著者 : 真崎義博
ミステリの女王アガサ・クリスティーの短篇から、冬をテーマにした作品を収録した傑作選。ポアロ、ミス・マーブル、トミーとタペンス、クィン氏と、クリスティーを代表する名探偵たちが勢ぞろい。クリスティー・ファンとミステリ愛好家に贈るクリスマス・プレゼント。
とある理由で故郷アメリカを逃げるように去り、年の離れた作家の夫とローマで暮らしている若く美しい女性ヴィッキー。野心を抱く兄ジョニーに導かれてローマの上流階級に出入りするようになった彼女は、人気政治家オルシーニと不倫の恋に落ちる。しかし、しばらくしてオルシーニの妻である国民的女優イザベラがアメリカの宿泊先で謎めいた死をとげ、ヴィッキーたちには世間から疑いの目が向けられたー。死と憎悪、猜疑と野望に満ちた不穏な世界をエドガー賞受賞作家が巧みに描いたサスペンス。ハメット賞受賞作。
戦地から戻り平穏に恋人と暮らすトムのもとに、かつての上官からの緊急メッセージが届いた。命の恩人の戦友が、何者かとの激しい銃撃戦の末に姿を消したというのだ。彼を救うべく、その行方を追うことになったトムの世界は一変する。裏に潜む陰謀、裏切りに次ぐ裏切り、周到に張りめぐらされた罠、襲いかかる刺客、銃弾の嵐…そして現われる真の敵とは?望まぬ闘いに身を投じた男の苦闘を描くサスペンス・アクション!
コレクターで研究家の老ダニエルにチャンスがめぐってきた。盗掘者が偶然に発掘した、アステカ最後の皇帝の宝石で作られた美しいマスクを入手できそうなのだ。彼の代理でメキシコへ飛ぶのは、娘のアナ。だが入手直前、取引現場に乱入してきた暴漢がマスクを強奪してしまった。富豪コレクター、マローンの横槍だ。怒ったアナは奪回のため、秘かに彼の身辺に潜入する。いっぽう地元の麻薬王レイエスもまた、マスクを手に入れようと画策して…かくして執念と欲望まみれの壮絶な闘いの幕がここに切って落とされた!
インターネットを通じて知り合った老紳士のロイと未亡人のベティ。お互い高齢の彼らは親睦を深め、共同生活を送ることになる。だがそれはロイによる策略だった。彼はこれまで数々の人間を騙し、陥れてきたベテランの詐欺師だったのである。ロイは悠々とした老後を過ごすべく、ベティの資産を奪い取ろうと着々と計画を進めていくが…。冷酷な犯罪と並行して明らかになっていくロイ自身の秘められた過去。嘘と偽りに満ちたその生涯の奥底にあるものとはー?巧みな心理描写で絶賛された新鋭作家のデビュー長篇。
昼休み、同僚がいなくなったオフィスで、彼とふたりだけの秘密の“ミーティング”…ネコのふりをして甘える彼女を、どうやってかわいがってあげようか…恋人のアパートで愛を交わしていると、かならずふたりを見ている何者かの目…突然停電になった満員電車の暗闇で、いったいなにが起きるか?-日々の暮らしのあい間に、突然わきあがる官能的な衝動。その瞬間を、現代最先端のエロティカ作家たちが描く、とっておきのショートストーリー全35編。5分間で、あなたを夢の世界へ誘います。
おしゃれで、潔癖で、自負心が強く、小柄な体格で風変わりなベルギー人が、“灰色の脳細胞”を駆使して、次々と難事件を解決する…いまや世界に知らぬ人のない名探偵エルキュール・ポアロが、よき相棒のヘイスティングズとともに14の謎に挑む!ミステリ史上屈指の名コンビが活躍する最初の短篇集。新訳で登場。
今度はおまえたちの番だ!銀行強盗を働き、撃ち合いの末に射殺された女の夫ラシェズは、激しい憎悪を胸にミネアポリス市警副本部長ダヴンポートを始めとする刑事たちへの復讐を開始した。ラシェズの標的となった刑事たちとその家族が一人また一人と襲われていくなか、ダヴンポートは男の行方を必死に追う。が、やがてダヴンポートの身近にもラシェズの魔手が!真の恐怖に突き落とす衝撃のサスペンス。文庫オリジナル。
