2022年4月11日発売
腹が破裂して、緊急手術をすることになった。そこから連鎖するように、わたしのからだに不調が現れる。やがて世界には新型コロナウイルスが蔓延し始めた。からだの痛みは、苦しみの歴史や数多の物語、宇宙の謎にまでわたしを導いていく。恐るべき速度で世界が変化する分断と混乱の時代に、あらゆる束縛を小説で超越してきた山下澄人が投げかける、渾身の一冊。
高橋真一郎を中心に展開される家族三代の絆を描いた感動作。真一郎は両親の姿を見て家族の大切さを知り育った。長じて役所に勤め、同僚であった優子と結ばれ、一男一女を得た。しかし、長男の正樹は希望の職に就いたものの突然退職し、そのうえADHDが発症、引きこもり生活に陥ってしまう。その一方、真一郎は定年を機に新聞配達の職に就く。毎日、配達される新聞は社会との繋がりでもあると、その仕事のやりがいを正樹に伝えるが耳を貸さない。しかし、家族の努力により、彼は立ち直りの兆しを見せるが、そんな矢先に真一郎が亡くなってしまう。正樹の喪失感は強く、生前の父の存在の大きさに気づく。そして、真一郎が後半生をかけた新聞配達の仕事に就き、父の仕事をなぞることで、暗く長いトンネルから抜け出す。そして、かねてから強い関心を持っていた自然保護にも取り組むことを誓う。息子の立ち直りを確信した母は星空の彼方の亡き夫に呼びかける。 はじめに/高橋家/葛藤/画策/稼働/別離/憧憬/あとがき
この奇妙な館にひとり暮らす「僕」が、 自分の過去に、そして世界に疑問を抱いたとき、 彼の世界はまわりはじめる・・・・・・ そこは、海からの潮に洗われ、 古代めいた彫像に飾られた 数多の広間が連なる館。 世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ミソピーイク賞、 ローカス賞新人賞を受賞した世界的ベストセラー 『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』の著者の傑作幻想小説。 ピラネージは海に囲まれた神殿を思わせる、巨大な建造物の中で孤独に暮らしていた。他にこの世界にいるのは、たまに話をする学者だけ。だが、ある日見知らぬ老人に出会ったことから、彼は自分が何者で、なぜこの奇妙な世界にいるのかを疑問に思い、失われた記憶を探り始める。数々の賞を総なめにした『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』の著者が、異世界とは何か、人はなぜ異世界に惹かれるのかという根源的な謎に挑む傑作。
故国キューバから追い出された文学研究者のフェルナンド・テリーは、19世紀の詩人ホセ・マリア・エレディアの「回想録」にまつわる情報を得る。一時帰国したハバナで「回想録」の手がかりを探すフェルナンドは旧友たちと再会し、自分を亡命に追い込んだ裏切り者の存在を見つけようとするだが…。キューバ独立運動にまつわる事件をミステリー仕立てに描き出す傑作長編。