2024年発売
俺はただ家に帰りたいだけなのに、それがそんなにおかしいか? 郵便配達をしていた俺は故郷の「くに」から逃げてきた。妻のカルラと幼い息子とともに「島」で不法滞在している。買い物をした帰りに乗っていた地下鉄が故障で止まってしまい、右も左もわからない場所で降ろされてしまった一家。なんとか家にたどり着こうとあれこれ画策するが、やることなすことすべてが裏目に出て━━。周囲から存在を認められず、無視され続ける移民の親子は、果たしてどうなるのか?
不登校の遥香は、リビングの本棚の片隅で一冊の汚れた本を見つけた……『アンネの日記』。 そして、それが不思議なできごとの始まりだった。 遥香が閉じこもる狭い部屋に、アンネ・フランクたちが突然現れる。そして強引に住み着いていく。 アンネたちはここで奇跡を待つのだと言う。当惑し混乱し反発する遥香。だが、やがて遥香とアンネとのあいだに深い友情が芽生えていく。遥香の心が動き出す……。 心揺さぶるファンタジー小説。
戦禍に苦しむ世界の子どもたちへ、届けよう、比嘉正子の「愛」を。敗戦直後の日本で、時の権力GHQと対等の関係を築き、戦後復興と生活者のための活動をつづけた女性がいた。彼女の名は「比嘉正子」。戦後の消費者運動の生みの親でもある。一人の女性が、政府・財界と対峙して、しなやかに誇り高く闘い抜いた原動力は、すべての人への「愛」だった。2025年3月比嘉正子生誕120年を迎える。今、戦禍に苦しむ世界の子どもたちへ、届けよう、比嘉正子の「愛」を…。
2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに提案されたことだった。
これは、捨てる! あれも、捨てる……? 溢れかえる洋服、本、フィギュア、溜め込んだカップ麺、レトルトカレー、非常食、密かに隠した写真に手紙……。他人事ではありません! 身内の身の回りを“断捨離”しようとする人たちの、右往左往に大共感の連作小説。 「捨てられない姉 捨てさせたい妹」 43歳・独身のトモコは引っ越しのため洋服を処分しようとするが、あれこれ思い出してなかなか進まない。14歳下の妹・マイ(元セレブ妻)は手伝わないくせに口は出し、どんどん捨てさせようとし、捨てる代わりに新しい洋服をプレゼントすると言う。 「息子の嫁の後始末」 息子の妻が突然、姿を消してしまった。彼女が残した荷物を整理するハメになったタダシは、ため息をつきながら、心でツッコミを入れながら、大小雑多な“ゴミ”と格闘するのであった。 「本好きとフィギュア好きの新居問題」 フィギュア好きの同僚・ヨシノリと結婚することになった、本好きのサエコ。2LDKの新居を決めたけれど、それぞれの本とフィギュアはある程度処分しないと、到底収まりそうにない。週末ごとに本を整理するサエコだったが、ヨシノリは作業している様子がまるでない。 「溜め込みすぎる母」 母に呼び出されて実家に帰ったトモミ。用件は大量に溜め込んだ食料品の整理だった。ミネラルウォーター、各種缶詰、レトルトカレー……極めつきは396個のカップ麺。トモミは母を説教したり機嫌を取ったりしながら、片っ端から片付ける。 「夫の部屋」 娘のナオミが中学受験の頃、アイコの夫の不倫疑惑が持ち上がった、それからもずっと疑惑が払拭されないまま60歳で退職した夫が検査入院することになった。ナオミはこの機会に父親の部屋に入って不倫の証拠を暴いてやろうと、アイコをけしかける。夫の部屋から出てきたのは……。
原田マハ3年ぶり長編アート小説がついに単行本に! 「ワぁ、ゴッホになるッ!」 1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。 しかし、絵を教えてくれる師もおらず、画材を買うお金もなく、弱視のせいでモデルの身体の線を捉えられない棟方は、展覧会に出品するも落選し続ける日々。 そんな彼が辿り着いたのが木版画だった。彼の「板画」は革命の引き金となり、世界を変えていくーー。 墨を磨り支え続けた妻チヤの目線から、日本が誇るアーティスト棟方志功を描く。 感涙のアート小説。
ミイラ化した死体は何を語る? 引きこもりを抱えた家族を襲う悲劇。 彼らは被害者か、それともーー。 光崎教授が抉り出す、深い闇とは? 死体は嘘を吐かないーー傑作法医学ミステリー第5弾! 家族はどこで一線を越えてしまったのか 浦和医大法医学教室にミイラ化した遺体が運び込まれた。亡くなったのは40歳の独身女性で、死後2週間が経っていた。 まだ4月だというのに埼玉で見つかった4体目の餓死死体だ。埼玉県警の古手川によると、女性は大学受験に失敗して以来20年以上引き籠っていたという。同居していた70代の両親は先行きを案じ、何とか更生させようと民間の自立支援団体を頼ったが、娘は激昂し食事も摂らなかったらしい。彼女はなぜ餓死を選んだのか? それとも親が嘘を? だが、解剖を行った光崎教授は、空っぽであるはずの胃から意外なものを見つけるがーー。
福岡藩士の職を失った新米浪人新四郎は、職探しのため博多旅人問屋『桜田屋』を訪れる。あるじの桜田屋伝兵衛から紹介されたのは、商家の娘、おふくの用心棒だった。何者かに狙われるおふく。その狙いは何なのか…。新四郎は旅人問屋で出会った個性豊かな仲間たちとともに、事件に立ち向かう! 博多旅人問屋を舞台に繰り広げられるさまざまな人間模様。旅人問屋と博多情緒を織り込んだ、周防凛太郎のローカル時代小説第一弾!