ユーゴスラヴィア連邦は分裂し、ボスニアでは内戦が勃発した。かつて民族融和の象徴であった首都サラエボは、包囲するセルビア人勢力と、クロアチア人、ムスリム人が鉾を交える最前線と化す。街には砲弾が撃ち込まれ、高台からは狙撃手が無差別に市民を銃撃してくる。そのサラエボの一画にある高層アパートで、腐乱した女性の他殺死体が発見された。だが、現場は戦闘の激しい地区で、警察といえども近づくことが出来ない。戦闘の激化とともに弱体化したサラエボ市警は、すでにその組織の大半が崩壊し、機能を停止しかけていた。だが、刑事部長のロッソ警視はあきらめなかった。そんな状況でも、法と秩序は守られねばならない。部下は動けず、鑑識もなく、写真班もいない。電話もコンピューターも使えない。検死すらも困難だったが、彼は敢然と捜査に赴いた。だが、事件の裏には思いもかけぬ巨大な影がうごめいていた…。常識の通用しない戦場で展開される、捜査と闘いの四日間。かつて内戦下のサラエボに駐在した気鋭ジャーナリストが、その体験を活かして描く、異色の警察小説。
夏の終わりの午後おそく、新学期の始まる日の父母会をおえてアンディ・マネットと二人の娘が外へ出ると、荒れ模様の空から雨が激しく降っていた。そのとき、学校の駐車場では赤いヴァンに乗った大男が獲物を狙って待機していた。その男ジョン・メイルは彼女たちが車に乗ろうとしたとき、背後から無理やり自分のヴァンに引きずりこみ、母娘ともども連れ去った。誘拐された女の別れた夫が大金持ちの共和党支持者、父親が民主党の実力者という複雑な背景を考慮して、この事件を担当することになったのはミネアポリス市警副本部長のルーカス・ダヴンポート。しばらくして連絡を入れてきた犯人は、どうもゲーム・マニアらしく、コンピュータ・ゲーム・メイカーでもあるダヴンポートと直接話したがる。はたしてダヴンポートは、挑戦的な犯人の居所をつきとめ、生きたまま母娘たちを救うことができるのか。
クープはシェヴィに乗って、夜の街を狩りに出ていた。彼は夜盗にして殺人者だった。本屋やギャラリーで、内気で孤独そうな女性を見かけると声をかけた。読書会に来ていたハリエット・ウォナメイカーもそんな女性のひとりで、クープの誘いにのった。女はナイフで腹を切り裂かれ、見るも無残な死体となってごみ収容器に捨てられた。深夜、クープはセーラ・ジャンセンの部屋に忍び込み、宝石を盗んだ。そのときベッドルームで眠る彼女のあられもない姿を覗き見て、火のような恋心を抱いた。彼女は証券業界で働く三十代の魅力的な独身女性で、クープはかつてないほどの性的興奮を感じた。その想いが他の女性への殺人衝働となって彼を駆り立てていった…。
米国中西部ウィスコンシン州の田舎町。吹雪の夜に、湖畔の森をスノーモービルで駆け抜ける「アイスマン」。コーン・ナイフを片手にラクール一家の住む白い家へと接近していく。まず、父親フランクを、次にその妻クローディアを殺し、最後に一人娘の少女リサを生きたまま切り刻んで殺害。そして、なぜか家に放火して立ち去った。全焼した現場を訪れたルーカス・ダヴンポート。警察を辞めたあとフリーの立場で異常殺人の捜査を手伝っている。今回はオジブウェー郡の保安官シェルダン・カーが応援を求めてきた。ダヴンポートは現場検証で出会った女医ウェザーに心惹かれるものを感じる。「アイスマン」はある写真を捜していた。全裸の少年がベッドでポーズをとり、前景には太った中年男の腰から下が写った写真で、その少年は2ヵ月前に殺されていた。秘密を暴露しかねないその写真はラクール家にあるはずだった。しかし写真は見つからず、「アイスマン」は一家を皆殺しにしたあげく、写真の存在を消そうと家に火を放った。タヴンポートの聞き込み捜査が進み、事件の鍵をにぎる写真の存在に気づくと、今度は、ダヴンポートと接近しはじめた女医ウェザーが「アイスマン」に狙われはじめた。…「アイスマン」とは果たして誰なのか。そして連続殺人の背後にある意外な真実とは。-小さな閉鎖社会における異常な犯罪者の心理状態を鮮やかに描く「獲物」シリーズ最高作。
