かった妻は、美しく自信あふれるレディに変身して帰ってきた!秘密めいたその瞳に、いったいどんな過去を隠しているんだ?
彼の心にはいつも亡き妻がいる。 結婚しても私は真の妻にはなれない……。 過ちを犯した父のせいで国を追放されたナタリヤ。 帰国の条件は、母国と緊密なミルス王国の王子と結婚すること。 だが当の王子はナタリヤには興味がないと結婚を拒み、 代わりに王子の兄、国王であるニコライが名乗りを上げた。 彼こそナタリヤの初恋の人で、今も密かに憧れている相手── 5年前に最愛の妻を亡くして以来、浮いた噂一つなかったのに。 戸惑う彼女にニコライは断言した。「君にはこの道しかない」 私と結婚したがるのはなぜ? 急いで世継ぎが必要だから? 恋心を胸に秘め、彼女は愛されない花嫁になることを決めた。 地中海に浮かぶヴォリャルス王国が舞台の、華麗なるロマンスを描いたミニシリーズ、〈愛と継承のはざまで〉の関連作をお届けします。初恋の人からの、思いがけないプロポーズに心が揺れるヒロイン。しかも、彼はなぜか指一本触れてもくれなくて……。
7歳の少女の住み込み家庭教師になってほしいージェンナのもとに、イタリアの若き富豪から依頼が舞いこんだ。実業家のエヴァンドロ・ロッチェフォルテは離婚したばかりで、激務から娘と一緒に暮らした経験はほとんどないという。はじめは傲漫なエヴァンドロに怖れを感じたジェンナだったが、“君は森の妖精のようだ”と思いがけないことを言われて戸惑う。娘を慈しむ彼に惹かれ、ジェンナはある夜ついにすべてを捧げる。エヴァンドロが親権を持ち続けるための元妻との契約により、金輪際、妻はおろか恋人も持つ気がないことを知りながら。
グレースは養母の治療費と妹の学費でかさんだ借金を返すため、億万長者セサール・ナバロの邸宅の住み込み家政婦となった。彼の秘書から、多忙の主人と顔を合わせることはないだろうと言われていたが、なんと初日から鉢合わせしてしまう。まあ…自宅でくつろぐ彼は、なんてセクシーなのかしら!頬が熱くなり、緊張からついおしゃべりになった彼女は、花も飾らぬ屋敷の殺風景さを指摘して、セサールに睨まれる。グレースはくびを覚悟したが、彼の言葉は意外なものだった。「ぼくの一族が主催するパーティに、一緒に来てくれ」
エレノアは夢見心地だった。ジェイスにプロポーズされた!彼は、世界中で不動産開発を手がけるギリシア人実業家。両親と祖父を亡くし、急にホテル経営を継いだ彼女にとって、慣れない仕事の悩みを聞いてくれる心強い相談相手だった。ところが、ダイヤの婚約指輪を着けてジェイスを訪ねた彼女は、携帯電話で話す彼の声を、偶然、耳にしてしまう。「僕が求婚したのは、彼女のホテルを奪うためだ」ショックを受けたエレノアは婚約を破棄して逃げ出すが、1年後、彼は拒めない条件を突きつけ、再び結婚を迫りー。
賢者の石を求めるヴァールの目的は世界制覇…ではなく、研究への探求心と、美女への欲望だった。偶然にも欠片のひとつを手にしたことで、最強の魔法使いとなったヴァールだが、争いには興味がない。聖女や魔王、女帝といった美女を相手に、欠片の力で復活させた古代魔法で挑んでいくが!?