2024年7月24日発売
明治初期、近代国家としてスタートしたばかりで、東洋の小国に過ぎなかった日本にとって、国際的地位の向上は急務だった。 公家の娘として生まれた榮子(ながこ)は、岩倉具視の長男に嫁ぐものの、若くして死別。最後の佐賀藩主で侯爵、外交官だった鍋島直大と再婚し、その美貌と気品で「鹿鳴館の花」と讃えられるほど、外交面で活躍する。 しかし、鹿鳴館外交は条約改正に至らず、榮子は自分の役目を模索しーー
「すべての責めは私が負う。覚悟はできている」-- 財産税導入、預金封鎖、新円切替……日本を救うこの決断は、この男にしかできなかった。 『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』の著者が描く、傑作歴史小説! ◇あらすじ 渋沢栄一の孫にして、日本銀行総裁、そして大蔵大臣を務めた渋沢敬三。彼はなぜ、第二次世界大戦後、預金封鎖や新円切替などの苛烈な経済対策に踏み切れたのか? 生物学者をめざす心優しい少年が、その人柄ゆえに経済界の要職に抜擢され、日本の財政の行方を左右する究極の決断を迫られるようになるまでの数奇な生涯を、大胆な視点で描いた長編小説。
ヴェスヴィオ山爆発で壊滅した古代ポンペイを舞台に才色兼備のギリシア人美女をめぐって青年貴族とエジプト人魔術師が対決する。魔術、占星術、魔女、媚薬、イシス女神を駆使し、人間の愛憎、キリスト教の黎明、殺人、剣闘士の死闘などを描く。発掘されたポンペイ遺跡の入念な調査に基づき、当時のローマ文化と風俗、ポンペイの退廃的な文化と生活を精緻かつ流麗に再現。優美な「悲劇詩人の家」や豪奢な「ディオメデスの別荘」での饗宴、公衆浴場での入浴、フォルトゥナ神殿や公共広場、円形闘技場の建築や剣闘士の闘技なども克明に描かれる。小説『ぺラム』で一世を風靡したブルワー゠リットンの織りなす波乱万丈の歴史小説。ヴィクトリア時代にゴシック小説を復活させたブルワー゠リットンは、本作でもゴシック手法を駆使して一大恐怖絵巻をくり広げる。ポーに影響を与え、探偵小説・スリラー小説・ファンタジー・SFの父と呼ばれたブルワー゠リットンのスリルとサスペンスにみちた不朽の名作が待望の完訳でここによみがえる。 本作品は数々の映画化により、世界的に有名な小説となった。だが、ヘンリー・ミラーが『ポンペイ最後の日』を「最も大きな影響を受けた一〇〇冊の本」の一冊に選んでいることからもわかるように、本作は単なる娯楽作品にとどまらず、人間の情熱、愛と死、信仰、人生哲学など、深甚な人間の諸問題をあつかう畢生の大作となっている。 下巻は第四部・第五部を収録、エドワード・ブルワー゠リットンの作家年譜と訳者解説を収録。
【2022年に発刊された『潮の音ーー生と死の季節、夏の海辺の町で』の改訂版です】 ー何の前触れもなく、その幻は現れたー 西伊豆の海辺の小さな町。定年を間近に控えた高校教師の邑井は、夏も終わりに差し掛かったある日、30年前に亡くなった教え子・駿一の姿を幻のように目の前に見る。希望に満ちた未来を夢見ていた駿一を襲った事故。夫を亡くし、女手一つで息子を育て上げた母。そしてそんな親子を襲ったあまりに悲しい結末ーー。自身の教員人生を振り返る傍ら、そんな忘れがたい駿一親子に切実なる思いを馳せる邑井がたどり着いた想いとは。過ぎ去った日々の記憶を手繰りながら、生と死を見つめた男の感動の物語。 [目次] 突然の来訪 父母面談 交通事故 駿一の話 美枝子 山月記 卒業式 家庭訪問 転勤 教員生活 職員会議 教員仲間 別れ 戸田再訪 海が鳴る 倭文の苧環 潮の音 著者略歴 [担当からのコメント] 本作は、ある教え子の記憶を通して、生と死を見つめる主人公の心情を克明に描くと同時に、多感な時期を生きる子供達と向き合ってきた一人の教師の軌跡を辿った物語でもあります。