死体が持っていた財布の十五万フランを狙う浮浪者“ネズミ”。彼に不審を抱くパリ九区担当のロニョン刑事。遺失物扱いされた財布を巡る事態は思わぬ展開を見せ始める。煌びやかな花の都パリが併せ持つ仄暗い世界を描いた〈メグレ警視〉シリーズ番外編! ロニョン刑事とネズミ 訳者あとがき
美しすぎる女子アナとして地元テレビ局で有名な広瀬愛理。彼女の挙式目前に起こった殺人事件。捜査を担当する友永は「狂犬」と呼ばれる女性刑事だったー。難航する資産家殺人事件の真相を暴く天下無敵の女性捜査官、いざ降臨!
一九六八年一月、研修医の待遇改善に端を発する東大医学部闘争が勃発。その余波は、小暮悠太が所属する精神医学教室にも及び、悠太の研究室も全共闘の学生たちに占拠される。騒然とした状況の中、犯罪学の研究の傍ら小説を書き始めた悠太。そこへ、幼い頃から愛し続けていた千束が離婚したとの話が舞い込んでくるーー。 『永遠の都』に続く自伝的大河小説の第三部。毎日出版文化賞企画特別賞。
幕末。アメリカへ渡った白虎隊の生き残りの少年虎太郎は、インディアンの少女ルルを助ける。虎太郎は南北戦争の英雄カスターに追われるルルを助けながら、アメリカ縦断の旅へ出るが──。歴史の敗者たちを書き続けてきた著者が送る、新世代侍ウエスタン!
弟子が出来た矢先、さっそくその弟子・万里に性別がバレてしまった月英(げつえい)。万里(ばんり)とギクシャクしながらも香療術の普及に精を出していると、香りを付けたお茶ーー移香茶が市井でも人気商品に! しかし、その移香茶で民衆を毒殺しようとした疑いで月英が逮捕されてしまう!? 牢に放り込まれた月英は、このままでは自分の身も、香療術も消されてしまう危機に奮起する。事件の真相を暴き、潔白を示すことは出来るのか……!?
王子ロイドは魔法の天才で、絶世の美少女を婚約者とし、のんびり研究三昧の日々を送っていた。だが、魔法を軽んじる父王がロイドを廃嫡してしまう。意趣返しにロイド達が仕掛けた悪戯で王宮が火事に! 他国への逃走劇が始まる。 不幸体質の修道女と合流し、冒険者に身をやつして旅をするが、ロイドは王宮内と変わらずマイペース。邪魔なハーピーを一瞬で殲滅、飛空艇をハイジャク……と、道中出会った伝説の冒険者も驚くやりたい放題の旅は続き……?
メイプルのリアルが本格的に忙しくなる前に、十層に潜むラスボス・魔王を皆で撃破したい! その目標へ一致団結した【楓の木】は、魔王戦のキーアイテム探索を開始した。 だが、タイムリミットが迫っても、楽しむのが一番大事! 飛行機械を自前で【機械神】並に魔改造するイズに、和風エリアをやり込むカスミ。メイプルとサリーも二人旅を堪能! そんな折、クエスト中にメイプルがさらなる状態異常無効のヒントを閃いて、最凶の冒険譚はさらにノンストレスに!?
家族も増え賑やかな毎日を送るユキ。海辺でバーベキューをしたり、嫁達とまったりしたり、ペット軍団と魔物狩りをしたりとダンジョンで楽しく過ごしていた。 そんなある日、羊角の一族で最高位の学者の称号を持つエルドガリアから仕事の依頼が舞い込む。どうやら秘境の地の大森林にある遺跡調査が難航しているらしく、手伝ってほしいとのこと。話を聞くと、この遺跡『神代』関連のもののようで……? いざ、神々に所縁のある地へ出発!
ダンジョンの魔改造を終えたレアは、眷属同士を融合させる錬金システムに着目! 巨大モンスターを次々作り、ついには新たな災害生物ーー神殿巨人(アダマンタロス)まで生み出してしまう。 そんな折、旧ヒルス領の街がエルフの王国に滅ぼされたという報せが舞い込む。しかも六大災厄の一角、大天使の襲来イベントも発生し……よし、売られた喧嘩は買うしかないね。 次なる蹂躙の標的はエルフと天使! 巨大眷属も続々実戦に投入し、ノリノリな魔王ロールプレイがさらに加速する!