2025年12月発売
傾国の時代、迷える杜甫を傑物にのし上げたのは、美酒と酔狂者たちだった! 悪政による貧困がはびこる唐の世、仕官を願う杜甫は、花形詩人の李白ら、憧れの酒豪と出会う。型破りな酒仙たちとの交流を通じ、杜甫は「国破れて山河在り」の境地に辿り着き、民のために皇帝に諫言することを決意する。不遇をかこちながらも志を貫いた大詩人の夜明けを活写する、中華烈伝エンターテインメント!
『ここはすべての夜明けまえ』で鮮烈なデビューを飾った作家の「蘇生」作。ゲームシナリオの仕事が行き詰まり、逃げ場を求めるように応募した小説でデビューしたわたし。その反動で鬱になり苦しむ中で思い出したのは、子供の頃のこと。両親は折り合いが悪く、父は病と闘っていた。その中で生き延びるためにわたしは書き始めたのだった。自身の「夜明け」のため半生を正面から描き切った渾身の跳躍作。
ここではない、どこかから電話が鳴る。ポール・オースター最後の長篇小説。S・T・バウムガートナーは九年前に先立った妻アンナの不在を今も受け容れられずにいる。書斎で彼女のタイプ原稿を読み耽り、物忘れがひどいなか、ルーツの地ウクライナを旅したときの摩訶不思議な出来事を書き残す。そんな彼に恩寵が……来るべき日を意識していたとしか思えない、オースター作品のエッセンスが宿る名作。
誰にだってある。このままではいけないと、ふと運命を変えたくなるときが。あまりにも不運な男は、ある日、「人生のギヤ」を切り替えようとする。「ボブ」と名乗る娘の思春期に悩み、仕事にも疲れ切ったシングルマザーは、酒に逃げるのをやめることにする。少女時代、親友との友情のために映画出演をやめた女性は、ふとあることに気づく。完璧には程遠い人生を受け止めて生きる愛すべき人々を描く連作短編集。
陥落を前にしたコンスタンティノープル、現代アメリカの図書館、未来の宇宙船。異なる時空を生きる人々が古代ギリシャの物語により繋がっていく。どの時代も避けられぬ絶望の中で物語は希望を灯しーー『すべての見えない光』作者が、語り継ぐ力を讃えるサーガ
「パパラギ」とは「白人」「よそ者」のこと。南海の島の村長ツイアヴィは、ヨーロッパを訪れた際、そこで目にした「パパラギ」の社会について、帰国後、島の人々に語り聞かせる。お金、物質、時間、仕事、メディア……。鋭い視点から展開される予言的・啓示的な文明批評が、私たちに“本当の豊かさ”を問う。世界的ミリオンセラーとなった不朽の名作が、松永美穂氏の新訳と柴田ケイコ氏のイラストで21世紀の今よみがえる!
第46回小説推理新人賞受賞作。俺が稲荷神となって、はや三百年。「誉人」として選ばれた人間の願いを叶えるため、日々神社で人々の願いに耳を傾けている。俺は人智を超えた神の力を使えるが、人間の心の機微がさっぱりわからない。今回やってきた誉人の女は、病におかされ余命わずかにもかかわらず、「どうか私が殺されますように」と願った。遠からず命が失われるのに、一体何のために、誰に殺されたいのかーー? 落ちこぼれの神様の少年が解き明かす、人間の不思議と宿命。読後、温かな幸福感に包まれる神様ミステリー!
小学六年生の春。母が突然失踪し、ひとり残された櫻井蒼は、東京から青森に住む祖母のもとへ引っ越すことに。祖母は、ド派手な衣装に身を包み、地元では「拝み屋」と呼ばれ、一目置かれる存在だ。だが、その正体は鋭い観察眼と冴えわたる推理で人々の悩みを解き明かす、町の名探偵だった。 見知らぬ土地での暮らしに戸惑いながらも、蒼は祖母とともに数々の事件に挑むことに。消えた三味線の謎、ねぶた祭の夜に起きた誘拐事件ーー。不可解な謎と向き合うなかで蒼はやがて、家族の意味を問い直していく。心あたたまる連作ミステリ。
すべては過去になる。好きだった想いも、伝えられなかった現実も、すべては褪せて色さえも思い出せなくなる。 でも、このピアスだけは、ずっとそこにある。彼が開けてくれた穴は、一生残り続ける。刹那、耳元でパチンと世界が弾けた。(本文抜粋) SNSフォロワー35万人超。若者から絶大な支持を集める著者、待望の最新作。失恋が映す本当の自分。全5編には恋の記憶を象徴するアイテムが登場。ピアス、パーカー…すべてに切なさが宿る。トラウマさえ、君を想ったから輝いた。全力で恋をした過去に、今日も生かされているあなたへ。
かつての仲間、“現代最強”との出会いーー 「貴様と別れた後に私は気づけばこの世界に転生していたのだ」 「【人修羅具現(ひとしゅらぐげん)--禍津神(まがつかみ)】」 そして新たな試練。 「--さぁ愛し合おう、英雄よ」 主人公最強×神話モチーフ×激重感情ヒロイン WEB版より大幅改稿の上お届け!
