2025年8月26日発売
地味を装っている伯爵令嬢のエルフィーナ。 ある日「地味」を理由に婚約破棄を言い渡されて!? 「目立つな」と命令していたのは婚約者なのに。 そんなとき、この国の王子様に復讐を持ち掛けられーー! なぜ私にこんなに親切にしてくれるの? ずっと一緒にいたいけど、手の届かない人…… 悩んでいると彼に縁談の噂が!? 私捨てられるの!? けれど告げられた言葉は…… 「俺が好きなのはーー」 地味令嬢(仮)×麗しの王子様の爽快でキュンな復讐ゲームがはじまります!
好きだけど、触れあうことはできない。 そんな私は異端者なのだろうか。 主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。友達には「そんな職業は辞めたら?」と眉をひそめられたが、女王様の中でも美織さんという最高に素敵な人に出会い、そこそこ幸せに暮らしていた。 ある日、あこがれの美織さんと初めてごはんを食べに行く約束をして舞い上がるものの、当日にドタキャン。そのまま音信不通になってしまう。彼女の常連のお客さんなどにこっそり連絡を取り行方を探るうちに、どうも自分の知っている美織さんとは違う面ばかりが見えてきて……。 過去、志川が不動産会社を辞めた理由は、あこがれの男性社員・星先輩と付き合う寸前に、先輩が自分に求めている性的なことが一切無理だと気づいたからだった。好きだったのに。付き合えないと正直に言っただけで、志川は同僚に悪女扱いをされ、そのまま会社にもいづらくなり、退社することになってしまったのだ。 私はアセクシャルなのだろうか? 「ない」ことを証明するのは、悪魔の証明だ。もしかしたら、まだ見ぬピンクのひつじに会えるかもしれないのに……。なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。 アセクシャルの自身に戸惑い、彷徨い、清爽と一歩を踏み出すーー。 小説すばる新人賞受賞から10年。物語はしたたかに進化する。 【著者プロフィール】 渡辺優(わたなべ・ゆう) 1987年宮城県生まれ。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著作に『自由なサメと人間たちの夢』『アイドル 地下にうごめく星』『クラゲ・アイランドの夜明け』『アヤとあや』『カラスは言った』『私雨邸の殺人に関する各人の視点』『月蝕島の信者たち』などがある。
世界各地から詩人や小説家などの文筆家が招かれ、およそ二か月半にわたって滞在・交流する、アイオワ大学の国際創作プログラムIWP(International Writing Program)。 このプログラムに招かれた経験をもとに、背景の異なる個性的な創作者たちとの交流、各々の作品に対する姿勢や創作への覚悟を描いた、書く者たちの物語。 【著者略歴】 李琴峰(り・ことみ) 1989年、台湾生まれ。作家・翻訳家。2013年来日。早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。2017年、『独り舞』で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。2021年、『ポラリスが降り注ぐ夜』で第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川龍之介賞を受賞。著書に『星月夜』『生を祝う』『シドニーの虹に誘われて』『日本語からの祝福、日本語への祝福』他。
その一言が、謎を呼ぶーー。 自由律俳句の伝道師といわれる俳人・虚池空白と、編集者の古戸馬は、本の企画のため、世の中の落書きや看板などに落ちている言葉を、詠み人知らずの名句〈野良句〉として集めている。 そんな彼らが手にした〈野良句〉の裏には、喜怒哀楽に満ちた、それぞれの秘密が隠されていたーー。 行きつけのバーの紙ナプキンに書かれた「柱に当たって月消し帰る」、急逝した作家が一筆箋に残した「金拾お我より見つけろ白は黒」、夜の動物園のキリンの写真と共にSNSに投稿された「おりのなかキリンしかしらないこわい」、消息を絶った自由律俳句の天才が箸袋に残した「あかい雨降らばいつかの帰路」など、言葉の裏に潜む人間の愛憎や秘密、時にはある犯罪を二人が解き明かしていく。 極上の俳句ミステリー誕生! 【著者略歴】 森 晶麿(もり・あきまろ) 1979年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。2011年、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞受賞。〈黒猫シリーズ〉のほか『探偵は絵にならない』『切断島の殺戮理論』『名探偵の顔が良い 天草茅夢のジャンクな事件簿』『あの日、タワマンで君と』など著書多数。
終戦の5日前に合併成立! すべては、町に、人に、元気を取り戻すために。 城南信用金庫の小原鐵五郎ーーその生涯と抱き続けた想いに迫る長編小説。 昭和20年(1945)8月10日、終戦間際に15の組合が合併して城南信用金庫が誕生したのは、戦後の復興を見越したものであった。専務となった小原鐵五郎は、地元の中小企業を育成発展させるため、町の人びとの生活を豊かにするため、そして、地域社会の繁栄を後押しするために奮闘する。業界全体を発展させたことで「信用金庫の神様」とも言われた男が貫いた、その精神は……。 累計35万部突破の企業小説シリーズ、最新作!
戦後、連合国軍占領下の日本では米国兵士と日本人女性の間に生まれた子供たちが街中に捨てられ、悲惨な状況に追い込まれていることが社会問題となっていた。 三菱創業者である岩崎弥太郎の孫娘で、外交官婦人でもあった沢田美喜は現状に心を痛め、女性たちが子供を託せる施設、エリザベス・サンダース・ホームの設立に乗り出す。 資金繰り、世間からの差別の目、子供たちの行く末……様々な困難を乗り越え、千六百人近い子供たちを育て上げた女性の物語。
火山の麓で、氷河の上で、崇高な大地の前でーー アイスランドに生きる作者が自分自身や家族、これまで関わってきた人たちの視点、そして古くから伝わる伝承や北欧神話から、人と自然の「これまで」と「今」と「これから」を書き留める。すべての人に送る、物語のような随想録。 アイスランド本屋大賞、Tiziano Terzani賞(イタリアの国際文学賞)を受賞し、30か国以上で翻訳された話題作
フランス革命の前後のロンドンとパリという二つの都市を舞台に,ダーネイとカートンという二人の若者と,無実の罪で18年間投獄され精神を病んだマネット医師の娘ルーシーを中心に繰り広げられる数奇な物語。今なお舞台や映画,ミュージカル作品として人気の高い,ディケンズの後期の代表作。社会批判や諷刺も鏤められ,著者の面目躍如たる傑作。
えらいこってすなぁ。オリンピックと阪神の優勝。 盆と正月が一緒に来たようでーー 忍者ごっこに銀玉鉄砲、駄菓子屋の氷饅頭、生國魂神社の夏祭り、日生球場のカクテル光線、上町筋の聖火リレー……大阪人の闊達に揉まれ、路地を走りまわった昭和39(1964)年、“ガキ大将”の躍動の日々。 家出した親友、逝きし同級生、初恋と失恋、小説・昭和の大阪。
せや、爆発させたかったんや。 対象はなんでもよかったんや。 屋上でふかしたタバコ、ビートルズ解散、教室で炸裂するロック、今里新地の部屋のシミ、赤目渓谷の飯盒炊爨、御堂筋の10・21国際反戦デー……昭和46(1971)年、“遅れた世代”の逡巡の日々。 仲間のすれ違い、親友との再会、恋の裏切り、小説・昭和の大阪。
『ドン・キホーテ』のパロディーたるスペイン自然主義文学にして、マリオ・バルガス゠リョサに「20世紀初頭の前衛小説に先んじた手法」と称された《非現実の夢》を用い、首都マドリードの都市空間の綾を読み解くベニート・ペレス゠ガルドスの都市小説の傑作長編。本邦初訳。