2025年7月14日発売
人を罪に陥れる七つの悪徳を 「七」に縁のあるミステリー作家が描く。 驚愕、恐怖、狂気……一気読みの七編! 【七つの大罪】 「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」を示し、 キリスト教において、人を罪に導くとされる七つの悪徳。 「罪の名は傲慢」中山七里/傲慢 名を馳せ人望も厚い一方で、弟子や秘書に対するパワハラが常態化している人気ジャーナリストに性的暴行された新人ジャーナリストは警察に駆け込む。 「手の中の果実」岡崎琢磨※7月7日生まれ/怠惰 突然不登校になった息子。原因がわからず不安が募る妻と私。私は葡萄農家である妻の実家に、息子と二人で滞在することを提案すると、息子はーー。 「移住クライシス」川瀬七緒/憤怒 自閉スペクトラム症を抱える息子の療育のために山梨の集落へ移住した矢先、息子が池に落ちて死亡した。悲嘆に暮れる夫婦の前に、大鎌を持った老婆が現れた。 「オセロシンドローム」七尾与史/嫉妬 久呂恵は夏目漱石の『こころ』で意気投合したKと交際に発展するが、嫉妬深さが原因で別れを告げられる。Kに言い寄る女がそそのかしていると疑った久呂恵は……。 「十五分」三上幸四郎/強欲 20万人超の登録者数をもつ動画配信者のイッツミーは、同業者であるQRお雪の殺害容疑をかけられていた。週刊誌記者の綺ヶ崎は、判決待ちのイッツミーの取材に訪れる。 「父親は持ってるエロ本を子どもに見つからないようにしろ」カモシダせぶん/色欲 隠しているエロ本を高校生の息子が読んでいた。叱ろうとすると「謝るのは父さんのほうだ」と言い始め……。 「最初で最高のひとくち」若竹七海/暴食 野放図で我儘な公介のため、ママはたくさんの料理をし、掃除をし、後片付けをし、工場で働く。そんなある日、葉村晶という探偵が人捜しにやってきた。
藤沢の耕餘塾を卒業してから、学府を転々とした吉田茂は、20歳で学習院中等科に編入することになり、夏休みを大磯の別荘・松籟邸で過ごしていた。 隣人・天人は茂にとってよき相談相手であり、いつも茂を守ってくれる頼もしい存在だった。 やがて日本人悲願の改正条約施行日がやってくる。茂の敬愛する陸奥宗光が心血を注いで締結に漕ぎつけたものである。 明治32年(1899)7月17日ーー横浜は、祝賀ムードに沸いていた。しかし、その国際港の桟橋に豪華客船より降り立ったのは、天人を息子の仇と憎み、復讐のチャンスをうかがう男だった。 迫り来る危機に茂はどう対処するのか。 茂と天人が力をあわせ、敵に立ち向かう明治青春小説&活劇ミステリー第三弾、完結編!
ソ連崩壊直前のある春の朝、モスクワからウランバートルへ向かうシベリア鉄道が出発する。憧れのソ連に留学してきたフィンランド人の寡黙な少女と、家族をのこして建設現場へ向かうロシア人の饒舌な出稼ぎ夫。寝台列車の同じ部屋(コンパートメント)に偶然乗りあわせた二人の旅を描く。 共通点のない二人は食事や酒をともにし、無数の集落や町や工場地帯を通過し、ときに途中下車をして各地に住まう人びとや動物と出会いながら、針葉樹林と雪に覆われた巨大な大陸を横断しつづける。 そこでは「すべてが動いているーー雪、水、空気、木、雲、風、町、村、人、思いが」。車窓をみながら少女が祖国の家族やロシアの小説、モスクワにいる親しい人びとのことを考えるうち、列車は目的地に近づき、二人の下車も迫る……。 著者はフィンランドでその年最高の文学に贈られるフィンランディア賞を本書で受賞した。13ヶ国語に翻訳されたロードノベルの、待望の邦訳。
「存在しない解決編」を理想の結末へと導くのは、理不尽な現実に立ち向かう勇気と、軽妙な推理、 そして誰しもが最初に胸に刻んだ、情熱という名の伏線。 ミステリ作家にしかたどり着けない結末をご覧あれ。 ーー北山猛邦(『少年検閲官』(創元推理文庫)著者) 編集者は作家に「物語」を熱望し、作家は書くことでしかそれに応えることができない。その感情から生み出される小説とは、いったい誰のものなのでしょうか。 そこに語るべき物語があるなら、語らなければいけない。語らない作家はもはや幽霊でしかない。編集者の執心めいた愛こそが、ときにその幽霊を土からよみがえらせるのかもしれません。 小説とは、創作とはなんと罪深いのだろうと実感しました。 ーー木犀あこ(『奇奇奇譚編集部』シリーズ(角川ホラー文庫)著者) 「僕らは『読み』を間違える」(KADOKAWA)で数々の名作を読み解いた水鏡月聖が「作中作の謎を読み解くミステリ」を描く、まさに独擅場ではないでしょうか。 些細な違和感が積み上げられ、全てが明らかになっていく爽快感。 著者の考えを読み解き、けれども人の心は完全に理解できない現実も絡まりながら気持ちの良い読後感へ繋がっていく……。 このお話を読んでいると、私も『著者』が書きたかった物を悟る事ができたような気がしました。 これから本作を読む方には、途中で何を感じてもぜひ手を止めずに最後まで読み進めてほしいと思います。 ーー零雫(『不死探偵・冷堂紅葉』(GA文庫)著者) 宮川雅は崖っぷちの編集者。次にヒット作を出せなければクビも覚悟している彼女のもとに、ベストセラー作家・東雲飛翔の新作原稿が届く。 嬉々として読むが、その原稿には解決編がなかった。宮川が担当するミステリ作家・平澤大吾とともに東雲飛翔の家を訪ねるが、東雲飛翔は密室での遺体となって発見されてしまいーー。 ベストセラー作家の死の謎、遺稿の結末を巡り、現実と作品が入り交ざる作中作ミステリー! 『僕らは『読み』を間違える』(KADOKAWA)の水鏡月聖、初の単行本作品! 【目次】 プロローグ ゾンビ作家・ピーチメルバ・欠けた結末 隠し部屋・芋羊羹・シアン化カリウム ネタ帳・シフォンケーキ・旧友 真相・プリン・アラモード・シュミレーション ドライブ・月邑聖人・どら焼き 告白・継承・ムートン・ロートシルト エピローグ あとがき プロローグ 7 ゾンビ作家・ピーチメルバ・欠けた結末 9 隠し部屋・芋羊羹・シアン化カリウム 72 ネタ帳・シフォンケーキ・旧友 110 真相・プリン・アラモード・シュミレーション 161 ドライブ・月邑聖人・どら焼き 200 告白・継承・ムートン・ロートシルト 243 エピローグ 268 あとがき 274