1994年9月10日発売
森の匂い森の匂い
生涯不婚。職をもたず、酒も呑まない。-その男。だが、森の奥に棲む動物の匂いがする。父親の親友であり母親とも微妙な関係にあったその男の、軽やかにも、深い断念をつらぬく生き方を見事に浮び上がらせた表題作ほか2編を収録。
孟夏の太陽孟夏の太陽
中国春秋時代の大国晋の名君重耳に仕えた趙衰の子趙盾は、父同様晋の宰相となるが、自らが王に推戴した夷皐と対立せざるを得なくなる。王とは何か臣とは何か、義とは何か信とは何か。宰相として国を支え続け、歴史とかかわってゆく趙一族の思想と盛衰を、透徹した史眼と清冽な筆致で描いた長篇歴史ロマン。
自動起床装置自動起床装置
聡とぼくは仮眠室の「起こし屋」。昼間の毒気を吐きながら、養分を貪るように眠るモーレツ社員たちを、うまく目覚めへと導くのが仕事だ。ところがある日、自動起床装置が導入された…。眠りという前人未到の領域から、現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。カンボジアの戦場への旅を描く「迷い旅」を併録。
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