2022年9月30日発売
謎に満ちた心霊現象vs.比類なき名探偵。探偵・濱地健三郎には鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の刑事も秘かに足を運ぶほどだ。リモート飲み会で現れた、他の人には視えない「小さな手」の正体。廃屋で手招きする「頭と手首のない霊」に隠された真実。歴史家志望の美男子を襲った心霊は、古い邸宅のどこに巣食っていたのか。濱地と助手のコンビが、6つの驚くべき謎を解き明かしていくー。有栖川ファン必読!本作から読んでも楽しめる、著者初の心霊探偵小説第3弾!
生涯の主に仕えるため王都にやってきたヨセフ。亡き恋人へ変わらぬ愛を捧げる副将軍・ルーカス。そして剽軽な性格とは裏腹に、平民では異例の出世を遂げた将軍副官のディルク。 数奇な運命に引き寄せられ、男たちは王国を揺るがす事件に直面し、ヨセフは戦場でルーカスに恋をする。だが血統主義が蔓延る王宮で生きるためにルーカスとの養子縁組の話が持ち上がる。思慕を捨てられず葛藤する中、憧れの男であるルーカスに純潔であることを指摘され、ヨセフは動揺する。衝動的に夜の街へと繰り出すヨセフだったが、見たことのないほど激怒したディルクが現れ…?
聖剣に付与術をかけられないことを理由に勇者クルスのパーティーを追放された天才付与術師ルーファス。願ったり叶ったりのルーファスは自身の同類ー“自分こそが最強と信じる変わり者”を集め、魔王討伐を志すことに。彼は手始めに最強と名高い、剣聖ランカスターの下へと向かうのだったー。一方、クルスもまた“勇者を盛り立てる新しい仲間”をスカウトしに行くのだが、そこにいたのは…!?攻撃力+999の最強付与術師が“最強”を証明するための物語、ここに開幕!
過労死寸前でブラック企業を退職したアラサーの私は気づけば妹に唆されるままにバーチャルタレント企業『あんだーらいぶ』所属のVTuber神坂怜となっていた。「VTuberのことはよくわからないけど精一杯頑張るぞ!」と思っていたのもつかの間、女性ばかりの『あんだーらいぶ』の中では男性Vというだけで視聴者から叩かれてしまう。しかもデビュー2日目には同期がやらかし炎上&解雇の大騒動に!果たしてアンチばかりのアラサーVに未来はあるのか!?…まあ、過労死するよりは平気かも?
ギュンターとの死闘の末、辛くも勝利をもぎ取ったサム。次に彼が戦いを挑んだのは王国最強の宮廷魔法使いアルバート。貴族と手を組み王国内で悪逆の限りを尽くしていたアルバートは、ウルの師匠であるデライトを失脚させたうえ彼の娘フランチェスカにまで手を出そうとしていたのだ。そのことに激怒したサムはアルバートを下し宮廷魔法使いの地位を奪うため、デライトと共に特訓を始める。そして決闘当日。万全の状態で戦いに挑むサムだったが、そこに王国を狙う最強の生物「竜」が現れてーー!?
お義母さん、うちの子に食べ物を与えないでください!孫にごはんを食べさせて何が悪いんだい!専業主婦として家庭を支えてきた料理上手の姑。フードスタイリストだが日々の食事は簡素でよしとする嫁。一つ屋根の下で二つの食卓がぶつかって、やっかいな出来事が次々と巻き起こる。多彩で魅力的な料理シーンも満載!令和時代の家族“食”小説。
科学技術の花開く夢の世紀と期待されて幕を開けた21世紀、そこから20年を経た今、日本は、そして世界も、期待からどんどん遠退いて行くとしか見えないのは何故?畢竟、文化文明史とは、淀む一方のヒト共の知恵の流れを辿るもの、科学史とは、ヒト共に退化をもたらす、知恵の悪あがきの積み重ねを辿るもの。悲しいかな、そこに通底するおかしな法則、進歩とは退化に同義!歴史は先ずは裏から見るのが、そこから学ぶに正しい姿勢というものか。シリーズ5巻の本書では、アメリカ合衆国建国の裏面史に学びつつ、現代の巨頭、アメリカ合衆国と中華人民共和国の今を俯瞰する。
兄は船旅に出る妹を見送ったが、それは彼女が乗る予定の船ではなかった。ひと月後、妹から手紙が届く。彼女は、その船では日付も時刻も現在位置も確認できないと書いていた。手紙を読み進めるにつれ、内容はさらに常軌を逸していき…(「船の話」)。ある日突然、部屋の中に謎の大きな鳥が現れる。“わたし”は、なぜか外に出ていかない鳥の正体を突き止めようとするが…(「ロック鳥」)。旅行から帰ったら、自分が死んだとアパートの住人に触れまわった女がいたという奇妙な話を聞かされて…(「六月半ばの真昼どき」)。大都会N市では、死体から蘇生させられた“灰色の者”たちが、清掃や介護などの労働を人間の代わりに行っていた。彼らに生前の記憶は一切なく、恐怖も希望も憎悪も持ち合わせていない。しかしある時、“灰色の者”たちにすさまじい変化が訪れ…(「その昔、N市では」)。日常に忍びこむ奇妙な幻想。背筋を震わせる人間心理の闇。懸命に生きる人々の切なさ。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、全15作の日本オリジナル傑作選!
