著者 : 飯干晃一
おれは26歳、強靭な肉体を誇る。ある夜、絶世の美女に迫られ、男の液を放つ。「夢精した」と気付くと、おれは棚の天女像を見上げた。股間が汚れている。『日本霊異記』に同じ話があるので、驚いた。棚の一方には誰かの髑髏がある。おれは愛液で、それを磨き、供養したつもりだ。が、不思議な現象が次々と…。他に会心作を満載。
山口組4代目が竹中正久に決まると、不満分子が一和会を結成し、狙撃班を編成したのは周知のとおり。風屋健三にも拳銃が渡された。全身が慄いた。当日から竹中組長を追う。ところが、別の狙撃隊が先に組長を斃したのだ。風屋は獣のように吠え、泣き喚いた。この表題作を含めた7編で、著者はアウトローの心理と行動に肉迫する。
警察庁特別監察官・滝田一郎に特捜令が発せられた。それは射殺も含め、手段・方法を選ばず、超法規的行動を可とする非情捜査を意味している。潜入先は塩路市。市議会を牛耳る2大暴力団が激しく対立し、しかもその抗争に地元警察も絡んで利権をほしいままにしている汚染都市であった。滝田は地元警察と暴力団の警戒網をくぐり現地に潜入した。が、意外にも、彼を待ち受けていたのは、美しい女体と官能の罠だった…。飽くなき暴力とエロスが迸るハード・アクション。
小松公太郎は、京の宿に泊まり、女将のみやびに会う。2人は前世から運命の糸で結ばれていたような錯覚を感じた。小松は作家で自分の作品が映画化されるため、その後も古都を訪ねるが、身も心もみやびに惹かれるばかり…(「恋人みやび」)。人間なら1度は体験したい、ふと巡り会い、燃え狂う愛の様相を全9編の視点から活写。
狂暴の徒と化した男たちの剥出しの欲望と、愉悦の境地をさ迷う女たちの本能との交錯のなかで、深奥から湧き上がる呻き声は、犯罪を招く悪の囁きと変わり…。男と女が奏でる飽くことなき快楽への執着が巻起こすさまざまな事件を、叙事的に描き切る実録犯罪小説。
六甲道夫の車に金髪女の運転する車が後ろからゴツン。勤務先のホテル・デュークは程近い。六甲は実績を買われ、より大きなホテルの探偵にスカウトされていた。女は魅惑的な体を預け、許しを請う。六甲の欠点は色好み。当然、情事に陥る。そこをロシヤ人に激写され、国際機密会議の盗聴に協力を迫られた。手に汗握る連作劇。
「会長が頭を撃たれて即死!」の情報が吉備組の事務所を動転させた。吉備兼造はハワイから恋人を招き、東京見物の最中だった。襲撃者は宿敵槌田組の猛者たち。当然、復讐戦が練られたが、警察の監視は厳しい。すると槌田組長が前親分の墓参で熊本へ飛ぶという。吉備組の蒲田啓一は搭乗員の服で空港へ潜入!手に汗握る力作を精選。
飢えた淫獣たちのターゲットは、若くて豊満な肉体だ!衣服を剥ぎ取られ、大腿を押し開かれて凌辱の限りをつくされる生贅は、拒絶しつつも、熟れた花弁をしとどに溢れさせ、男を迎え入れると喘ぎ身悶えた…。実録事件小説の第一人者が描き切る話題の傑作群。
戸沢敬二は白昼夢を見た。女高生とテレクラの電話で話したことが、彼の脳裏で再現されたのだ。「制服を脱がせて素っ裸にしてやる。それからフロ場で密着した腰をクネクネさせるアワ踊りだ。それから、それから…」戸沢敬二は宙を睨んでいた。(「テレクラの落し穴」より)欲望の捌け口を激しく求める男の眼には、もはや餌食となる女の肢体しか見えない。それが悲劇の始まりである。ベストセラー『生贄』『暴行』シリーズに続き、新たな視点で男の犯罪を赤裸々に描いた超弩級の新シリーズ、誕生。
性に飢えた男は、狙った女を妄想の中で弄ぶ。そして、それが現実の行動に及ぶとき…。ベストセラー『生贄』シリーズに続き、警察調書をもとに迫真の描写で読者を圧倒する『暴行』シリーズの第3弾。
日本のヤクザのドン・古屋組組長を一人の男が襲った。〈ショーが終わって3分ぐらい経ったと思います。カウンターから立ち上がって、古屋組一行のテーブルに近づいたと思うと、いきなり拳銃を撃ったんです。バンバンと続けざまに2発でした〉17歳のとき、傷害致死で浪速少年院へ。18歳で末松組に入り、対立暴力団の若頭を秘密裡に絞殺。23歳のとき、親とも慕う組長を殺られ、その骨を食い復讐を誓った“天女”の刺青をした極道内海忠。ヤクザ社会に衝撃的“伝説”を残して散った男。3年をかけた丹念な取材をもとに、その悪に彩られた25年の生涯を描く異色の傑作犯罪小説!