2022年4月12日発売
ノルウェーの雪に閉ざされた田舎町。ある時、11歳の少女シスが通う学校に、同じ年の少女ウンが転入してくる。ふたりは探り合うように距離を縮め、まもなく運命的な絆で結ばれるが、ウンは森深くの滝の麓につくられた神秘的な“氷の城”へ行ったきり、姿を消してしまう…特別な関係、孤独、喪失からの回復を、凛とした文体で幻想的かつ象徴的に描き上げたヴェーソスの代表作。1965年度北欧理事会文学賞受賞作。
たった四つの文字から「畏るべき豊穣」を生む遺伝情報と、バッハのゴルトベルク変奏曲。その二つの構造の不思議なまでの符合を鋳型にして、精巧なロマンスとサスペンスが紡ぎ出される。 1957年、遺伝暗号の解読を目指す若き生化学者スチュアート・レスラーに、一人の女性がゴルトベルク変奏曲のレコードを手渡す。25年後、公立図書館の司書ジャン・オデイは、魅力的な青年フランク・トッドから、奇妙なリサーチの依頼を受ける。夜ごとゴルトベルクを聴きながら凡庸なコンピュータ・アルゴリズムのお守りをしている、恐ろしく知的で孤独な同僚の正体を調べたい、と。長い時を隔てて存在する二組の恋愛が、互いを反復し、変奏しながら二重螺旋のように絡み合う。なぜレスラーは20世紀生物学の最大の発見に肉薄しながら、突如歴史から消えたのか? その謎が解かれていくとともに、芸術、言語、音楽、愛、そして生命の継承の意味までを巻き込んだ語りが縦横に拡がってゆく。 34歳の若きパワーズが持てるすべてを注ぎ込み、小説の四隅を押し広げようとした長編第3作にして、全著作のなかでも屈指のマスターピース。Time誌ブック・オブ・ザ・イヤー(1991)、Publishers Weekly誌ベスト・ブックス(1991)などに選出、全米批評家協会賞(1991)最終候補作。
2013年度キングオブコントグランプリ、2020年、2021年、タレント初の岸田戯曲賞最終選考の鬼才コント師・戯曲家、岩崎う大の初ノベライズ。 舞台は、どこにでもあるような田舎の民宿。唯一のウリは、窓に広がる雄大な海の景色。ここに非常識な宿泊客たちが押し寄せ、繰り広げられる空前絶後のバカ騒ぎ…。…心に傷を持つ客たちが「ピンクスカイ」という現象を通して、シンクロし、人生の帰結に巡り会う…。 「ピンクスカイ」とは何なのか? まさに現代版パンドラの箱。 岸田戯曲賞最終選考にも残る「劇団かもめんたる」が、第一歩を踏み出した一作を小説とし大幅加筆修正しオリジナル小説化しました。 エンタメ各界人からも注目の一冊!