2023年11月6日発売
嫁さんは、死んでもまだこの世にうろついているんだよーー 大正時代末期、大阪船場。画家の壮一郎は、妻・倭子の死を受け入れられずにいた。 未練から巫女に降霊を頼んだがうまくいかず、「奥さんは普通の霊とは違う」と警告を受ける。 巫女の懸念は現実となり、壮一郎のもとに倭子が現われるが、その声や気配は歪なものであった。 倭子の霊について探る壮一郎は、顔のない存在「エリマキ」と出会う。 エリマキは死を自覚していない霊を喰って生きていると言い、 倭子の霊を狙うが、大勢の“何か”に阻まれてしまう。 壮一郎とエリマキは怪現象の謎を追ううち、忌まわしい事実に直面するーー。 家に、死んだはずの妻がいる。 この世に留めるのは、未練か、呪いか。 選考委員満場一致、大絶賛! 第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 史上初の三冠受賞作! 第一幕 四天王寺樒口寄 第二幕 心斎橋紅襟巻 第三幕 鰻谷扇恋塚 第四幕 船場紅地獄廻唄 第五幕 信濃橋筆彩 第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 選考経過・受賞の言葉・選評・歴代受賞作一覧
宗教的秘儀への参入……白人と黒人の二人の女性は日本人学者の「彼」の水先案内人をつとめたのだった。 深い森のなかにわけ入るかのようなキューバの「深層文化」体験。著者渾身の瞠目の書き下ろし小説ついに刊行! 2009年にサンテリアの通過儀礼を受け、2010年、シエンフエゴス、バラデロへ旅。日本人学者は、ハバナの宿でアフロ宗教サンテリアの司祭ババラウォに出会い、通過儀礼「オルーラの手」を受ける。黒人宗教に関心を持つ「彼」に、サンテリアの儀式に連れて行ったり、いろいろと教えてくれる親切な白人女性エレーナ。彼は白人女性の家と黒人ババラウォの家を行きつ戻りつしながら、己の身の処し方を思案するのだった。2008年にエル・コブレで初のベンベ(ブルへリアの儀式)を体験。2010年、山でのベンベ。15歳のメルセデスの妊娠と出産。2013年、祈祷師セリアとエディタ、フリアの死。2014年、山でのベンベから4年後、日本人学者は、キューバ東部のサンティアゴを訪れ、エル・コブレでアフリカ由来の太鼓儀礼を初体験。再訪したエル・コブレで黒人女性テレサの差配によって、祈祷師から自己の守護霊のためにベンベをほどこしてもらう……めくるめく秘教の世界への誘い。 第1章 サンティアゴの祈禱師 第2章 死者のいる風景
自分に正直であること。それがいちばん正しい。そう思って過ごしてきた高校生の瑠璃。そんな生活が一変したのは、友達をさしおいてバスケ部の部長になってから。お弁当を持って逃げるように教室を出る日々に心が折れそうになっていたとき、旧校舎の空き教室で、同じ学年の紺と出会う。彼は人前で話をするのが大の苦手でほとんど背中を向けていたけれど、その言葉は誠実で瑠璃の心を癒してくれた。そして、嫌がらせがいよいよエスカレートしたその時ーー。大声をだして助けてくれたのは、あの紺だった。傷だらけのふたりは、よりそいながら…それぞれの方法で光をみつけていく。 真っ暗な苦しみの中にいる人へーー今日を乗り越えるための物語。
古びた洋館で起きた転落死事件を捜査する刑事・山城。やがて佐織という女を突き止めるが、女は早々に警察へ出頭。裁判で落ちこぼれ弁護士と最強検事の攻防が始まったー。二転三転する展開は法の盲点を突く驚愕の事件へと変貌する!
わたしたちには人間である勇気があるか? 2020年春のロックダウン下のドイツを舞台に、自分とは異なる境遇の相容れない人間との一風変わった交流と友愛を、ウイットに富んだリズミカルな文体で描くウィズコロナ小説。 ベルリンの広告代理店でコピーライターとして働く36歳のドーラは、愛犬を連れて田舎の小さな村ブラッケンに逃げてきた。表向きはロックダウンした都会から人の少ない田舎に避難したようにみえるが、本当の理由は別にある。環境問題にのめりこむパートナーとの間にはしばらく前から隔たりができていて、コロナを機に過激の度合いを増す彼の態度に辟易したドーラは、彼と距離を置くことにしたのだ。のどかな田園生活を夢見ていたドーラだが、隣人のゴートはスキンヘッドのマッチョなネオナチで、もとは空き家だったドーラの家の鍵をまだ持っていて、勝手に出入りするなど、ひと筋縄ではいかない村人たちに振りまわされることになる。ゴートは無愛想ながらドーラにベッドを作ってくれたりといろいろ親切にしてくれるが、ドーラは心情的に受け入れることができない。しかしある事をきっかけにドーラの心は変わりはじめる。 ドイツ100万部超のベストセラー! ドイツ最大の人気作家のひとりユーリ・ツェーが描くウィズコロナ小説。 初の本格コロナ小説。2020年春のロックダウンの最中を描く。パンデミックが及ぼした影響を社会のレベルと個人のレベルで克明に描き切っている。 ーー「南ドイツ新聞」イェルク・マーゲナウ評 この小説を心の底からすべての人に薦める。さまざまな集団のあいだに存在する数々の壁を壊すために。 ーーベルリン=ブランデンブルク放送、フランク・ディーチュライト評
本巻には代表作「木橋」「土堤」「なぜか、アバシリ」「破流」のほか、「小説家以前」となる異稿や習作を単行本初収録。貧困、DV、ネグレクト、バックレ、密航、窃盗、そして…。故・永山則夫の自伝的小説を全2巻に初めて集成。