2024年3月13日発売
仲良し5人組が、1人ずついなくなる。「私は悪くない」から始まる「エゴミス」! いわゆる「HSP」であるヒトミは、その繊細な性格のせいで損ばかりしてきた。大学時代からの親友4人を見て劣等感をくすぐられ、また惰性で付き合う彼氏やアルバイト先の人間関係などに辟易していた。ある日Kポップにハマってしまった彼女は、無垢なアイドル達のきらびやかな笑顔を見て、自分もすべてを捨てて渡韓しようとする。 女性5人それぞれが自らの「生きづらさ」を語るが、いつの間にか他人への浅はかな羨望、嫉妬といった黒々とした感情が渦巻き...... 「Cocoon」シリーズの作者が贈る、全く新しい「生きづらさ」文学。
ある日、世界から太陽が消えた。芳枝は一人息子の健太郎を失い、暗い家に閉じこもっていた。だが、その扉を叩く見知らぬ男の子があらわれる。その子は太陽を探しに行くのだというーー。「あなたは、だれなの?」闇の中で子どもが大人を導いていく。物語の本源に迫る重層的な語りの構造が、闇の底に驚くべき結末を準備する。代表作『あん』が23言語で翻訳され、世界のリテラシーエージェントが注目するドリアン助川の希望の書。
母を亡くした小学校六年生の鳴海翔は、遠い町の祖母の家に預けられた。寂しさをこらえて新しい暮らしに慣れようとするが、そこには一筋縄ではいかない大人の世界があったーー。万引きを奨励する母と暮らす大也、狭い家のなかで暴れる父に苦しむ美波、そして親から離れて暮らす翔。大人たちの身勝手さにもみくちゃにされながらも、三人はしだいに心を近づけていく。過酷な現実から明日に向かって踏み出していく勇気の物語。第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。
クズのような人生で唯一男を裏切らなかったのは「思い出」だけだった。 町でいちばんの美少女と育んだ記憶を穢す者には消えてもらうしかない。 濃厚な死の予感を抱えながら、自分になつく歌舞伎町の少女のまっすぐな純情を味方につけて、男の鳩型暴力が発動するーー。 圧倒的な冒険官能小説の誕生を告げる、どうしようもない男と女の「再生」の物語!! 目次 ・第一章 町でいちばんの美女 ・第二章 ふたりのダンジョン ・第三章 愛でもなく、恋でもなく ・第四章 カブキから来た女 ・第五章 逆巻く嫉妬 ・第六章 地獄へドライブ
レコード会社宣伝部の人妻と帰国子女の社長秘書…… ふとした魔が、嫉妬を呼び、関係を深め、快楽の度合いを一段引き上げる。 人事レースに直結するトラブルを抱えた男の広告代理店生活の掉尾に、 女たちの献身が淫爆する! 大逆転の女・リアル企業官能小説!! 目次 ・第一章 鳴らない鐘 ・第二章 冬の灯り ・第三章 満月が欠けるとき ・第四章 懺悔の値打ち ・第五章 枯れ野の華 ・第六章 掉尾の一振
サメに救われた少年には奇跡の力が宿りはじめる。これは真実か、ただのイカサマか? ハワイで生まれ育った注目の作家によるデビュー長編! はじまりは1995年。ハワイ島に暮らすフローレス家は、「豊かな」生活を求めて、オアフ島を目指す。そのさなか、息子のナイノアが海に落ち、サメによって助けだされる。サメに救われた少年には、奇跡の力が宿りはじめる。これは真実か、あるいはただのイカサマか? こうして家族の未来は大きなうねりに巻きこまれる。時を2000年以後に移して、描きだされるのは、楽園ではないハワイ。それは現代の豊かさをめぐるアメリカの矛盾、世界の矛盾を映しだす場だ。ほんとうの「豊かさ」とは何か━━。 ハワイとアメリカ本土(メインランド)を舞台に、ある一家の波乱にみちた運命がつづられる。バラク・オバマのベストブックリスト(2020年版)にも選ばれた、ハワイで生まれ育った作家による渾身のデビュー長編。 明かされる真実へと、ぐいぐい引きこまれろ。ウォッシュバーンはとてつもなく優れた新時代の書き手だ。この長大な家族の物語は、サメの牙のようにするどい。ページははじけて火花を散らす、そして、君をすっかり変えてしまう。 ━━━━━トミー・オレンジ(『ゼアゼア』) 古い神話と新たな現実がぶつかり、愛と悲しみが手をつなぎ、信仰と魔術がぎちぎちとこすれあい、喜劇がくるりと悲劇に変われば、まったく新しいなにかが生まれる。そのすべてがとめどない感傷にのって語られる、じりじり焦げるほどに。 ━━━━━マーロン・ジェイムズ(『七つの殺人に関する簡潔な記録』) 「海、自然、果物、楽園━━ハワイときいて、多くの日本人がとても良いイメージを抱くことでしょう。楽園としてのハワイ。それを期待してこの小説を読むと、あれ? と思うかもしれません。わたしは思いました。あれ? この小説に、楽園はない。主人公であるハワイ系フィリピン人のフローレス一家が生きる現代のハワイは、楽園とはかけはなれた苦しい生活が強いられる場所です。サバイバルという言葉がふさわしいほどです」(訳者あとがきより)