日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編 全編書き下ろし 第13回創元SF短編賞受賞作を収録 八島游舷、宮澤伊織、菊石まれほ、水見稜、空木春宵、笹原千波 ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結。新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ第5巻。今回は、宮澤伊織、水見稜、空木春宵、八島游舷、菊石まれほの新作と第13回創元SF短編賞正賞受賞作・笹原千波「風になるにはまだ」を掲載する。 ■目次 はじめに 八島游舷「天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺」 宮澤伊織「ときときチャンネル# 3【家の外なくしてみた】」 空木春宵「さよならも言えない」 笹原千波「風になるにはまだ」(第13回創元SF短編賞 正賞受賞作) 第13回創元SF短編賞選考経過および選評 水見稜「星から来た宴」 菊石まれほ「この光が落ちないように」 ちいさなあとがき 編集部より
どこをさがしても見つからない。いくらさがしても見つからない。残り一球が見つからないと帰れない。いったいボールはどこへ行ったのだ?闇雲にさがしても無駄だ、頭を使おうと高校野球部の部員たちは推理でボールの行方を突きとめようとする。著者の出発点となった「ボールがない」をはじめ、天文部員が天体写真を添付したメールの謎の解明に挑む「宇宙倶楽部へようこそ」、実在のスイッチバック駅を舞台に殺人の謎を描いた表題作など五編。ああでもない、こうでもないと推理を重ねたその先に、意外なところから真相がひょっこりと顔を出す、鵜林ミステリの個性を示した第一作品集。
岡山の名士が遺した二通の遺言状。一通目の遺言に従って、一族の面々は瀬戸内の孤島・斜島に集められた。行方を晦ましていた怪しげな親族までもが別荘『御影荘』に招かれて奇妙な空気に包まれるなか、もう一通の遺言状は読みあげられた。翌朝、相続人の一人が死体となって発見される。折しも嵐によって島は外界から隔絶される事態に。相続人探しの依頼を受けていた私立探偵・小早川隆生と遺言執行人の代理を務める弁護士・矢野沙耶香、ふたりは次から次へ奇怪な事件に巻き込まれていく。鬼面の怪人物の跳梁、消える人影、そして一族が秘密にしていた二十三年前の悲劇ー続発する怪事の果て、探偵たちの眼前に驚愕の真相が現出する!本屋大賞作家が満を持して放つ、謎解きの興趣を隅々まで凝らした長編ミステリ。
流浪のヒロインが物語る波瀾万丈の人生 わたしの名はエバ。生命を意味しているー南アメリカの或る独裁制国家、密林の捨て子だった母親と先住民の庭師との間に生まれた娘エバは、人間の剝製法を研究する博士の屋敷を振り出しに様々な家を転々としながら大きくなる。天から与えられた彼女の才能はお話を語ること。世話好きな黒人の料理女、街の不良少年、娼婦の元締めの女将、夜ごと羽飾りに身を包み絶世の美女と化す語学教師、辺境の町で商店を営むアラブ人、ゲリラの指導者、高級将校、オーストリア移民の若き報道カメラマンなど、流浪のなかでエバは多くの人々と出会い、やがて愛を知り、物語の語り手としての人生を切り開いていく。20世紀の歴史を背景に展開する波瀾万丈、奇想天外な挿話と、エバの語る物語の数々。『精霊たちの家』で世界中を虜にした〈現代のシェヘラザード〉アジェンデが、驚異のストーリーテリングで読者を魅了する傑作長篇。
