2022年11月7日発売
かつて子役だった沙良は、芸能界で伸び悩んでいた。自分の正体をまったく知らない人間に出会いたい──そんな折に酒場で偶然出会った柏木という男に、たまらない愛しさと憐憫(れんびん)を感じた──。愛に似て、愛とは呼べない関係を描く、直木賞作家の野心作。
誰もいない部屋にこそ、嘘のない生きざまが現れる。20代無職の男性、30代独身女性、40代ベンチャー企業家、80代の資産家。孤独死した人々が抱えていた様々な事情が浮かび上がるー『護られなかった者たちへ』の著者が贈るヒューマン・ミステリー。
スタイリスト見習いとして働く友梨奈と、牛肉加工工場でパートをしている主婦の未知。それぞれに何かから「抑圧」されている。現代社会で生きていく女性のやるせなさを見事な筆致で描きつつ、他者と他者がつながれることを希求する、期待の新鋭の飛躍作。
第30回島清恋愛文学賞受賞、第168回直木賞候補作、2023年本屋大賞第3位 刊行以来、続々重版。大反響、感動、感涙の声、続々! 令和で最も美しい、愛と運命の物語 素晴らしい。久しぶりに、ただ純粋に物語にのめりこむ愉悦を味わった。 さんざん引きずり回された心臓が、本を閉じてなお疼き続ける──そのまばゆい痛みの尊さよ。(村山由佳) まぶたの裏で互いの残像と抱き合っていた二人のひたむきさが、私の胸に焼き付いて離れない(年森 瑛) ーーほんの数回会った彼女が、人生の全部だったーー 古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。 彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。 どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。 ーー二人が出会った、たった一つの運命 切なくも美しい、四半世紀の物語ーー
「これは、梯結子の問題解決及びその調達人生の記録である。」 大阪で代々続く海産物問屋の息子を父に、東京の老舗和菓子屋の娘を母に持つ、梯結子。幼少の頃から「おもろい子やなー。才能あるなー。なんの才能かまだよう分からんけど」と父に言われ、「商売でもいけるけど、商売にとどまらない、えらいおっきいこと、やりそうや」と祖母に期待されていた。その彼女の融通無碍な人生が、いまここに始まるーー。
2022年2月1日に死去した石原慎太郎氏。その最後の文学的結晶ーー 限りなくピュアな初恋の記憶を描いた「遠い夢」、死後公開された「死への道程」など、単行本未収録のまま残された作品を収録。 「太陽の季節」から67年、まさに「白鳥の歌」と呼べる一冊。 遠い夢 空中の恋人 北へ 愛の迷路 ある結婚 死への道程 解説 石原延啓
「気づいたら私は、あの甘酸っぱい青春時代の真っただ中にいた」 落語家 林家たい平推薦! 「要するにの恭平、お前は『見られ人間』なんよ。 だけどな、他人の目を気にし過ぎることは、結局他人に甘えとるんじゃ」 勝利と敗北、羨望と優越、孤独と連帯、勇気と臆病、忍耐と諦観ーー。 1980年代を舞台に、目まぐるしく変化する青年期の痛みと自意識を赤裸々に描いた物語。 【目次】 Chapter1 WINDOW Chapter2 HERO Chapter3 ATTACK Chapter4 JEALOUSY Chapter5 KISS Chapter6 WINNER Chapter7 COFFEE Chapter8 GROUND Chapter9 GLASSES Chapter10 ACCIDENT Chapter11 LIFE 「周回遅れの青春物語」-あとがきに代えてー 「三振したって構わない!」-刊行によせてー 林家たい平
流行作家・瀬戸内晴美は、なぜ51歳で出家し、寂聴になる道を選んだのか。 血縁関係にあり、長年、秘書として瀬戸内文学に仕えた著者による渾身の一冊。 「晴美」として半世紀を過ごし、「寂聴」になった「はあちゃん」。 従妹とその娘が見た瀬戸内寂聴の「生」とは……。 長年、秘書として瀬戸内文学に仕えた筆者が瀬戸内寂聴の出家の謎に迫る評伝小説。 装画は横尾忠則のオリジナルイラスト。 はあちゃんのこと 本郷ハウス 一九七三年秋 母・恭子の記憶 はあちゃんと恭子 一九七〇年の引っ越しの日 一九七三年 現生を捨てる 大工町 一九三六年 終の棲家 書き続けたいもの 中尊寺 一九七三年十一月十四日 一九七二年 恭子の回想 得度前夜 瀬戸内晴美の回想 得度式 十一月十四日 恭子の回想 終わらせ方 一九七三年夏 出家の理由 小説を書き続けるための芯 スプリングボード 私の瀬戸内寂聴 玲子の回想 手伝いはじめ 一九七〇年 はあちゃん倒れる 一九七五年 寂庵での手伝いが始まる 一九七八年 寂庵源氏誕生 一九九二年 戯曲への挑戦 二〇〇〇年 晴美と寂聴 念願の個人全集刊行 二〇〇一年 広がる創作のジャンル 手元不如意 書くことだけでなく 法話 寂庵 天台寺 戦争反対 教育 敦賀女子短期大学学長 文学塾塾長 徳島県立文学書道館 今度はいけない気がする 二〇二一年