自身も国語科教員として教壇に立った経験を持つ著者が綴る教師と生徒の心の物語を通して、ぜひ教育の価値や本質と向き合ってみてください。 [著者略歴] 田村英敏 一九四四年(昭和19)静岡県湖西市に生まれる。 京都大学文学部卒業後、国語科教員として静岡県の県立高校に勤務。一九八五年(昭和60)から二年間、日本語講師として上海外国語学院(現上海外国語大学)に派遣される。 教え子の手ほどきで剣道を始め、現在、剣道七段。 著書に『合歓の花咲くころ』(新風舎)、『潮の音ーある鎮魂歌ー』(文芸社)、『上海余音』(文藝書房)がある。 静岡県藤枝市在住。
雪舟の祖、稀代の画僧・大巧如拙とその時代! 南北朝を統一し、大内義弘ら有力大名を次々と攻略、かたわら金閣建立など北山文化を開花させ、室町時代の最盛期を築いた「日本国王」足利義満。周文、雪舟に先立つ日本水墨画の始祖とされる謎多き画僧如拙。二人の出会いと確執を代表作「瓢鮎図」(国宝)制作を軸に描く。 注目の歴史小説!
YouTubeチャンネル『漫画エンジェルネコオカ』 人気動画が原案! 昭和世代VS.Z世代 痛快お仕事コメディー! 新たに創設された「再販売促進室」は 実は会社の窓際部署だった⁉ 昭和世代のおっさんとZ世代のギャルが 不動産会社を舞台に繰り広げる 超絶痛快⁉ お仕事奮闘記! 世代間ギャップや 仕事のモヤモヤなんてなんのその。 読んでスカッと! 元気になれる! 最強の凸凹バディー、爆誕です! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ここに若井光莉君という新人はーー」 言いながら小さな会議室のドアを開けて、 押江孝彦は言葉を失った。 中にいたのは、一人の女性社員。 長い髪は明るい栗色で、軽くウェーブがかかっている。 耳元には花を模した大きなピアス。 スマートフォンをいじくる指先は、ピアス同様に 立体的な花をあしらったネイルアートで彩られていた。 二十歳になるかならないかという若さだろうが、 メイクはかなり濃い。特に睫毛は、少女マンガから 出てきたのではないかと思うほどに長かった。 一応スーツに身を包んではいるが、派手すぎる。 およそ仕事場に相応しい恰好とは思えなかった。 というか、ギャルだ。 それが、孝彦が抱いた第一印象だった。 その彼女が孝彦に気づき、物憂げに視線を スマートフォンから上げる。 そして、真っ赤なルージュが引かれた唇が動く。 「おっさんが次の教育係? とりま、よろー」 ここは本当に職場か?
永遠のフェミニスト作家、ヴァージニア・ウルフが 自分で編んだ唯一の短編小説集。 彼女の真摯な「叫び声」を、100年後の今そのまま読む。 ウルフの最初の短編集を、1921年刊行当時のまま、姉ヴァネッサ・ベルの版画5点とともに完全収録。最良のガイドとなる、翻訳者の片山亜紀による詳細な注・訳者解説付。 【収録作】 ゴースト・ストーリー「幽霊たちの家」 フェミニズム冒険活劇「ある協会」 都市のある一日を描く「月曜か火曜」 その後の長編に連なるメタフィクション「書かれなかった小説」 音楽のスケッチ「弦楽四重奏」と色彩のステッチ「青と緑」 草花と人々とカタツムリのコラージュ「キュー植物園」 フェミニズム小説であり評論でもある傑作「壁のしみ」 ーーウルフの原点であり、その後の長編にも連なる真摯で切実な全8編。 学識豊かな男たちなんて、魔女や隠遁者、すなわち洞窟や森でうずくまって薬草を煎じ、トガリネズミを尋問し、星々の言葉を書きつけていた者たちの末裔でしかないのでは?(「壁のしみ」より) 幽霊たちの家 ある協会 月曜か火曜 書かれなかった小説 弦楽四重奏 青と緑 キュー植物園 壁のしみ 本文注 訳者解説 訳者解説注 参考文献