2024年1月22日発売
昔々、あるところに私たちの祖先が暮らしていました。くちなわ様の“ごかご”のおかげで、みんな幸せでした。しかし、そんな恩を忘れて人間に恋した愚か者が現れました。愚か者は、人間にわたしたちの秘密をあらいざらい話してしまったのです。その話を聞いた人間たちは、しめしめとわたしたちの国に襲いかかりました。わたしたちは成す術もなくやられ、散りぢりになってしまったのです。くちなわ様は、人間に恋した愚かな裏切者に激昂し、恐ろしい呪いをかけました。呪いの子を裏切者の母体にー仕込んだのです。
バイクの自損事故現場で轢き逃げに遭った新人警察官の桐嶋千隼。病院で目を覚ますと、バイクの少年は死亡していた上、桐嶋はその責任を巡る訴訟を起こされてしまった。途方に暮れる桐嶋を訪れたのは、「県警の守護神」と呼ばれる弁護士資格を持つ異例の警察官・荒城。真実よりも勝利を求める強引なやり方に反発しつつも、訴訟に巻き込まれていく桐嶋だが、調査を進めるうち、訴訟は同日に起きた女性警察官発砲事案にも繋がっていきー。第二回警察小説新人賞受賞作。
芸に命を捧げる歌舞伎役者には、血も涙も汗も枝葉に過ぎない。女形の歌舞伎役者・二代目瀬川路京は人気低迷に足掻いていた。天に授けられた舞の拍子「神の音」が聞こえなくなっていたのだ。路京は座元と帳元の強い勧めもあり、現状打破のため、因縁の演目を打つことに。師匠の初代路京が舞台上で殺され、さらに瀬川家が散り散りになったきっかけの「母子月」だ。子役として己も出演した因縁の公演を前にして、初代殺しを疑われた者たちが集まってくる。真の下手人は誰なのか?初代はなぜ殺されてしまったのか?終幕に明かされる真相に涙を流さずにはいられない、感動の時代小説!
時は天平。疫病により多くの為政者が命を落とした朝堂において、ひとり異彩を放つ者がいた。藤原仲麻呂。皇后である叔母の寵愛を受け、出世の階段を駆け上がるこの男は、臣下の誰一人として持ち得ない、危険な野望を秘めていた。一方、次代の天皇である阿倍内親王は、帝となることに意味を見出せず、ただ人並みの幸せを望んでいた。かつて恋慕の情を持った仲麻呂への想いが憎しみに転じた時、時代の歯車が軋み始めるー。「恵美押勝の乱」。この国を激変させた衝撃の七日間の全容とは?
大手デベロッパーのエースだった吉沢は、プロジェクト失敗の責任を負わされて左遷。今回さらに宮古島支社に配属。翌日、高級別荘地の大型案件を一手に引き受けていた同僚が水死体で発見されたー用地買収をめぐる人間模様とSNSの闇、その奥から姿を現した事件の真相とは?「論創ミステリ大賞」堂々の受賞作!