死ぬ瞬間、人の眼に何が現われるか。そのことに強い興味を抱く非常な美男子の医師ベッカー。彼は顔に傷痕のある男と出会い、妻を殺し眼を潰すよう依頼した。計画は成功するが、ミネアポリス市警のダヴンポート警部補はベッカーに嫌疑をかける。やがて鋭利な凶器で眼を潰された死体が次々と発見されて…狡猾な異常殺人者と一匹狼の刑事の息詰まる対決。骨の髄まで凍る衝撃のサイコ・サスペンス。
仕事よりも女遊びに熱心な探偵マクナリーは、百万ドル切手盗難事件の調査に乗出すが…。陽光がまぶしい南フロリダのリゾート地を舞台に、ストーリーテリングの神様が放つ、新シリーズ第一弾。
絶世の美男女で著名な病理学者のマイケル・ベッカーは、ヴェトナム戦争の時、サイゴンで売春婦を殺してから、人間は“死ぬ瞬間”に別の世界を垣間見ると考えるようになり、その瞬間に眼に何が現われるか、深い興味をいだくようになった。だが、その一方で、殺した売春婦の眼にうなされはじめ、その悪夢から逃避するため、薬物におぼれていた。そのベッカーが、顔に火傷の痕のある男ドルーズと出会い、不仲だった妻を殺すように依頼する。ドルーズは家に侵入し、彼女を殺害した。ベッカーに指示された通り、彼女の眼を潰して。だが、彼女との情事を終えたばかりの愛人が犯行を目撃、匿名で警察に通報した。ミネアポリス市警のダヴンポート警部輔補らは愛人の行方を追うとともに、夫のベッカーに嫌疑をかけた。しかし、彼には完璧なアリバイがあり、共犯者がいるとの想定のもとに捜査は進められる。やがて、第二、第三、そして第四の殺人が起きた。その被害者は、どれも鋭利な凶器で眼を潰されていた…。冷酷にして狡猾な連続殺人犯を、一匹狼の警部補ルーカス・ダヴンポートが追いつめる。強烈なサスペンスが貫くストーリーと衝撃的な結末。全米でベストセラーとなった人気シリーズ最新作。
ミネアポリスで二人の男が惨殺された。ひとりは、インディアン居住区でアパートを経営する高利貸しの男。もうひとりは、社会復帰訓練所の指導官だった。そして今度は、ニューヨークの福祉局の局長が殺された。被害者は皆、黒曜石のナイフで喉を切り裂かれていた。そして、一様にインディアンから憎まれていた。ミネアポリス市警は、特別チームを組み捜査を開始、ダヴンポート警部補もその一員に加わった。福祉局局長殺しの犯人を追ってきたニューヨーク市警の女性警部補リリーと共に、彼は捜査を進めていく。だが、その間にも新たな犠牲者が生まれていった。やがて、ダヴンポートは連続殺人の裏に隠された真の目的に気づく。が、彼は知らなかった-。リリーと自分の身に危険が忍び寄っていることを。『サディスティック・キラー』につづき、ミネアポリス市警の一匹狼、ダヴンポート警部補が再び登場。注目のベストセラー・シリーズ第二弾。
’90年代を迎えて崩壊へとひた走るソヴィエトは、米国との軍事力競争に一挙に決着をつけるべく、画期的なレーザー戦闘ステーションの開発に成功していた。これに気づいた米国は、米国近海で座礁したソ連の攻撃型潜水艦〈ドニエプル〉に、SEALアルファ・チームを乗り込ませ、ウラジオストック近郊のソ連軍レーザー戦闘ステーションを急襲しようとする。SEALアルファ・チームを乗せた〈ドニエプル〉は一路ウラジオストックめざして急速潜航する。