著者 : 笙野頼子
SHIBUYA…それはイナカモン立入厳禁の超アーバン・タウン。上京十余年目にして、ついに渋谷デビューした池袋系小説家が幻視したものは?インターネットカフェ、西麻布ナイトクラブ、国際インテリ集合パーティー、最先端無国籍レストラン等々、テクノポリスを魔界に変える新文学の誕生。
ほーっほっほっほ。美人、それがどうかしたの!?私は世界一美しいブスよっ。はてしなき結婚と容貌についての問い-芥川賞作家による空前の傑作純文学。
海芝浦に向かう「私」を待ち受けるのは浦島太郎、レプリカント、マグロの目玉…。たどり着いた先はオキナワか?時間と空間はとめどなく歪み崩れていく。言葉が言葉を生み、現実と妄想が交錯する。哄笑とイメージの氾濫の中に、現代の、そして「私」の実相が浮び上がる。話題騒然の第111回芥川賞受賞作の他、二篇を収録。
二百回忌はただの法事ではない!この日のために蘇った祖先が、常軌を逸した親族と交歓する、途方もない「一族再会」劇なのだ。二百年分の歪んだ時間の奥に日本の共同体の姿を見据えた表題作は第7回三島由紀夫賞を受賞した。他に、故郷への愛増を綴った「ふるえるふるさと」など、日本のマジック・リアリズムと純文学のエキスが凝縮された、芥川賞作家の傑作集。
関係ないのに仕切られたら、生きる努力を哄笑われたら、親切ごかしで監視されたら、あなたは電波になって逆襲する!?愛する「猫」を失った私に襲いかかる「世間」という名の妖怪たち。都会で働く単身女性の、孤独で切ない闘いが始まる-。
桜散る闇と殺りくの街・スプラッタシティでくりひろげられる“夢の中の「私」”桃木跳蛇とゾンビたちとの壮絶なバトルー今世紀最大、史上空前の悪夢を出現させる笙野文学の代表作にして、現代文学の金字塔、待望の文庫化。
ナニモシテナイ幸福な私がなぜだか自分では気に入らないのだった。十年間ずっと私自身はナニカヲシテキタつもりでいたのだった。-生きていることのリアリティを希求して、現実と幻想の間を往還するモノローグの世界を描いた表題作に加えて「イセ市、ハルチ」の2編を収録する芥川賞作家の第一小説集。
騒音と地響きで頭が爆発しそうになる、街道脇のマンションを押しつけられた「私」と不動産屋たちとの奇妙で執拗なやりとり。住い捜しをめぐって担当編集者とのすれちがいの会話。「私」が真剣になればなるほど、そこにズレが生じ、キャラクターのなんともいえないおかしみが滲み出る。だが、それを笑い捨ててしまえるだろうか。「私」の居場所はないのだ。野間文芸新人賞作家が描く、独身女性作家の怒りと涙の住い捜し奮戦記である。短篇「背中の穴」を併録。