エイミーが社長ジェイクの個人秘書になって2年、女性を大勢泣かせてきた彼の犠牲者にならぬよう慎重にふるまってきた。そんなわけで、エイミーは不実な恋人に捨てられてどん底にあっても、ボスの前では弱った姿を見せるわけにいかなかった。なのに、秘書が失恋したと知ったジェイクはすかさず、甘く優しい誘いをかけてきた。警戒を怠らないエイミーだったが、元恋人が不意に現れ、あてつけのためジェイクとの親密さを見せつけた。そしてとうとう、長年避けてきた事態を迎えてしまうー甘美な一夜を。でも、職場で気まずくなりたくない。この関係は続けられない。そうボスに告げたエイミーはやがて、彼の子を妊娠したことに気づく…。
深く傷ついた初恋のせいで男性を信じられなくなったモデルのヘザー。24歳になった今も、彼女が恋愛未経験であることは誰も知らない。その証拠に、ヘザーには、美貌を武器に次々と恋人を作っては容赦なく捨てる女だという評判がいつもつきまとっていた。そんな彼女に、またも言い寄る男がひとりー女性との噂が絶えない、危険な魅力をたたえた会社重役のレイス。「僕はきみが欲しい。きみも僕を求めるようにさせてみせる」高らかに宣言する彼に恐れをなしたヘザーは、ロンドンを出てスコットランドにある知人の別荘へ逃れた。翌朝目覚めると、驚愕の光景が待っていた。なぜ…レイスがここに!
乗馬中にぶつかった男性が顔を上げた瞬間、メリッサは息をのんだ。シルバーグレーの瞳。傲慢そうな顎。間違いない。ローレンスだわ。この20カ月、かたときも頭を離れなかった男性ーファーストネームしか知らなかった娘の父親が、目の前にいる。「メリッサじゃないか!その子はいったいー」「ローレンス…」腕のなかの娘を強く抱きしめ、一歩後ずさる。都会に憧れる世間知らずの男爵令嬢が、使用人の姿で訪れたロンドンで素性の知れない男と恋におち、身ごもった。家名に泥を塗ったと激怒する両親の反対を押し切って、メリッサは娘を産み育ててきたー。「とても美しい子だね。君の夫は幸せ者だ」「夫はいないわ」その言葉に“ウィンチカム伯爵”は顔色を変えた。
かつて憧れだった10歳年上のドラムが、伯爵となって帰ってくる。レベッカはその知らせに動揺した。今や彼は誰より憎らしい相手。7年前、出征を明日に控えたドラムが別れを告げに来たとき、無断で彼の愛馬を駆ったレベッカはひどく叱られ、お仕置きされた。そして彼の提案によって、牢獄のような寄宿学校へやられたのだった。いよいよ再会の瞬間、昔とは違う熱いまなざしを向けられて戸惑うが、あの時の仕打ちを忘れられず、レベッカはよそよそしくふるまった。ところが後日、親代わりの祖父が旅で不在にすることになり、ドラムの後見のもと、伯爵邸での同居を余儀なくされる!レベッカは震えた。大嫌いな彼にまた惹かれてしまうのが怖くて…。
獣医師のフランチェスカは愛犬とともに現れたヴィンチェンツォ王子をひと目見るなり、激しい恋に落ちた。しかし王子には婚約者がいたうえ、フランチェスカには秘密があった。実は私はあなたの婚約者のいとこだと、どうしたら言えるだろう?事情があって違う姓を使っているから、気づかなくても当然だけれど。それでも愛する男性に嘘はつけず、彼女は正直に告白した。ヴィンチェンツオはその勇気に感動し、婚約は先日破棄されたので問題はないと言って、それからも二人は会いつづけた。魅力的な彼と過ごせて、フランチェスカは天にものぼる心地だった。まさか、王子の元婚約者が妊娠したと言ってくるとは夢にも思わず…。
2年前に別れた夫マイケルが事故に遭ったという一本の電話ーそれは、エイミーをつらい過去へと引き戻すものだった。事故で記憶を失った彼の面倒を見てほしいと彼の姉に頼まれたが、できれば、二度とマイケルには会いたくなかった。まだ赤ん坊だった愛娘の死にも涙一つ流さなかった冷たい彼には…。けれど放っておけず、気づけばエイミーは元夫のもとに駆けつけていた。元妻のこともあの悲劇のことも忘れ、明るさを取り戻したマイケルに、エイミーは愚かにもすがりたくなってしまう。彼の記憶が戻れば、耐えがたい絶望と孤独に慟哭した、あの時の涙がまた流れるというのに。