1997年発売
美貌の富豪ビリーを義母に、映画プロデューサーのヴィトーを父親にもつジジは、セクシーな細身の身体と自由奔放な魅力に溢れた23歳。高級ファッション・カタログの仕事を成功させた腕を見込まれ、ロサンジェルスの広告代理店に引き抜かれた。コピーライターの仕事の面白さを理解してくれない映画監督の恋人ザックと喧嘩別れした彼女の前には、次々に新しい男性が現れるのだが…。
ジジの新しい恋は自家用ジェット機で連れて行かれたヴェニスで始まった。誰もが羨む理想の恋人、大富豪のベン。でも彼を心から愛しているかまだ確信が持てない。ザックとのつらい経験から結婚には慎重になっているのだ。やりがいのある仕事も、暖かな家庭も求めるジジは、誰と結婚すれば幸せになれるの?ロスでパリでヴェニスで燃え上がる、恋人たちのロマンスをゴージャスに描く。
突如、ケンドルを見舞った交通事故。おさな子を抱いて這い出した彼女は、死に瀕した同乗の「男」を病院へ運ぶ。記憶喪失に陥った男を夫と偽った彼女は、3人で絶望的な逃亡を開始する。忌まわしい町で目撃してしまった、見てはいけないこと。そして、次第に育まれてゆく、してはいけない恋ー。恐るべき秘密同盟の盟約とは?記憶を失った男の正体は?5000万読者を魅了した著者の会心作。
朝鮮加耶国の王子スサノオは、国を追われて出雲に流れ着くが、土着の豪族を次々と斬り従がえて出雲、大和を平定し、いよいよ卑弥呼が君臨する九州の大国邪馬台国征服に大遠征軍をもよおす。奇しき不思議な縁で結びついたスサノオと卑弥呼。古代社会を揺るがせた大動乱の真相を描く。
「シュルレアリスム」という言葉を発明し、「エスプリ・ヌーヴォー」(新精神)という用語を先駆的に使った「若き二十世紀」の旗手アポリネールが、秘密出版した小説。愛欲とユーモアに満ち、才気に溢れたラブレー的世界を彷彿とさせる本書は、デスノスやアラゴンの絶賛を浴び、わが国では渋沢龍彦がエロティック文学の最高峰のひとつに推薦している傑作である。
銀座の資産家・森辺多賀市の後妻となった美月香は、念願のブティック経営者となり、事業拡大に野心を燃やす。夫の部下や取引先を色仕掛けで手なずけ、有利な取引も成功させる。だが好事魔多し。多賀市と愛人が事件に巻き込まれ、美月香の周りにも暗雲が漂う。巨大な資産と官能に群がる、男と女の欲望の結末は。
風呂敷はワイドスクリーン・バロックより大きく、集積度はサイバーパンクより高く。貞本義行のキャラに士郎正宗の蘊蓄をぶちこんで、ポスト・エヴァンゲリオン時代のラディカル・ハードSFが誕生した。戦闘総質量十万トンのデビュー作。2135年、シファリアス級女性型戦艦、進空!第五次大戦勃発か。
大学生のシンヤは、通学定期をひろってくれた美しい女子高生、穂坂恵にひとめ惚れをしてしまう。内気なシンヤは告白できないまま恵の後を追い回し、朝の通学路、学校のトイレ、そして自宅の浴室まで、ナマの日常を次々とカメラに収めていく。通学途中、恵の親友である陽子に注意を受けたことから、シンヤの怒りが爆発し、凶暴なタクヤと冷酷なトウヤの別人格が出現。タクヤたちは陽子を凌辱し、恵を守ろうとする女の子たちを次々と襲う。次第に追い詰められていく恵。分裂した人格が求める、ゆがんだ愛の行方は…。人気ソフト会社「にくきゅう」が放つサスペンスADVの小説化。
悪の坩堝のような50年代のロサンジェルス市警に生きる三人の警官ー幼時のトラウマから女に対する暴力を異常に憎むホワイト、辣腕警視だった父をもち、屈折した上昇志向の権化エクスリー、麻薬課勤務をいいことに芸能界や三流ジャーナリズムに食指を伸ばすヴィンセンズ。そこへ彼らの人生を大きく左右する三つの大事件が…。
事件その1、“血塗られたクリスマス”。署内のパーティで酔った刑事たちが勾留中の容疑者に集団暴行!事件その2、コーヒー・ショップ“ナイト・アウル”で虐殺事件発生!事件その3、複数の余罪を暗示する、あまりにもどぎつい変態ポルノ写真の犯濫!事件1、2で明暗をわけた三人は、それぞれのやり方で悪の中枢へと近づいてゆく。
「ああ、寒いほど独りぼっちだ!」内心の深い想いを岩屋に潜む小動物に托した短篇「山椒魚」。新興芸術派叢書の一冊として、昭和五年四月に刊行された『夜ふけと梅の花』収録十五篇に、同人誌『世紀』掲載の「山椒魚」の原型でもあった著者の処女作「幽閉」を併録。さまざまな文学的潮流が拮抗した昭和初年代の雰囲気を鮮やかに刻印し、著者の文学的出発をも告げた画期的作品群。
富裕な男爵エードゥアルト、エードゥアルトの友人の大尉、エードゥアルトの妻シャルロッテ、シャルロッテの姪のオッティーリエ、この四人の男女の織りなす恋愛図式。それは人倫を越えた、物質が化学反応を示して互いに牽きあう親和力に等しい。夫婦や家族の制度を破り出て人を愛するのも自然の力である。しかし、人間は自覚的な強い意志をもってそれに対抗しようとする。
時は昭和25年、朝鮮動乱でわきたつみなと神戸。戦後の混乱期を抜けだしようやく飛躍成長をとげようとする時代のうねりの中で、主人公・元海軍中尉不動征四郎の行く手にたちはだかった謀略の渦。霧雨けむるみなと神戸に男が帰って来た。
バージルシティで発生した連続猟奇殺人事件の犯人は何者なのか-?今度の事件は悪い予感がする。刑事スタンレーは言いようのない不安といらだちを募らせていた。その予感は的中した。スタンレーの恋人、ミランダ・ラコシが殺害されたのだ。この無差別殺人者はバージルシティ市警に挑戦している。スタンレーの怒りは頂点に達した-。山藍紫姫子&本仁戻のロマン・サスペンス。100ページ書き下ろし、第四弾。
薬害問題で、製薬会社側の立場に立った雑誌の編集をしている倉沢の娘が誘拐された。犯人は倉沢だけでなく製薬会社側をも脅迫してきた。倉沢には10年前に失踪した恋人がおり、その女性と誘拐事件の関連に疑いを持つ。所轄の下谷中央署の矢尋・知坂両刑事も独自の捜査を続けていた。実力派が放つ書下ろし警察ミステリー。