2023年5月8日発売
「おけいさんは相変わらずだの。小鳥をあの子と呼んだり、売れた鳥を送り出したといったりな」「だって、ここにいる鳥たちは皆、大切な子です。命を持っているんですもの」わけありの夫と離縁し飼鳥屋を営む女主人のおけい。九官鳥・月丸との暮らしも順調なある日、店は大火に呑み込まれ…。たおやかで実直なおけいの選ぶ人生の道とはー?
世界文学を切りひらく著者による、はじめての朝日新聞連載小説の書籍化。ベルリンで一人暮らしをする美砂。隣人Mさんは東プロイセンで生まれ、終戦前にドイツに引きあげてきた。美砂はプルーセン人の来し方を聞きながら、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、土地からの追放、戦時の死者数、国や民族、境界について考える。ある日、Mさんに誘われて、太極拳学校に行く。ロシア人富豪のアリョーナ、お菓子づくりのベッカー、英語教師のロザリンデと共に、鶴が羽を広げるように右腕を力強く上げる太極拳の技「白鶴亮翅」を習う。美砂はクライストの短篇「ロカルノの女乞食」を翻訳する。このドイツの作家はなぜホームレスの老女に注目したのか。ハムレット、グリム童話、楢山節考、世界の名作を女性の視点から読み直してみると……。
さあ、「のぼれる灯台」をめぐる旅へ。 「参観灯台って全国にあるよ。(中略)これを全部行ったらスゴイよね」(本文より) 交通案内所に勤める池江渚は、ある日『なぎさの旅日記』というブログを見つける。 自分と同じ名前に運命めいたものを感じて読み進めてみると、 その「なぎさ」は渚のすぐ近くに住んでいるようで...? すべてをコンプリートする計画を立てたふたりの渚を待つのは、 津々浦々の絶景、名物、そしてキラキラ輝く水平線。 軽快な筆致で描かれる、前代未聞の”灯台めぐり”小説。 国内旅行のモデルコースとしても!
収穫祭に湧くボルドーでアノー警部&リカードの名コンビを待ち受ける怪事件。〈ガブリエル・アノー探偵譚〉の長編第三作、原著刊行から95年を経た完訳! オパールの囚人 訳者あとがき 解説 横井 司