小説むすび | 1996年2月発売

1996年2月発売

ニコチン・ウォ-ズニコチン・ウォ-ズ

タバコ業界のスポークスマンのニックことニコラス・ネイラーは、吹き荒れる嫌煙運動の嵐に立ち向かい、健康問題シンポジウムで、人気TVトークショーで、愛煙家の自由と権利を護るべく、日夜、論戦を繰り広げていた。チーズは血管を詰まらせる、それなのにどうしてタバコだけが責められるんだ。クッキー入りアイスクリームなんていう恐るべき食べ物があるというのに、タバコだけがやりだまにあげられるのはなぜ、なぜなんだ。タバコには、パーキンソン病の発症を遅らせる効能があるというではないか。それにですよ、タバコ無しのハンフリー・ボガートなんて、考えられますかあなた。愛煙家の味方ニックは戦っていた。アルコール産業のスポークスウーマンと、銃関係団体のスポークスマンとの三人で、自らを「死の商人」と称し、集まってはグチを言い合い、怪気炎を上げ、ストレスを解消しつつ…。彼はこの仕事が好きだった。それより何より、彼には家のローンがあった。ニックはしゃべりつづける。まるでナチスででもあるかのように人々に糾弾されようと、嫌煙活動家に殺されかけようと。そうなのだ、彼は拉致され、皮膚から少量ずつニコチンを吸収させるという、ニコチン中毒治療用のニコチン・パッチを全身に貼られ本当に殺されかけたのだ。FBIまで巻き込んでの、吸ったもんだの大騒動。腐敗した政治、メディア戦略、パワーゲーム…ワシントンの構造を痛烈に徹底的に揶揄する抱腹絶倒のタバコ小説。愛煙派も嫌煙派も絶対必読。

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