2022年10月11日発売
スーパーのレジで働く立花カオル。五十五歳になった今、瞼はたるんで足は象のようにむくみ、転がるように醜くなった。何を見聞きしても感情の針が動くことはなく、すべてのものが灰色に見えていた。寝るためだけの六畳間の自宅とパート先を往復するだけの、ひたすら“孤独”で味気ない毎日。家に帰るといつも「灰色のハイエナ」に見られているような幻影に悩まされていた。しかし、ある偶然の再会によって、カオルは新たな生きる希望を抱きはじめ…。
死神だ。死神が来たー罪を犯した者たちが乙姫警部に出会って最初に抱くのは、畏怖をはらんだそんな錯覚だ。削ぎ取ったように痩せた頬、刃物で切り落としたようにシャープな顎、悪魔を思わせる鉤鼻、そして虚無の深淵を覗き込んだかのような陰気で表情の感じられない瞳。それらが与える死神めいた印象に違わず、乙姫警部は、じわりじわりと犯人たちを追い詰める。“猫丸先輩”シリーズや『星降り山荘の殺人』の倉知淳が挑んだ、“刑事コロンボ”の衣鉢を継ぐ大人気倒叙ミステリシリーズ!
自分の正体が聖獣であることが判明したケータは、それでもゆるゆると異世界生活を満喫。アールスハインと共に魔法の能力を急速に高めていくが、その活用方法は常識を覆すものだった。そんなケータたちの前に、謎のもふもふが現れてー。ゆるゆると自由気ままな生活を満喫する幼児の異世界ファンタジー、第二弾!
『推し』、それは乙女にとって最も尊く、憧れの存在。「私の推し…クライヴ様は本日もなんて素敵なのでしょう」クランベル王国の大貴族ーモルガー公爵家の末娘アリスは、ふたつ年上の近衛騎士候補を眺めて静かに呟いた。クライヴはアリスの幼馴染で、モルガー公爵家の隣に住むレイラン子爵家の次男。彼は、王宮の中でも最難関と言われる近衛騎士の試験合格を目指し、現在はレイラン家の庭で自主練習の身だ。屋敷が隣同士ということもあり、アリスは頻繁にレイラン子爵家に出入りしていた。そんなある日、クライヴが突然訪問してきて、「魔物討伐のためにしばらく会えない」と告げられる。推しのクライヴが前線で命を落とすかもしれない。そうした事態にいてもたってもいられなくなったアリスが神に祈りを捧げるとー。
グラス森討伐隊で働く聖女シーナは、婚約者である第三王子にお気に入りの侯爵令嬢を虐めたという理由で婚約破棄&追放を言い渡される。その瞬間、突然、前世で日本人であった記憶を思い出す。自分が搾取されていたことに気づいたシーナは喜んで婚約破棄を受け入れ、可愛い侍女キリのみを供に、魔物が蔓延るグラス森に一歩踏み出したー虐げられていた追放聖女がその気もないのに何となく勝ち上がっていく異世界転生ファンタジー、開幕!
隣国サルバーレ王国での実績を称えられ、対プロメテウスのため創設される騎士団の団長に任命されるエクス。プライベートでも、愛するアリスとの結婚式に向けて、式場探しに、ウェディングドレスの素材探し、招待客を誰にするかの相談と忙しい毎日を送ることに。そんな流れで、エクスは新種の高純度のダイヤモンドがある場所で発見されたことをアクセサリー店の店主から聞きつける。アリスの結婚指輪のために辺境の鉱山を訪れたエクスを待っていたのはー。プロメテウス、新設騎士団団長、アリスとの結婚式の準備とエクスの問題は山積み。はたしてアリスとエクスは最高の結婚式を迎えられるのか。乙女ゲームの攻略対象の一人、騎士団長の息子に転生した主人公が婚約者となった悪役令嬢を溺愛していく甘いだけの物語、第二弾!
大昔に存在したサピエン人はネアンデル人から知識を授かり、様々な困難に立ち向かってゆく。人類の進化の“特異点”をユーモラスに描いたファンタジー小説。
米国の田舎ネブラスカ州出身のオタク青年、トミー・ケントはヤクザに憧れて来日する。だが、わらじを脱いだ新宿・歌舞伎町の組には任侠道のかけらも残っていなかった。シノギといえば、「アワビの密漁」「スイカ泥棒」「AV出演」など、しょぼいビジネスばかり…。落胆したトミーは小指を詰め、昔ながらのヤクザが現存するという“修羅の国”北九州へと向かう。青い目のIT世代ヤクザが世界最強の武闘派集団、「富拳一家」を築き上げた立志伝の始まりである。手に汗握るハードボイルド・アクションと大爆笑コメディが完全融合!「理屈抜きに面白い」エンタメ小説の極北。
虚空の闇に浮かぶ魔法使い養成学校“スコロマンス”。入学した生徒たちは絶え間なく襲ってくる怪物たちから身を守り、最大のサバイバル試練の場となる4年後の卒業式を生き延びて、現実世界に戻らなくてはいけない。昨年、最凶の怪物“目玉さらい”を倒したガラドリエルも、いよいよ最終学年。孤高のはぐれ者だったエルにも、今や心強いチームの仲間がいる。初めて経験する友情に心を熱くしながら力を合わせて卒業式をサバイブしようと鍛錬の日々を重ねるうち、次第に仲間たちと前代未聞の計画を打ち立てていく…。
アジア解放の戦いで戦死した皇軍兵士・敬。霊となった敬に与えられた役割は、戦場の様子を高天原に報告することであった。幕末の尊攘派志士の霊たちと交流しながら戦地を駆け巡る二人の男女を描いた小説。
戦国の世が終焉に向かう時代、天下統一を目指した織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康。当時の朝廷や武家の動きなどを丹念に調べ、判明した事実を紡ぎながら、三人の英傑の生きざまを描く三部作。