出版社 : 幻冬舎
少年は後ろめたさを抱えてたぬきになった。亜美は母の命と引き換えに生まれた自分に罪悪感を持っている。火事の恐怖で脳の成長を止めたままのラッキー、2歳まで盲目だった憂いの少女カナデ、育ててくれた伯母を最後まで母と呼べなかった汰央。心に苦悩を抱える子どもたちは、カトマンザの親密な闇の中で自分の本心と向き合い自信を取り戻していく。そして明かされる、カトマンザの存在理由とは。これは記憶の奥に隠された愛を探す、再生の物語。
一人前の忍者として認められ、初の戦へと向かう14歳の樋口尋一のもとに、衝撃の知らせが飛び込んできた。許嫁の杏が何者かに連れ去られたというのだー少年・尋一から、風魔忍者を率いる「五代目・風魔小太郎」へ。はたして彼は、動乱の時代を生き抜き、真実の愛を掴み取ることができるのか。戦国時代に暗躍した「伝説の忍び」が巻き起こす、まったく新しい歴史ファンタジー小説!
都会の農園から、そこで生きる生き物といっしょに田舎の里山に夜逃げしたぎんちゃん。新たに出逢った生き物たち、イノシシさん、キツネさん、タヌキさん、柴犬さん、伝書バトさん、ニワトリさんと波乱万丈の四季を過ごしているうち、お互いを尊重して暮らしていくことの難しさに悩み始めます…。
一年のモラトリアムを経て、大学進学を決意した夏生。物がない、お金がないなかでも、文学サークルに顔を出し、安いアルバイト代で本を読む日々は充実していた。店の常連・玄二と薫子の奇妙な関係や、親友と難聴を患う少女の支え合う姿に、彼は何を思うー。一九八〇年代の情緒溢れる京都を舞台に繰り広げられる、ほの甘い青春物語。
明日が来るかもわからない日々を、生きていく。内戦が泥沼化していくミャンマー。雑誌記者として訪れた日本人・國分は、国の未来を担う若者が、終わらない戦いに身を投じている現状を目にする。一人の“外国人”としてできることは何かを考えさせられる、ノンフィクション小説。
船が難破し、一切の記憶を失った光。蘭の花が香る清艶な女性に導かれたのは、混沌と秩序がうねり合う“ナーダの国”であったー。神秘の島で解き明かされていく彼自身の正体とは。圧巻のファンタジー小説。
おいは、古か人間でごわす。自由という新しか言葉、何か大事なものを誤魔化しておらんか。戊辰戦争、鳥羽伏見の戦い。わずか5000の兵で3倍の勢力の幕府軍を撃破した“類稀なる軍略家”伊地知正治。薩摩人の誇りを胸に常勝を続けた伊地知が新時代に目にしたのは、荒廃した土地で貧困に喘ぐ民の姿…。大久保利通、西郷隆盛と並び称される勤王の志士の胸に、最後に去来するものとは。
事故で、救えるはずだった兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから災害救助用ドローンを扱うベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)として活動する中川博美だったー。崩落と浸水で救助隊の進入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。無音の闇を彷徨う要救助者の女性と、過去に囚われた青年。二人の暗闇に光は射すのかー。
幼いころに母親を失った彬は、人を惹きつける不思議な魅力を持っているが、求められるがまま応じてしまう性格のせいか、自ら人を愛することができずにいた。人生の節目で出会う様々な女性たちと、刹那的で儚い逢瀬を重ねる日々。一人の男として成長を遂げたとき、彬は真実の愛を見つけることができるのかー
「韓国出版文化賞」を受賞した、若き天才作家の遺作。人間の究極の葛藤を描いた、壮大にして濃密な人間ドラマ。1〜9地区まで厳格に区分けされた階級社会に生きる16歳のダーウィン・ヤングは、最上位の1地区に育ち、200年の歴史を誇るトップ校に通う。ダーウィンは官僚の父・ニースに連れられ、ジェイの追悼式に毎年参列している。父の親友であったジェイは、30年前に16歳で死亡。9地区の人間が起こした強盗被害に遭ったとされているが、事件は犯人不明のまま時効を迎えようとしている。唯一、犯人探しに執念を燃やすのがジェイの姪・ルミだ。ダーウィンはひそかに恋心を寄せる同い年のルミから、ジェイのアルバムから1枚だけ不自然に写真が消えていて、それが事件の鍵を握っていることを打ち明けられる。ダーウィンはルミと一緒に謎を解く旅に出るが、そこで明かされたのは、ひた隠しにされていた世界の光景と自身のルーツだった…。
「学校の勉強」をなめるな。社会に出てからの「学力」の正しい使い方。累計35万部の「京大芸人」シリーズ、最新刊!高学歴コンビ・ロザンの菅が、高性能勉強ロボ・宇治原との歩みを描いた、爆笑小説!
“読書”の快楽が存分に味わえる、これぞ本格ミステリ。大好きな従姉の転落死に不審を抱く大学生・高文は、彼に片思いするフリーター女子・来宮を“助手”に真相を探っていく。大型猫科肉食獣を思わせる担当刑事・鷲津にあしらわれながら“捜査”を進める高文だが、彼が協力を依頼した人が次々と殺されていく。一体、何がどうなっているのかー?
常陸国、現在の茨城県にて権勢を誇った佐竹氏の二十代目当主・義宣。小田原の陣で豊臣秀吉に臣下の礼を執るものの、揺れ動く時代と権力争いの波に呑まれていくー諸侯蠢く戦国の世を克明に描いた、渾身の一作。
感染症研究者の岸辺弘は、鳥インフルエンザウイルスの変異実験が成功したというニュースを目にする。時を同じくして飛び込んできた、新型ウイルスによる死亡例の報告。自然発生か、はたまた人の手によるものか。起こりうる未来へ警鐘を鳴らす、社会派医療小説。
富山の市街地が焼夷弾により焼け野原となったのはたった80年ほど前のこと。この悲惨な出来事を風化させてはならぬと、語り部として人々へ訴え続けた一之瀬文子。病に冒された文子が孫の華音やその教え子たちに最後に伝えたかった本当の思いとは。
青年・三郎は、学生生活を謳歌する中で出会った弥生という女性に心惹かれながらも、明確な思いを伝えられぬまま卒業を迎え、県庁職員として充実した日々を過ごしていた。そんなささやかな日常とは裏腹に、隣国との国境紛争は激化の一途をたどっていた。一年越しの再会を果たした三郎と弥生。二人の元にも、戦争の影が徐々に忍び寄る。なぜ人々は争うのか。戦争の先には、どんな結末が待っているのか。彼らはそれぞれの決意を胸に、平和を取り戻すべく動き始めるのだったー。
『物語の種』ができるまで。読者が物語の「種」を投稿する。(体験談、思い出、好きなフレーズ、写真…なんでもOK!)→有川ひろが、選んだ「種」を元にして「小説」を書く。→十粒の「種」が選ばれ、十篇の「小説」ができあがる。→それをまとめて、本書が完成。次に選ばれる「種」は、本書を読んだあなたの投稿かも?