扉の先は、異世界でした。 魔法道具やスキルでちょっぴりチート? 魔法で強化したキャンピングカーで楽々移動♪ 魔女見習いリリの、まったり異世界移住ライフ、はじめます。
オーベルジュがついに完成!! しかし、王太子の来訪にお茶会の準備と、次なる難題が山積みで……!? 幼い女伯爵(前世はアラサー)の領地発展ファンタジー、堂々完結!
変わってしまった世界で、運命を背負う少女たちを救え! 召喚された青年、春原徹によって異世界の人類種族は救われた。 そして彼が帰還した現実世界……そこは全てが豹変していた。 決定的な違いは、街角迷宮《ストリート・ラビリンス》。突如として現れるようになった歪曲空間である。 迷宮内は怪物が跋扈し、人を襲う。対抗できるのは、一握りの人間だけだった。 そんな怪物と戦う力ーーセイクリッドサインを持つ少女、来島葵は窮地を徹に救われる。 「一体……どうやって……」 セイクリッドサインを持たないはずの徹が怪物を薙ぎ倒す。その姿は、まさに異世界から凱旋した勇者だった。 異世界帰りの青年と、戦う運命を背負わされた少女。二人の出会いをきっかけに世界は一変する。
本能寺から、異世界へ! 因縁深い二人が織りなす、はちゃめちゃ世直し開幕! 時は戦国、二人の武将が本能寺で相まみえていた。 織田信長と明智光秀である。 二人が最期を迎えようというその瞬間、天が割れる。 気が付くと互いの前には少女が倒れていた。 一方は南蛮装束の金髪幼女。もう一方はクールな表情の黒髪シスター。 同時に目を覚ました二人は、絶句する。 「まさか貴方は、織田信長公?」 「余が童に? いったいどういうことじゃーっ?」 因縁の相手とともに異世界転移してしまったことに。 そして、二人とも少女になっていることにーー。 信長と光秀、因縁の二人が織りなす異世界ファンタジー、開幕!
火起こし=最上級魔法のインフェルノ!? エグゼール伯爵家の三男ライルは、生まれながらに膨大な魔力量を持つ神童と呼ばれていた。十五歳の才能を判定する儀式で期待されたのは赤魔法や青魔法の攻撃魔法だったが、映し出されたのは家事・畑仕事・買い物・旅行など、生活にまつわる光景ばかり。結果は「生活魔法」。 家族の期待を裏切った彼は、無能と断じられ追放されてしまう。 しかしライルは落胆しない。むしろ幼い頃から憧れていた「サポート要員」として冒険者を目指すことを決意する。無力なはずの生活魔法だが〈小物収納〉は無限の荷物を保管し、〈修繕魔法〉は滅びた都市を蘇らせ、〈痛み止め〉は重傷すらも一瞬で治してしまう。 さらには本来なら料理に使うレベルの〈火起こし〉が、ダンジョンボスをも焼き尽くす凶悪な炎を生み出し……。 「あなたどう考えても火力役でしょ」 「サポート役だってば」 これは自称・サポート役が、万能の生活魔法で無自覚に無双する物語。 『無職の英雄 別にスキルなんか要らなかったんだが』 『生まれた直後に捨てられたけど、前世が大賢者だったので余裕で生きてます』 著者の最新作!
