小説むすび | 2025年11月発売

2025年11月発売

猪之嚙猪之嚙

著者

矢野隆

出版社

集英社

発売日

2025年11月6日 発売

東京から福岡の山奥に引っ越し、猟師として生活している明神マリア。 猟友会の会長・吉中剛太郎と、ここ最近感じている山の違和感について話していた。なぜか、山から獣の気配が消え去っているーー、と。 ある日の帰り道、マリアは森からかつてない強い気配を感じ、身構える。 それは、この五年の猟師経験で見たこともないような巨大な猪から発せられたものだった。 その正体は、江戸時代から言い伝えが残る金色の猪「イノガミ」ではないかと、剛太郎は言う。 過疎に苦しむ村で、恐怖と葛藤を抱えながら自然と向き合う猟師たち、そして平穏な暮らしを願う村人たち。 伝説の猪との対峙の先に見えるものとは。 手に汗握る猟師と害獣の死闘を描く、著者初の現代小説! 【著者略歴】 矢野隆 やの・たかし 1976年福岡県生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。21年『戦百景 長篠の戦い』で第4回細谷正充賞、22年『琉球建国記』で第11回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。他の著書に「戦百景」シリーズ、『覚悟せよ』『琉球建国記 尚円伝』『籠城忍 小田原の陣』『匣真演義 姫賊 僑燐伝』『籠城忍 上田城攻防戦』など多数。

30の短編小説30の短編小説

豪華作家陣、揃い踏み。文芸誌「小説TRIPPER」の”30”周年を祝した、”30”人の作家による、”30”をテーマにした小説アンソロジー。純文学作家からエンタメ作家、新進気鋭の作家からベテラン作家まで、今をときめく豪華作家が揃いました!小説好きはもちろん、ふだん小説を読まない人も、きっとお気に入りの一作が見つかるはず!<<執筆陣>>青山美智子「ストールは赤」朝井リョウ「三十番目」朝比奈秋「ネオン魚群」伊坂幸太郎「30を信じろ/30も信じる」一穂ミチ「プレゼント」江國香織「若月寧音(五歳)の三十日ーー聞き書きにより要点のみ記述」温又柔「きょうの花婿」加藤シゲアキ「サーティー・ストライプス」河崎秋子「こひつじメリー」木爾チレン「うちとあんた」九段理江「30世紀少女」呉勝浩「檸檬と定規」小池真理子「逢瀬」小林早代子「(15)→(30)」佐原ひかり「世界を救ったことがある」鈴木結生「世界文学物尽(ものづくし)」高山羽根子「そこの関節からも曲がるんだ?」田中慎弥「チャーチルと母」月村了衛「三十年前、一瞬の光景」中村文則「これを消してほしい」西加奈子「30の春子」町田そのこ「さよなら、過去」町屋良平「ハンマークラヴィーア、バスキン・ロビンス」三浦しをん「三十秒の永遠」宮内悠介「アメリカの人魚」宮島未奈「紗南ちゃんの便せん」山内マリコ「もう三十代ではないことについて」結城真一郎「やることなすこと」吉田修一「おそらく彼女たちは」米澤穂信「世界を変えた三十人とラストプリンスタンディング」

みずいらずみずいらず

出版社

祥伝社

発売日

2025年11月7日 発売

「あぁ、やっぱ無理」 と思う前に読みたい令和の夫婦ドラマ 子連れ再婚、不妊治療、新婚すれ違い、 中高年「仮面夫婦」、熟年離婚危機……。 『正体』『悪い夏』でベストセラー 社会派ミステリの著者が描く、珠玉の愛の物語! 最近、夫が冷たくなった気がする。妻である自分にではない。子どもにだ。それも六歳の長男にだけーー。佐藤綾子には離婚歴があり、前夫との間にできた子が長男の蓮だった。バツイチの綾子を受け入れてくれた年下の夫健太は、再婚当初は蓮と本当の親子のように仲が良かった。温かな家庭を取り戻したかのように思えたが、次男の楓が生まれてから生活が一変した。健太の蓮に対する愛情が微妙に薄れてきたのだ。それが原因で綾子の怒りが爆発し、夫婦喧嘩に発展することしばしば。さらに蓮の小学校の担任から、発達障害である可能性を示唆され、綾子は憤慨してしまうが……(第一話「おかしいのはどっち」)。 <目次> 長男にだけ冷たい無神経夫の言動に怒りがこみ上げ…………………「おかしいのはどっち」 一回りも年下の妻はなぜ冴えない自分を選んだか?…………………………「なぜ出ない」 妻から離婚を切り出された。だが、プライドが邪魔をして……………… 「プライドは富士山」 四六時中家にいる定年退職後の夫に鬱憤が溜まり…………………………「夫婦の再開」 幸せな新婚生活のはずが、底抜けに明るい妻を疎ましく感じ…………………… 「薄情者」 仕事を辞めて毎日プラモデルを作る夫。せめて家事はやってくれ…………… 「交換日記」 なーんにもしない更年期の妻に夫はある疑念を抱き………「いつまでもあると思うな妻と金」 夫の「終活」に無理やり付き合わされた結果、ある記憶が蘇り…………… 「思い出の抽斗」 独身貴族の作家は、温かい夫婦の物語を書きたいと言い出す…………………「シングル」

夜11時夜11時

BTSのRMも読んだ、詩人ファン・ギョンシンのエッセイ。夜11時の静寂に漂う記憶を描く。秋から冬、春、夏へと続く季節を巡る120篇が読む人の心と時間にそっとまじわり、一日の余韻を優しく映し出す。 一日がすべて過ぎ去り、次の一日がまだ遠くにある──そんな夜の11時という時間。その時間に宿る、記憶のかけらたちを描き出した、詩人ファン・ギョンシンによる深く沈んだ思索のエッセイ。 秋から始まり、冬、春、夏へと続く120の小さな文章たち。移ろう季節の中で、静かなまなざしと共に綴られた言葉は、読む人の心にそっと触れ、まるで誰かの一日を一緒に過ごしているような感覚を呼び起こします。 彼女が綴った言葉は、心の奥をすり抜けて耳もとにそっととどまり、ふと視線を上げたとき、自分の一日を振り返らせてくれます。季節が過ぎ、陽が落ちるその場所に腰をおろし、私たちがかつてほんの少しだけ立ち止まった時間と空間を描き出します。 明日のことさえ見えないような日々でも、それでも、花は咲いてまた散って、風は吹いてまた去っていく、 変わってしまったもの、そしてこれから変わっていくもの。それらをただ見つめながら、そこに静かに立っていれば、それでいいのだと、そんなメッセージを静かに伝えてくれます。

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