2023年9月7日発売
存在のすべてを存在のすべてを
平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がるーー。質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。
ヨルノヒカリヨルノヒカリ
「ここで、一緒に暮らしつづけよう」いとや手芸用品店を営む木綿子は、35歳になった今も恋人がいたことがない。台風の日に従業員募集の張り紙を見て、住み込みで働くことになった28歳の光は、母親が家を出て以来“普通の生活”をしたことがない。そんな男女2人がひとつ屋根の下で暮らし始めたから、周囲の人たちは当然付き合っていると思うが…。不器用な大人たちの“ままならなさ”を救う、ちいさな勇気と希望の物語。
あきつ流るる……あきつ流るる……
大切な人を失い、痛みに堪えて生きる主人公を描く表題作や、交通事故に遇い再起不能と思われた男が一人の女性の出現によって立ち直っていく姿を描いた『蕎麦の花』など、折々の作句が強い彩りを添える、著者渾身の短編集。
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