2022年5月19日発売
ジョン・F・ケネディ空港から見えたNYは黄砂に覆われている。私ーモハメド・アヴドゥルーの目的は、マンハッタン島にひそむという、一匹の野良犬を捕獲することだった。ある“恐ろしい男”より先に。野良犬は、珈琲味のチューインガムが好物らしく、不思議な力で盗みとる。犬種はボストンテリア。その犬の名は『イギー』…。間違いなくスタンド使いだ。
名古屋出身の「なごやん」と繰り広げた九州縦断の脱走劇から十数年後ー。富山県のひょんな場所でなごやんと再会した「花ちゃん」。夫のアキオちゃんと娘・佳音の成長を愛おしむ日々に、なごやん一家と遊ぶ楽しみが加わった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大でその生活が一変!!続々とやってくる不安の波に押しつぶされそうになりながら、花ちゃんが出会ったもうひとりの自分とは?富山県を舞台に『逃亡くそたわけ』の続編が幕を開ける!
駄菓子屋でゲームに明け暮れる中学2年の哲太。ある日、最新機種『ゼビウス』を完全攻略する女の子が現れた。転校生の珠代だ。彼女は哲太たちとともに、心霊スポット・旧本坂トンネルを訪れる。しかし、仲間の内、ひとりだけ帰ってこない…。トンネルで相次いで失踪した子どもたちの共通点を探ると、あるゲームが浮かび上がった。『イーヴィル・デッド』だ。失踪した仲間を救うために、彼らは奔走する。三つ叉槍、口裂け女、放火された映画館、村の呪い…。トンネルで待っていた魔物とは!?予測不能ホラー×ミステリーの新傑作!
裕福な暮らしをする野々山あすかと、窃盗をくりかえし裏社会で生きる久米明日香。あすかが友人と話している場所に偶然居合わせた久米は、高級老人ホーム「いこいの園」の存在を知る。侵入を企む久米だったが、昔の仲間の不穏な動きや事件により、事態は思わぬ方向へー。事件に次ぐ事件の裏で、家族愛や恋愛が絡み合う長篇サスペンス。
歌舞伎町でボンボンショコラの専門店「ちょこれーと屋さん」を営む星咲直美は、かつて「歌舞伎町の百獣の王」と呼ばれた伝説の元極道。傍若無人な振る舞いと破天荒な言動に舎弟の譲二はいつもきりきり舞いだが、なぜか女たちと年寄りからは人気がある。だが、堅気になった後も半グレを殴り、ヤクザも追い込む直美を抹殺しようと、古巣「東神会」の若頭・海東が卑劣な罠を仕掛けてきた。悪逆非道な手口に、直美の怒りと鉄拳が炸裂する!
共に関ヶ原で生まれ育った12歳の多聞と龍之進は、1600年、大いくさの戦場でそれぞれ、人買いにさらわれてしまう。その後、多聞は宣教師に救われ、龍之進は篤実なポルトガル商人の家にもらわれた。長崎で運命の再会を果たした二人だったが、龍之進は養父が異端者のレッテルを貼られて没落、多聞には禁教政策のうねりが襲う。苦難の末、遠く海を渡ったマカオで再び邂逅した二人は、片や貿易商人、片やイエズス会士として逞しく成長していくが、やがてマカオを攻めてきたオランダとの死戦に起つ。友情、恋、信仰、信命ー人を信じて清々しく生きる。感動の歴史長篇!
ある日突然、「女子大生殺害犯」とされた男。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。
中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。そこは、母親から構われずに育った葉奈子が救いを求めて逃げ込んだ場所だった。15年前の夏の記憶と、担任する女子生徒の抱える秘密が重なったとき、葉奈子の中でひとつの真実が立ち上がる。その真実を共有したのは、心に傷を負ったまま生きる同僚の中年男性教師だったー。
世間を騒がせている半グレ集団「凶徒聯合」のメンバーが殺された。警察は暴力団や半グレ同士の抗争と見て捜査をはじめるが、それを嘲笑うかのように次々とメンバーに魔の手が迫る。疑心暗鬼になっていく半グレたち。そして、犯人を英雄視するSNSの住民たち。意外すぎる犯人と絡まり合う人間関係が驚愕を誘う、今大注目の著者による社会派サスペンスの傑作。被害者にも、加害者にも、家族や大切な人がいる…。連続ドラマ化の話題作『正体』、大ヒット中『悪い夏』の著者が事件の裏にある「知られざる物語」を描く。
「仏朗機砲があれば琉球を倭寇から守ることができる…」東シナ海で勢力を拡大する海賊集団「倭寇」から琉球を守るためには最新の大砲・仏朗機砲が必要ーそう進言した元倭寇で琉球王府役人の眞五羅は、仲間たちとともにポルトガル人が支配するマラッカを目指し旅に出る。だが、マラッカ周辺は3つの国が相争う危険地帯。眞五羅たちは命の危険にさらされながらも目的地を目指すー。日本に鉄砲が伝来する戦国期直前の時代を舞台に、男たちの熱き戦いと永遠の友情を描く歴史冒険小説。
東北の寂れた街に、1ヶ月、欠かさずお参りすると、30日目の夜、この世のものとは思えない快楽のなかで死を迎えることができる神社があるという。それを体験した男の日記がネットで拡散され、その神社は話題に。死にたい人たちが、その街に集まり、街は活気を取り戻すが…。死にたい人たちの事情と街を蘇らせたい人たちの思いが交差する連作短編集。
東京で服飾の仕事をしている中村みどりのもとに、物心つく前に別れたきりの父親が亡くなったとの知らせが入る。佐賀県唐津市でテーラーを営んでいた父は、ネクタイをポーチに作り替えたりして、どうやら遺品リメイクの仕事をしていたようだ。残った注文を引き受け、父が使っていた年代物の足踏みミシンを動かし始めるとーここには自分ひとりのはずなのに“誰か”が話しかけてきた…。
ルーマニア語の世界に飛び込んだ著者。たちまちこの情感豊かな言語と、それが紡ぎだす詩や小説の虜になる。長年にわたって訳してきた数々の作品ーミルチャ・エリアーデのほとんどの小説をはじめ、リビウ・レブリャーヌ、ミルチャ・カルタレスクからルーマニアの民話やバラード、SFにいたるまでーに付したあとがき・解説・解題をまとめた、著者半生のルーマニア愛の記録。