著者 : 醍醐麻沙夫
1603年刊の「日葡辞書」を大学に売り込みにきたマヌエルは金だけ奪って逃走したが、翌日その金はなぜか送り返されてきた。「時価2億」にマスコミは沸き立つが、マヌエルは長崎で射殺される。辞書と犯人の行方を追い、“迷宮課”浦島警部は天草、マカオへ飛ぶ。17世紀の夢を血に染めたのは誰か。浦島の推理の冴えは。
若い女性がUFOに殺された。数々の伝説に彩られた那智とはいえ、石倉峠で起こった事件は、実に不可思議な殺人だった。被害者はAGSのコネクティで、UFOと交信するために峠で夜を過ごしたという。窒息死だったが、暴力を加えられた跡もない。AGSの指導者は“宇宙的な強い力に打たれたのだ”と主張したが…。大雲取越えの予定を変更して捜査に乗り出した柳下二匹だったが、新興宗教めいたグループに、持前の洞察力も鈍りがち。苦悩する柳下を尻目に、那智の浜でさらに悲惨な殺人が。好評シリーズ第2弾。
柳下二匹先生は、女子大の講師である。ホラ吹きでのんびり屋だが、なかなかの博識で、なにより自然が大好きである。釣りや山歩きを通して鍛えられた観察眼や洞察力は、時に刑事も真青の鋭どさを発揮する-。埋められていたはずの死体が消えた。柳下達が熊野古道で出くわした事件は、始めから不可思議だった。さらに、美人陶芸家が殺され、滝につるされた状態で発見された。地元の警察は、捨身行という荒業を行い、山を駆け巡るという修験者に疑いを抱いたのだが…。
新月の妖しい光の下、魔性の巫子・嫦娥は短剣を片手に舞いを舞っていた。やがて銀色の刃物は、若い娘の胸に深々と突き立てられた。処女の新鮮な生血を浴び、ゾッとするような笑みを見せる嫦娥…。不可思議な力をもつ嫦娥と、比類ない強さの黒騎士を中心に、月族は、いままさに九州の地を平らげようとしていた。立ちはだかるのは、大和の日見子。霊力をもつ巫女同士の全面対決は、目前に迫っていた。日見子の軍に、タケトは在った。愛する娘を惨殺した嫦娥に、復讐を誓っていた。裂帛の気合とともに、豪剣・多雲が唸る。