2022年1月4日発売
死にたいキャバ嬢×推したい腐女子 焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。 人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。 「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開くーー。 「どうして婚活なんてするの?」 「だって! 孤独だし、このまま一人で仕事と趣味だけで生きていくなんて憂鬱です。最近母親の結婚しろアピールがウザいし、それに、笑わないで欲しいんですけど、子供だっていつかは欲しいって思ってます」 「仕事と趣味があるのに憂鬱なの? ていうか男で孤独が解消されると思ってんの? なんかあんた恋愛に過度な幻想抱いてない?」 「私は男の人と付き合ったことがないんです」 推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は……。 金原ひとみが描く恋愛の新境地。 【著者プロフィール】 金原ひとみ(かねはら・ひとみ) 1983年東京生まれ。2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。04年、同作で第130回芥川賞を受賞。ベストセラーとなり、各国で翻訳出版されている。10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。12年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。20年『アタラクシア』で第5回渡辺淳一文学賞を受賞。21年『アンソーシャル ディスタンス』で第57回谷崎潤一郎賞を受賞。
もし別の治療を試していれば、 もしもっと早く出会っていれば、 もし別の人と結婚すれば、 ぼくたちは幸福だったのだろうか? 几帳面な「ぼく」と自由なアントワネットは、愛に満ちた理想の二人だったーー子供に恵まれないことをのぞいては。 病院で診察を受けるも原因は不明。時はいたずらに過ぎ、夫婦の間の亀裂は少しずつ広がっていく。 不妊治療に臨む夫婦を夫の視点から描く、オランダの実力派による文芸作品。 美しい過去への憧憬が、静かに、確かに、胸を打つ。 【著者プロフィール】 ロベルト・ヴェラーヘン(Robbert Welagen) 1981年、オランダ・ドルトレヒト生まれ。2006年に執筆した初作品で、セレクシース文学新人賞(オランダ大手書店が主催していた文学賞)を受賞した。本書は8作目の小説にあたる。 オランダ文学界の中堅として重要な作家の一人。2009年よりアムステルダムの作家養成専門学校の講師を務めており、現在もユトレヒト郊外の町ザイストの森で執筆活動を行っている。 【訳者プロフィール】 國森由美子(くにもり・ゆみこ) 東京都生まれ。桐朋学園大学を卒業後、オランダ政府奨学生として渡蘭。演奏家ディプロマを取得し、音楽活動を続けるかたわら、オランダ語翻訳を手がけるようになる。ライデン在住。 訳書に、ヘラ・S・ハーセ『ウールフ、黒い湖』、ルイ・クペールス『オランダの文豪が見た大正の日本』(以上作品社)がある。 【原題】 Antoinette
八重は、幼い頃、両親を亡くし、九州の玄界灘に面した島で漁師をしている祖父母に育てられた。その後、十八歳で那嘉田家へ嫁ぎ、一年後には娘が生まれ、皆が仲睦まじく暮らしていた。しかし、三年が過ぎた頃、八重の運命は激変する。那嘉田家の多額の負債を返済するため、遊郭へ奉公へ出される。迎えに来るという言葉を信じて待ち続けるが、音沙汰の無いまま七年が過ぎていた。八重は遊郭から抜け出すために老県会議員の保身のための策略に加わり、一人の少女の恋を引き裂く。遊郭から自由の身になり、懐かしい古里へ戻ったものの、そこはかっての古里ではなく、しかも八重は自らの数奇な運命を知ることになる。やがて古里の小島を離れ、飯屋を出した。そこで、八重は、自らが産み落とした娘と再会するのだが……。波間に漂う小舟のように過酷な運命に翻弄される女の人生を描く。 一章 那嘉田家の嫁/二章 観音堂/三章 糸/あとがき