2021年4月14日発売
日本の大学で講師として教えるため来日した英国人・アンソニー。空港に迎えに来た青年・隼人は、現代に生きる武士だった!地域で愛され活躍している彼だが、実は悲しい過去も抱えていてー。肩書や属性と「個」「自分らしい生き方」…二人と仲間たちが選んだ道は?
海と鯨に心を奪われた男たちが、神の生き物に挑む!土佐で漁師の次男として生まれ育った万次郎は、漁の最中に足摺岬の沖合で遭難してしまう。銛打ちの師匠・半九郎の形見の銛を追い、大海原に投げ出されたところを米国の捕鯨船ピークオッド号に救出された。船長のエイハブは、自分の片足を喰いちぎった巨大な白鯨“モービィ・ディック”への復讐に異常な執念を燃やし、乗り組員となった万次郎を巻き込んでゆく…。史実とアメリカ文学の傑作が衝撃的に融合する!
男らしさと家族のかたちを見つめ直すアイスランド女性文学賞受賞作。母が遺したバラをもって僕は旅に出る。遠くの修道院にある庭園に植えるのだ。ところが、温室育ちの僕の旅は、ままならない。飛行機内で腹痛にもだえ、森でさ迷う。旅で会った女性たちとの関係を妄想しては、空回り。当の庭園は荒れ果てており、手入れを始めたところ、意外な人物が訪れる。かつて僕と一夜をともにした女性が、赤ん坊を預けにきたのだ。こんな僕が父親に!?ゆったりした時が流れる小さな村で、右往左往しながら成長する青年と家族をあたたかく描く長篇小説。
1885年3月、パリ。サルペトリエール精神病院は、舞踏会の準備でにぎわっていた。「狂っている」と診断され入院している女性患者たちが、少しの間だけ病のことを忘れられる特別な夜会だ。そんなとき、病院に新しい患者がやってくる。19歳のウジェニー。彼女は「霊が見える」と家族に告白したために、この病院に入れられた。自分は「正常」だと信じるウジェニーは、一刻も早く病院から出ようとするのだが…。そこは、秩序を乱すあらゆる女の「捨て場所」だったー。実在する病院を題材に、「ふつう」とは何かを問う注目の長篇小説。高校生が選ぶルノードー賞受賞。
安易な気持ちで、恐怖の実話を集めてはいけないーー! ネットでバズった恐怖(ドキュメントホラー小説)が、書籍化により、拡、散。 「今回ここに書き起こしたものには全て奇妙な符号が見られる。読者の皆さんとこの感覚を共有したい」から始まる、ドキュメント・ホラー小説。 大学病院勤めの「私」の趣味は、怪談の収集だ。 手元に集まって来る、知人のメール、民俗学者の手記、インタビューのテープ起こし。その数々の記録に登場する、呪われた村、手足のない体、白蛇の伝説。そしてーー。 一見、バラバラのように思われたそれらが、徐々に一つの線でつながっていき、気づけば恐怖の沼に引きずり込まれている! 「読んだら眠れなくなった」「最近読んだ中でも、指折りに最悪で最高」「いろんなジャンルのホラー小説が集まって、徐々にひとつの流れとなる様は圧巻」など、ネット連載中から評判を集めた、期待の才能・芦花公園のデビュー作。 ーー「次の生贄は誰がいいと思いますか」
大阪に本社を置く準大手製薬会社・天保薬品。その堺営業所所長であり、MR(医薬情報担当者すなわち製薬会社の営業マン)である紀尾中正樹は、自社の画期的新薬「バスター5」が高脂血症の「診療ガイドライン」第一選択Aグレードに決定れるべく奔走していた。決まれば年間売上が1000億円を超えるブロックバスター(=メガヒット商品)化が確実視される。ところが、難攻不落でMR泣かせの大御所医科大学長からようやく内定を得た直後、外資のライバル社タウロス・ジャパンの鮫島淳からの苛烈な妨害工作によって、一転「バスター5」はコンプライアンス違反に問われる。窮地に追い込まれた紀尾中以下、堺営業所MRチームの反転攻勢はあるのか。ガイドラインの行方は?注目を集める製薬会社のオモテとウラ。
ある日、お弁当屋に勤めるヒナは、常連客の暁とともに異世界に召喚される。勇者として歓迎される暁に対し、お呼でないと冷遇されるヒナ。勇者が魔王を倒せば元の世界に帰れると信じて待つこと一年、なんと暁は魔王を倒して一人で帰ってしまったという!ヒナは異世界に一人置き去りにされた上、騙されて身ぐるみを剥がされ、奴隷にされてしまう。そんな彼女を助けたのは、狼の獣人・グーエンだった。ヒナを自らの『番』と呼び、溺愛するグーエンは、この世界に居場所のないヒナのために、ある提案をする。それは、グーエンと契約結婚をするということで…?契約からはじまる、優しい狼との極甘新婚ファンタジー!
ただ、ただ、彼女たちがたまらなく愛おしい。 こんなにも苛酷なこの世界で、 生きのびてくれて、ありがとう。 ーー中脇初枝氏 「人を依存症にするのは、快楽じゃないよ。 心身の痛みや、それぞれが感じている生きづらさが原因で依存症になっていくの」 アルコール依存症の母親をもつ柳岡千明は、退院後の母親が入所する施設「セゾン・サンカンシオン」へ見学に行く。そこは、様々な依存症に苦しむ女性たちが共同生活を行いながら、回復に向けて歩んでいくための場所だった。迷惑を掛けられてきた母親に嫌悪感を抱く千明だが、施設で同じくアルコール依存症を患っているパピコとの出会いから、母親との関係を見つめなおしていくーー。 人間の孤独と再生にやさしく寄り添う感動作!
「私は事件には一切関係していません。真犯人は、別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時はめぐり、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が発生する。いじめによる自殺を疑って取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!?警察権力との暗闘の果てに、女性記者がたどりついた驚愕の真実とは…。
「彼」は、いったい何者か?かつて京都に「河原町のジュリー」と呼ばれる有名なホームレスがいた。無数の視線に晒されても悠然と目抜き通りの真ん中を歩き、商店街の一等地で眠る男。出会った人々は、そのたび新たな物語をまとわせ、彼は街の伝説と化していくー。あの頃、京都の路上に生きた、伝説の男の物語。
零落した元お嬢様である花純は、困窮する家族のため、かつての執事であり、今は会社社長の都築李織に援助を頼む。彼は花純の初恋の相手だった。「可愛いな、お嬢様は。俺でこんなに、感じてくれるなんて」援助と引き換えに一ヶ月間、李織の家政婦兼、偽装恋人をすることになった花純。冷ややかな態度とは裏腹に、李織は花純に優しく触れて…!?