「作家にはどうしてもそれを書かなければならない理由があるのだ」-この言葉を実践した本作は、真の意味での優れた「純文学」だと思います。(小説家・医師 久坂部 羊) 文學界新人賞(梶井俊介名義)、小島信夫文学賞受賞作家が、沈黙ののちに綴った“人生のエチュード” 本書には、小説を書かずにおれない書き手の熱い思いと、自らの如何にともしがたい宿命、介護の厳しい現実と父親との葛藤、そして最後のぎりぎりの和解が、円熟の目で陰影深く描かれています。(久坂部羊「序文」より) ミッション系女子校の英語教師として働きながら文學界新人賞を受け、「梶井俊介」として歩み出した著者。しかし父の脳梗塞と長期介護、幼少期からの学校という場所の居心地の悪さ、自身の病と老い、一族の過去の栄光と呪縛に向き合う中で、「小説家であること」の根拠は崩れていく。本書は、その軌跡を徹底して言葉化した自伝的小説であり、「書く資格」を疑い続ける者がなお書いてしまう理由を追い詰めた、稀有な自己検証の書である。序文・久坂部羊、関連作品「転調する右目のエチュード」併録。 序文 文学を熱くココロザシたあのころ 久坂部 羊 小説家になったとき やめたわけ 転調する右目のエチュード あとがき 今ようやく爆弾を花束に
定年となり現役を完全リタイヤした田村。今のことを忘れてしまうだろうと身辺雑記を始めたが、その直後から、次から次へ知り合いを見送ることになり、どうなるのかと思っているうちにコロナが流行り始める。コロナ禍で、だんだんと終活のことも気になりだしているうちに、周囲では思いもよらぬことが起こり始める。人生の第4コーナーをまわった主人公が、過去に思いを寄せ、人生の終わりを思い描く現実のようなフィクションのような不思議な物語。 2019年 コロナ禍前 1 北小岩 居酒屋 2 甲州 穴山畑小屋 3 周防大島 連休 4 小岩 昼の宴会 5 周防大島 難病 6 田園都市線 お見舞い 7 新横浜 急死 8 周防大島 盆休み 9 多摩墓参 彼岸花 10 下総中山 老人ホーム 11 柏 追悼 12 四谷 追悼ミサ 13 越谷 弔問 2020年 コロナ禍 1 1 両国 相撲見物 2 八王子 滝山城 3 恵比寿 花見 4 西新宿 歯痛 5 連休 帯状疱疹 6 山口 猛暑 7 新宿 免許更新 8 内房線 姉ヶ崎ゴルフ 9 京王線 堀之内墓参 10 神保町 上海蟹 11 駿河台 並木道 2021年 コロナ禍 2 1 駒場 伐採 2 駒場 白犬事件 3 大手町 ワクチン接種 4 周防大島 冬の星座 2022年 コロナ禍 3 1 宮島 初詣 2 地鎮祭 3 渋谷 消えた百貨店 4 周防大島 遺されたワイン 5 周防大島 古いノート 6 周防大島 南風
■映像化決定! 『ムショぼけ』『インフォーマ』『ブラザーズ』など多数のメディアミックス実績を持つ著者・沖田臥竜による、最先端スタイリッシュ・アクションの決定版! ■「パパの仇は、必ず私が討つ!」 ■汚名を着せられ、すべてを奪われた女子高生が選んだ「修羅の道」 幼い頃からキックボクシングを学び常人離れした強さを誇る高校3年生の沢北樹緑。彼女の父であり刑事の沢北秀虎は、ファミリーレストランで落ち合ったコカインの売人・安から、「なぜ未成年の女の子にコカインを渡したのか」の告白を受ける。それは、日本屈指のフィクサーとして君臨する山村剛の息子、タレントの有岡将来の指示によるもの、という情報だった。芸能界で活躍する一方、有岡の私生活は犯罪まみれだった。その有岡を逮捕できる証拠を前に逸る秀虎。だがいち早く情報を掴んだ山村は秀虎を陥れ、命まで奪った。父を殺された樹緑が進んだ道とは……。
大正から昭和時代にかけて活躍した自然主義作家・加能作次郎を再発見する作品集です。『恭三の父 父の匂ひ 加能作次郎秀作集』(既刊)に続く、2冊目となります。 「小品集」とした本書では、父、母、継母、妻との交流と葛藤、能登の自然と風俗、海と共に生きる生活を描いた佳作を収録しています。。 故郷の夏祭りを妻と共に回想する「富来祭」、昔話を語る姿を通して継母を描く「母」、米を炊くための釜の購入を巡る妻とのいさかいをユーモアで包みながら語る「釜」、能登から上京したなんとも素朴で愛らしい義祖母を描く「祖母」、大学入試共通テストにも出題された若き作家の自己省察が現代の若い人にも通じそうな「羽織と時計」、能登の海の厳しさを童話にした「少年と海」(「赤い鳥」所収)など、10作品をとおして作家・加能作次郎の魅力を伝えます。 富来祭 海の断章 汽船 少年と海 屍を嘗なめた話 羽織と時計( W ・B 君を弔う) 祖母 釜 父の顔 母 ふるさとの文学 加能作次郎 杉原米和 ーーーーーーー あえの風が吹いてくる おわりに 収録作品紹介 加能作次郎をさらに知りたい方へ 加能作次郎略譜