2024年3月6日発売
2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。かいていったらなっとくできるかな、わたしは人生をどうしようもなかったって。いやだったこと、いたかったこと、しあわせだったこと、あいしたこと、一生わすれたくないとねがったこと。老いない身体を手に入れた彼女の家族史。
これは、捨てる!あれも…捨てる?溢れかえる洋服、本、フィギュア、溜め込んだ非常食、密かに隠した写真に手紙…。他人事ではありません!身内の身の回りを“断捨離”しようとする人たちの、右往左往に大共感の連作小説。
「ワぁ、ゴッホになるッ!」1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。しかし、絵を教えてくれる師も、画材を買うお金もない。その上、弱視のせいで遠近感をうまく表現できず、帝展に落ち続ける日々。そんな彼が辿り着いたのが木版画だった。「板画」が引き金となり、棟方は日本の、世界の版画界を劇的に変えていく。棟方と苦楽を共し、支えた妻・チヤ。無尽の愛と激動の時代を描く、待望の書き下ろしアート小説。
家族はどこで一線を越えてしまったのか。浦和医大法医学教室に餓死した遺体が運び込まれた。亡くなったのは40歳の独身女性で、死後3週間が経っていた。まだ4月だというのに埼玉で見つかった4体目のミイラ化死体だ。埼玉県警の古手川によると、女性は大学受験に失敗して以来20年以上引きこもっていたという。同居していた70代の両親は先行きを案じ、何とか更生させようと民間の自立支援団体を頼ったが、娘は激昂し食事も摂らなかったらしい。彼女はなぜ餓死を選んだのか?それとも親が嘘を?だが、解剖を行った光崎教授は、空っぽであるはずの胃から意外なものを見つけるとー。引きこもりを抱えた家族を襲う悲劇。彼らは被害者か、それともー。光崎教授が抉り出す、深い闇とは?
死体が持っていた財布に入った紙幣を狙う浮浪者の“ネズミ”。彼に不審を抱くパリ九区担当のロニョン刑事。遺失物扱いされた財布を巡り、それぞれの思惑が交叉する中、事態は思わぬ展開を見せ始める…。煌びやかな花の都パリが併せ持つ仄暗い世界を描いた“メグレ警視”シリーズ番外編!
美しすぎる女子アナとして地元テレビ局で有名な広瀬愛理。彼女の挙式目前に起こった殺人事件。捜査を担当する友永は「狂犬」と呼ばれる女性刑事だったー。難航する資産家殺人事件の真相を暴く天下無敵の女性捜査官、いざ降臨!
一九六八年一月、研修医の待遇改善に端を発する東大医学部闘争が勃発。その余波は、小暮悠太が所属する精神医学教室にも及び、悠太の研究室も全共闘の学生たちに占拠される。騒然とした状況の中、犯罪学の研究の傍ら小説を書き始めた悠太。そこへ、幼い頃から愛し続けていた千束が離婚したとの話が舞い込んでくるー。『永遠の都』に続く自伝的大河小説の第三部。毎日新聞出版文化賞企画特別賞。